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前回のセト×シュウ(アーロン)よりも少し前のお話。

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──全く、手酷く抱いて傷つけてからここに連れてくるくらいなら最初から優しく抱けばいいのに、おかしなものだ。思わず笑みが溢れた。そうしてからあらゆるものを元に戻す原初の水で造られた湯が満ちたそこに入る。少し傷に滲みたがその淡い痛みが薄れると同時に傷も癒えてゆく。
ここからでもセトが最悪の悪魔と闘っているのが能く見える。私の権能で与えた漆黒を金で縁取った翼を閃かせながら闘うさまに見惚れてしまう。と、彼が振りかぶった槍を打ち降ろすと同時にアポピスの鋭い牙がセトの胸を裂く。
「セト!!」
殆ど悲鳴のような声を上げながら手早く薄布を身体に巻きつけ船首へ駆ける。
「……奴は」
「大丈夫、逃げ帰ったよ」
「そうか」
見れば左肩から真横に切り裂かれている。傷は深い。
「風呂まで頑張ってくれよ、もう少しだ」
低く呻くセトを支えなんとか歩いてゆく。自分より大柄で鍛え上げられているものだから骨が折れる。私ももう少し鍛えたほうがいいな、などと軽口を叩けばセトは吐息だけで笑った。
酷く深い傷を負ったセトを後ろから抱きしめ支えながら沐浴させる。そのきらめく原初の水をも覆い隠す程に傷跡から流れ出ていた黄金が少しずつ薄らいできて、小さく安堵の吐息がこぼれた。
「泣くな。お前が泣くと……困る」
「ふふ、いつも泣かせてばかりのくせに」
痛みも引いてきたのか、顰められた眉が解けだしたセトはその眼をゆっくりと開いて呟くように語りだした。
「戴冠式にいなかった総ての神共を呼びつけた時、お前だけは直ぐに殺そうと思っていた」
「……でもそうしなかったね」
「怯えきったあれらと違って暢気に笑って膝をついたお前を見て、浮ついた気持ちになったおのれを殺すのに精一杯だった。……千年も放って置かれたのにな」
そう、時間の流れに疎い旧い神とはいえ、彼を独りにしたのは酷すぎた。ただ成長を見守っていたのでは足りなかった。砂漠で涙を堪え、それでも一面の砂を睨みつけ立っていた幼いセトの姿が蘇る。
「父の王宮から砂漠に捨て置かれた俺をわざわざ構いに来るのはお前ぐらいだった……妙に兄貴面をするかとと思えば母親のように子供扱いをするし、うっとおしいばかりだったが本心は、ハッ。嬉しかったんだろうな、俺は。それがぱったりと訪れなくなったから俺は見捨てられたのだ、絶対に赦すまい。そう思っていたのにな。愚かなものだ」
そう吐き捨てたセトの空虚な眼を手のひらで覆う。そんな眼を二度とさせないように、癒やすように、私以外から隠すように。
「どうしてまた俺の前に姿を見せた?再び見捨てるためか。それが罰だとでもいうのか。それ程までに俺の罪は重いのか」
「……そうだよ。でも君がこれを続ける限り、私はずっと傍にいる」
これは呪いだ。この壮麗で空虚な淋しい船で、毎夜悪魔と闘い続けるという君が何より厭った過酷な運命に従う限り、何よりも欲しかったものを得られる。そう私が君にかけた小賢しい呪い。すべてを手に入れ、そして失った哀れな君を縛るもの。何より強力で古い呪い。そんなものに頼ってでも、私はもう二度と君を失わないと決めたのだ。
呪いが解けた時、そんなものに縋ってまで君の傍らに立っていたいだけという私の醜い愛を知った時、君はどうするのだろうか。
 まだ呪いは有効だ。少なくとも、明日君が目覚めるまでは。

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マシュマロでもらったリクのジェイク(ジオストーム)×ジョシュ(ザ・コア)のえっちなやつ
リクありがとうございました!



