くそだ、映画の評論家も音楽の通ぶってるやつもガキができてとつぜん聖人みたいになったアウトサイダーも、頭のわるいテレビキャスターもスターチャイルドも俺の理解のおよばないこいつ、この目の前の男もくそだ。ああ、くそくらえって言うんだ!
俺が心の底からほしいのは平穏と静けさと合理性なのだ。実際のところ。
熱狂、それだ。この目にうかぶ人間の持つものではない、見なれない色。理不尽で、強烈な純粋。純粋に還元されるものはひとつっきりの願い、それだけだ。
だからなんだっていうんだ?理性なんかなんの役に、明晰な判断がこの状況をどうにかしてくれると?解決策の見いだせない分析なんか量が増えるだけの低タールシガーみたいなものだ。
俺の名前をくちびるが触れあうほどの距離で囁く声を、俺は知らない。
「なんのつもりだ?」
「ひどいな、この状態でそういうこと言う?」
守りたかった顔、守れなかった気配で笑う(まあ、現にここにこうして居るわけだが)。クソ。ハーフブリードっていうのはどつもこいつも卑怯だ。
「天使に性欲があったなんてな。」
「ああそりゃ、」
はんぶん人間だからね。そういってまた笑う。俺が昔からそれに甘いと知っての所行だ。始末におえない。
「ずるいよジョン。」
「何が」
「ずっと知っててそのうえまだ逃げようっていうの。」
非難する目は正当なのだろうか。だんだん話しているのもおっくうになったので流されているのではないかという内なる声は無視することにした。
「天使とするのは初めて?」
「っ、ああ」
しまった、口が滑った。頭をかかえる暇もない。
「初めてかあーへえー」
うれしそうにのぞき込んでくるばかにせいぜいがんばれよ半人前、なんて余裕ぶってみせて、はじめてのキスをした。
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