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「空を見上げろよ!宇宙にはロマンが詰まってるだろう?」
「それを言うなら地下だね、宇宙なんかスカスカじゃないか!ごめんだね」
 妙に馬が合い友人となったジェイクとジョシュはそんなふうに軽口を叩きあって酒を酌み交わして機嫌よく解散するつもりだった。だのに。


「ぃ、たぁ……ッ、くそ、このデカチンがぁ、んあぁッ!」
「そりゃ、はぁっ、悪うございました……ッ、すぐ悦んでこいつに夢中になるぜ……」
 ジョシュの尻を揉みしだきながらそう言うとジェイクは誘うように突き出された胸の突起に吸い付く。これまでで一番甘く大きな嬌声を上げたジョシュの狭隘はそれまで拒むように締め付けていたジェイクのものを奥へ奥へと誘い甘くうねる。
「あぁ、ッやだ、や、深いぃ……!ひ、ン!じぇいくじぇい、アン!」
 そう泣き言を言うと、ジョシュはジェイクに縋りつく。そんな愛おしい様にジェイクは頭がクラクラするほど興奮してジョシュをベッドに沈めると、長大なそれを熱くうねる狭隘に一気に収めた。
「ひぁあああああッ!」
「は、すげ…………、ジョシュ、動くぞ……!」
「ぅ、あっあっあ、ひぁ、ン!だめ、そ、そんなっしたらぁ、ッ!」
「はぁっ、柔らかくなった、ふ!よくなった、ろ」
「は、ひン!知らな、ひぁあッ、や、ぁ、ン!うぁ、はあっ、あ、あ、んッ、アァ……!」
 好き勝手に揺さぶられて孔内の熱く震える壁をこすられ、目眩のするような感覚に襲われるままに声を上げる。そうしてジョシュはその端正な顔を快感で顰めるジェイクを見やった。まさかこんな事になるなど思いもよらず、ジェイクの両肩でゆらゆらと揺れる自分の足はなんだかとても不思議な感じがした。そう潤んだ瞳で茫然としているジョシュに気を損ねたのか、ジェイクはジョシュにきつく腰を打ち付け、その衝撃に合わせて上がるジョシュの甘い悲鳴ににやりとして言った。
「集中しろよ」
「んぁ、ぁ……!おまえが、下手、くそ、だからだよ……っ」
「本当に?こんなになってるのに?」
 そう意地悪く言うとジェイクはおもむろにジョシュの細く引き締まった足を掴み、大きく開いてみせた。
「ぁ、うそ、うそ」
 ジェイクによって晒されたそこは、暗い金色の下生えから薄く筋肉のついた腹まで、自らが絶え間なく吐精していたために白く汚れていた。
「分かるか?ここまで入ってる」
 トントン、と濡れた薄い下腹を指先で叩かれて頭の後ろがじぃんと痺れる。
「は、エロい顔…………」
 そうぎらついた目で見られ、ジェイクが自分に欲情していることを改めて思い知り、ジョシュは長くすんなりした四肢をばたつかせてその視線から逃れようとする。
「こら、逃げるな」
「や、なん、や……、ひぁああーーッ!!」
 桃色に色づいた身を反転させたところで太い腕に捕まり、指の跡が残るほど強く腰を掴まれて深く深く穿たれる。その強すぎる刺激に細く高い声を上げ、ジョシュは絶頂を迎える。そうしてしばらく硬直したあとだらりと身体を弛緩させ、かわいそうなほどに身体を震わせながら放心している。しかしそんなジョシュの姿にジェイクは言いようのない高ぶりに襲われてしまう。
「ジョシュ……」
 技術屋を目指すジェイクのかさついた親指が少し開いた下唇を撫ぜる。その優しい気持ちよさにうっとりとしてジョシュはそれをそっと囓る。
「ジェイク、おれでイけよ」
 カッと目の前が赤くなり、ジェイクはその激情のままに腰を打ち付ける。
「ぁは、ッあ、あっあ、ぁあっ、あ!ひぁ、ジ、じぇいく、ア、待って、まっ、ゃ、あァ!」
 断続的な声しか上げられないジョシュは、眼の前の分厚い肩に腕を廻して汗で濡れた金色の頭を埋める。その小ぶりな頭がいやいやをするように揺らされるのを感じるものの、駆り立てられた若い雄が止まれるはずもなく淫らな音を立てながら一心に抜き差しする。
「ふっ、……あぁ、はっ……、ジョシュ、も……、はぁっ、出すぞ……!」
「ん、んっ、ふぁ、だして、ジェイク……っ!」




 気怠い眠気にまばたきを繰り返すジョシュの隣にジェイクは片肘をついて寝転がる。
「……なんだよ」
「こういうの、よくあるのか?」
「あるわけないだろ」
 ジョシュはそう鬱陶しそうに言い放ち眉を顰める。しかしそれにもめげず、ジェイクはふうん、と鼻を鳴らすとにやっと笑って言う。
「じゃあ俺は特別なんだな」
「……知るか、ばか」
 そう拗ねたように言うジョシュに足蹴にされても、ジェイクのニヤニヤ笑いは消えなかった。



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遅ればせながら聖ベンジャミン・アッシャー生誕祝い
ベン退任後初誕生日を迎えてマイベンが喋ってるだけ

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「お誕生日おめでとうございます、ベンジャミン。あなたが生まれたことに最大の感謝を。あなたとあなたの親御さんに祝福を。あなたに初めて合った時から、あなたは俺の生きる理由、日々の規範、尊敬する相手。そして俺の愛そのもの。あなたがこの世に生まれ、出会えたことは俺にとっての奇跡ですベンジャミン。ああ、やっと伝えられた……」
「嬉しいよ、マイク。なんて素晴らしい贈り物だろう。正直に言って、私は今まで誕生日を特別だと思えたことが無かったんだ。ただ生まれただけじゃないかってね。勿論皆が祝ってくれるのは嬉しかったが……。しかしおまえに祝われて、初めて意味を持ったよ。こんなに嬉しいことはない。おまえは私の祝福、天に与えられたギフトだ、マイク。こんなに素晴らしいことはない……。愛してる、愛してるよマイク」



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マーベリクスのフロスティ×ラムダイアリーのハルくん
フロスティにべた惚れハルくんのお話し
なんかハルくんごめんな……
時系列とか細かいことは考えてないで原作から離れて読んでね!



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 あのゴタゴタの後、すっかりプエルトリコに嫌気の差したハル・サンダーソンは、生まれ故郷のアメリカへさっさと引き上げた。そうしてフロリダのなかなか瀟洒で手頃な――ハルにとっては――コルビジュエ風の屋敷を買い、そこに住むことにした。
 とはいっても多少手を入れようかと思い、手始めに選んだのは古びた納屋だった。そうして解体業者がやってきた。
 そのリーダーは野性的な、しかしどこか繊細な印象を与える巻き毛の美丈夫で、そう、端的に言ってしまえばハル好みの男だった。
「初めまして、サンダーソンさん」
「ハルでいい」
「じゃ、俺のことはフロスティと。納屋の解体?」
「ああ、ただ他のものも頼むかもしれない 。もちろん料金は払うよ」
 と、ハルは大抵の人間を魅了する微笑みを見せた。
「了解、ハル。早速仕事を始めるよ」
 しかしそう言って笑ったフロスティの笑顔は自分のものよりよっぽど人好きのするもので、それを見たハルは必ず彼を手に入れようと思ったのだった。
 少しずつ声をかけて、ハルの思惑通り二人は気楽な友人のような関係を構築した。そして事あるごとにその美しい手指でいやらしくならない程度に二の腕やガッシリとした太ももに手を当てたりしてみる。するとフロスティは嫌な顔もせず、あまつさえハルにも同じように触れてきた。なんだ、簡単じゃないか。後ひと押しだ。

 その後しばらくしてハルはフロスティを邸内に呼んだ。
「ハル?どこだ?」
 自分を探す声を蕩けた頭で認識する。
「は、こういうこと……あんたほんとに悪趣味だなっ!」
「アアっ!そこ、ンン……!ふ、ァ、もっと……!」
 そんな嬌声を部屋の外まで聞こえるように上げる。すると少し開けていたドアが開いていった。
「ハ、ル……」
 フロスティの目はハルの扇情的な痴態と、ドアに向けハルを膝に乗せ、ハルの身体を貫いて奉仕している男を見て固まってしまう。それは髪こそ短髪だが、己にそっくりな男だった。
 しかしフロスティは気を取り直すとつかつかと歩み寄って自分を見てずるりとペニスを抜いたハルを引き寄せ、ハルはされるがままフロスティにしなだれかかる。
「なに、……?」
 甘い蜂蜜のような声と快楽で焦点の合わない眼で尋ねる。そんなハルの肩を押して、フロスティは少し眉根を寄せつつも無感情に言う。
「あんたはもっと自分を大切にすべきだ」
 そうしてさっさと帰って行ってしまった。ぽかんと口を開いてハルが突ったっていると後ろから笑い声が聞こえる。振り返れば先ほどまでの情事の相手が楽しそうに声を上げ笑って言う。
「あんたが振られるところを見られるなんて、光栄だな。初めてじゃないのか?」
「うるさい、とっとと出てけよ!」
「ハイハイ、女王陛下」

 それからというものフロスティは仕事こそすれ、ハルに確認を取らなければいけない時は部下をよこす程にハルを無視した。
 それは思っていたよりもハルにダメージを与えた。会えない日々はベッドから降りることすら億劫で、食事もほとんど取らなくなった。どうも、信じられないことに、あの男に心底惚れてしまったらしい。ハルは毛布を頭から被って思春期のティーンみたいに呻いた。

「ハル」
 そんな生活が続いていたある日、勝手知ったる様子でハルの部屋に入ってきたフロスティをハルはじろりと睨む。
「なんでお前が……」
「あんたの見舞いだって言ったらメイドさんが入れてくれたよ。彼女心配してたぞ。何も食べてないって?」
 そう言って男っぽい指の背でハルの頬を撫ぜる。
「少し痩せたか?」
「関係ないだろ」
「ふは、俺に会えなくてこうなったのに?何か食えよ」
 久しぶりに見たフロスティの笑顔になんだかむず痒いような気がして、からかってやろうと思った。信じられないことに照れた事実から目を逸しただけかもしれないが。
「食べたくない」
 フロスティは肩を軽く竦めて部屋に銀食器に飾られたフルーツの山からマンゴーを取り上げるとハルに見せつけるように銀のナイフで赤く熟れたそれの薄い皮を剥ぎ、喰らいつく。そして生唾を飲んだハルに、その溢れんばかりの果汁と共に南国の恵みを唇を合わせ受け渡す。そしてハルが飲みきれなかった甘露を太い親指で拭い、べろりと舐め上げた。
「ファックする?」
 そんな官能を煽るフロスティにハルはつい口走ってしまう。抱かれたい、その一心だった。
「いや、まずお互いを知らなきゃな」
「?」
 首をかしげるハルにフロスティは子どもに言うように笑った。
「友達から初めないと」
 友達。ビジネス抜きの友達とは何をするのだろうか。
 そんな悩みを抱えつつも中々良好な関係を築いていたある日、この辺りの事を教えてくれないかと水を向けると迷惑そうな素振りも見せずフロスティは楽しそうに話し出してくれた。それを話半分に聞きながらあまり物欲しそうにならないように留意しながらフロスティの体つきを褒め、サーフィンで鍛えられたのかな、と朗らかに言ってみせる。
 そんなハルの下心など知る由もなく、波には乗らない、そう静かな声で答えたフロスティをそんな海で作られた身体をして?そうからかおうと見やる。すると彼は左手の指輪を見つめ、視線を映し透徹とした目で海を見ていた。辛気臭い話は懲り懲りだった。
「来て」
 ハルはそう言うと振り返りもせず歩きだす。裏庭に隣接する海の桟橋へ行き、瀟洒な真新しい白いボートにフロスティとともに乗り込んだ。そうして二人は言葉も交わさずに沖へ出た。
「こうやって波に揺られるのも悪くない、だろ?」
 そう微笑みかける。
「ああ……。悪くない」
 そうして掟を破ったフロスティと、それを勧めたハルは静かに酒を飲み交わす。
「ありがとう、ハル」
 ぽつりとフロスティは言った。ハルは片眉をひょいと上げて言う。
「礼を言われるようなことは何も」
「それでも。そう言いたかった」
 フロスティはハルのグラスを取り上げて微笑む。唇を寄せたのはお互いにだった。

 彼に抱かれるのはまるで海に抱かれたみたいだった。

「まだ寝てていい」
 そう言って笑いかけるフロスティの傍らに座り、夢現のハルは頭を預けてぽつりと言う。
「このままいられたらいいのに」
 そんな夢のような事を言うハルに優しくフロスティは言う。
「次は食料を買い込んでおこう」
 次があるのか。そう思うとなんだかむずがゆい心持ちがした。

 そうこうしているうちに屋敷の諸々の工事が終わり、ハルは知り合いを呼んで屋敷のお披露目パーティーを開いた。と、まあ、それはフロスティをお披露目する口実であったのだが。
「俺は場違いじゃないかな?」
 そういつもと違いいいスーツでドレスアップした、客の全てが振り返るような男ぶりのフロスティはおどけて言う。
「まさか!君は客のリストで一番目だよ」
 そう言ってハルはチェシャ猫のように笑い、可愛らしい飾りのついたブルーのカクテルを飲んだ。
「あれが今のお気に入りね。俺の代わり?そっくりじゃないか」
 別室でハルを壁に追いやり、以前情事を見られた相手の男はにやついて言う。確かにその男はフロスティによく似ている。
「さあね……どうだと思う?」
「またそうやって。ハルが素直なのはベッドの中だけだな」
「じゃ、今回も聞いてみる?」
 そう言ってハルが上目遣いで微笑むと、男に口付けられた。すると。
「ハル」
「やあ」
 その男の腕の中からするりと逃げ出して、部屋に入ってきたフロスティの方にハルは向かう。フロスティの自分を見る眼光に男は小さく両手を挙げて退散した。
「フロスティ?」
 ハルの声が聞こえなかったようにフロスティは高級なソファにハルを突き倒す。そして自分を静かに見下ろす瞳に、ハルは震えが来るほど感じた。
 だというのに。
 フロスティは服を中途半端に脱がせたハルの健康的に焼けた肌と本来の肌の色の境目や程よく鍛えられ柔らかい胸の周りを撫でまわしては唇でくすぐる。そんな小さな官能を与えるだけで決定的なものを与えない。
「はぁッ、そんなの……!」
 苛立たしげに言い唇をを近づけるがフロスティは巧みに顔を逸らした。
「なんで……?」
 フロスティは右の口端を挙げて言う。
「どこかの馬の骨とキスした後に?ご免だな」
 その言葉はまるでハル自身が汚いと言われたようでハルの脳髄は痺れてしまった。なにせ今までどんな状況であろうとハルはそんな事を言われたことは無かったのだから。そんな扱いを受けてハルの官能的な疼きは治るところを知らず、思わず悪態をつく。
「くそ、じゃあ早く挿れろ……っ」
「駄目だ。きちんと準備しなきゃな」
 耳元でいつもより低く、色めいて掠れた声で囁かれハルの腰はじぃんと痺れてしまう。しかしその余韻を味わう暇もなく望んでいたものとは違う快感がハルを襲う。見ればフロスティがハルの胸の突起に吸い付いている。いやだ、と甘い声で言いながらもフロスティの巻き毛をくしゃくしゃにかき乱しながら胸を押し付けてしまう。ふ、と彼の口から漏れた笑いを含んだ吐息さえもが感じる。片方では痛みを感じるほどに吸われ、もう片方はそうっと乳暈に沿って撫でられて頭がおかしくなりそうだった。と同時にフロスティのいつのまにか湿らせた太く熱い指はハルの秘所を無遠慮に撫で回す。
「ア……!や、ン!はっ、ふ、ぁ、はやく、……」
「入れるぞ」
 ごつごつとした太い指が挿入される感覚にハルは声もなく美しい金色の髪をフロスティのがっしりとした肩に埋める。その間にも次々と与えられる違和感さえもがハルを煽る。
「ん!あ……ゃ、だめ、も、ダメ、ゃ、ア!そこ、ンあっ!だめ……!はやく挿れ、んン!」
「もう?」
「うるさ、……あッ」
 ずるりと腹から何本かの指が引き出され、それを惜しいというように収斂したハルの後孔をフロスティは勃ち上がり透明な雫を溢す自らの剛直で撫でる。
「ひぁ、ぁ、そぇ、欲し、ーーーーーアァッ!!」
 望みどおり与えられたフロスティのそれの張り出された部分がハルの快楽の源を責め、悲鳴をあげる。それに気をよくしたのか、フロスティは狭隘の浅いところを何度も何度も擦り上げる。
「や、ぁ、や!それ、ばか、来ちゃ、あぁぁあッ……!」
「は、っ、ハルは感じやすいな」
「ちが、こんな、ぁ!こんなの、おか、おかしい……ッ、知らな、あァ!」
「……っ、奥まで挿れるぞ」
「ひぁぁ……、だめ、んッ!はぁあ……っ、イッて、いッて、ん、のにぃ、ひ、あぁぁああ……ッ」
 宣言通りに腰を大きくグラインドさせたフロスティは、脚をガクガクと震わせているハルの首筋に頭を埋め、鎖骨に口付ける。
「はぁッ、熱い……な」
「ぁあッ、ひぅ!も、やぁ、あ……!んぁ、やあぁ、ふろ、ふぉすてぇ、キスしぇ……ほしい、ほしい……!」
 普段の余裕はどこへいったのか、ハルはフロスティのやわらかなざらつく唇と熱い咥内が欲しくてたまらず懇願するのに、当人はと云えば意地悪に焦らすだけだ。それだというのに下半身では快楽でくねる腰の奥までハルの感じる全ての処を執拗に、そして的確に責めてくる。
「キスしてほしいか?……ハル」
 こくこくと涙をためながら必死に頷くハルにフロスティはハルの赤く染まった薄い唇を自らのそれでそっと擽り、勝ち誇って言う。
「なんて言えばいいか分かるだろう?」
 そうして絡ませた手の甲にキスをされてぐずぐずに蕩けたハルは甘ったれた言い方で言葉を紡ぐ。
「はるはぁ、……、フロスティのだから、きすして……!!」
「よくできました」
 そう言うとフロスティはハルを抱え上げ、たん、と身体と身体がぶつかる音がするほど深く深くハルの身体を沈め穿つ。ハルは声も出せず痙攣したようにぶるぶると震え、一気に弛緩してフロスティにしなだれかかると蕩けきった眼を空に向ける事しかできなかった。
「ハル……、イッたのか?……かわいい、かわいいよ、ハル」
 フロスティは陶然としているハルを愛おしげに撫でて言う。そうしてハルが望んでいたとおりに薄く開いた唇に再び口付けられる。咥内と狭隘の一番感じる奥を分厚い舌と立派すぎるほどの牡で蹂躙され、とろとろに蕩けてしまったハルの窄まりはいやらしくキュウキュウとフロスティのそれを締め付け蠢く。
「こら、ハル、はっ、そんなにしたら息ができない」
「や、んぅ、は、ふろすてぃ……気持ちい、もっと……、ん、はぁッ、ふろすてぃ、ふろすてぇ……」
 そう官能で蕩けきったハルは夢中になっていた口付けの間に言うとぐ、と下腹に力を入れフロスティ自身を刺激した。
「ん、……はッ、悪い子だな、ハル」
 そう囁き終わるのすら待てないといった勢いで再び唇に吸い付かれる。キスを繰り返してハルの薄い唇が紅く染まるのがフロスティのお気に入りだ。
「ん、ハル、ふ……、出すぞ……!」
 口づけのみだらな水音の間にそれを聞いてハルは何度も頷きながらフロスティの分厚い背中にまわした腕に力を入れ更に密着する。
「ぁふ、ふろすて、ふろすてぃ……、ンン!ぁあ…………」
 びゅくびゅくと音が聞こえそうなほど長い射精をするフロスティ自身の脈動を感じてハルの頭は真っ白になった。




 薄いレースのカーテン越しにマイアミの強烈な日差しを受けてハルは眉間を顰めながら起き上がる。
「もう昼飯の時間だけどどうする?パンケーキくらいなら俺でも作れるけど」
「…………たべる」
「いい子だ。立てるか?」
「た、立てる!!っ、ふぁ……」
「ここで食べる?ダイニングまで行く?」
「行く……」
 フロスティの言葉にそう答え両腕を伸ばすと、ハルは軽々抱き上げられる。
 そうしてフロスティに抱えられて入ったリビングは昨夜のパーティー客のお楽しみで凄惨たる状況だった。

「うちは娼館じゃない!!!」
 そうすっかり怒りで元気になったハルに叫びながら追い立てられて出ていく奔放な客たちほぼ全員に、意味ありげな笑みを向けられてフロスティは肩を竦めた。ハルのあんな嬌声を聞いてはあてられても仕方ない、といったところか。他人にあれを聞かれたのは少々癪ではあるが。
「もうあいつらは二度と呼ばない!!」
 湯気が出そうなほど怒っているハルの機嫌をこれ以上損ねないように内心だけで笑ってフロスティは話しかける。
「フルーツを乗せる?」
「フルーツはヨーグルトに入れる」
 そう言いながら少し落ち着いたハルはフロスティに後ろから抱きつく。
「シャワーでも浴びておいで」
 あ、と開いた口にフロスティは混ぜたてのパンケーキの生地を指で掬って差し出す。するとハルは可愛らしく咥えたかと思うと、べろりと性感を煽るように舐め上げ、指の根元まで咥えて吸い上げる。
「一緒じゃないといやだ」
 そんなワガママにさえ嬉しそうに笑うものだから、ハルはなんだか妙な心持ちがした。おかしな男に惚れてしまった気がする。
 違う!断じて惚れてなどいない!
 そう心で叫んだハルなど知る由もないフロスティの手が腰に添えられてバスルームへ向かうのだった。



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お題箱から
http://privatter.net/m/vvsm52


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 ベンジャミンは震えるため息をついた。退任後のベンジャミンとマイクの二人は今日、やっと初夜を迎える。厳密に言えば在任中も性的な――周りに隠れて濃厚な口づけを交わしたり、こっそりとお互いの身体を撫で回したり、挙句の果にはお互いの雄を咥えたり、それを共に握り絶頂を迎えたりなどというーー少々お互いの職務に見合わない触れ合いはしていたが、今夜初めて二人は身体で繋がるのだ。
 この時が来るのをそれはそれは待ち望んでいたベンジャミンは、ようやっと愛する男を迎え入れるために異物を体内に朝から挿れているのだった。その違和感に耐えながらも、マイクが何気なくベンジャミンをそっと撫でたり、優しく頭にキスされるだけで淡い官能が全身を満たす。今でこんなに感じてしまうのでは夜はどうなってしまうのだろう?そんな期待とわずかな怯えさえベンジャミンの鼓動を甘くときめかせるのだった。

 ようやく夜になり、マイクと濃厚な口づけを交わしながらベッドに優しく沈められる。そうして身体中を熱く男らしい少しかさついた手で撫でまわされ、いよいよマイクのものになるのだという期待でベンジャミンは目を潤ませその先へと誘う。だというのに。
 マイクは清廉で通っているベンジャミンに似つかわしくないグロテスクなそれを殊更ゆっくりと抜いていく。そしてあろうことかここに及んでまで厭らしくはくりとき蠢く蕾にそっと武人らしい太い中指を挿れ、優しくかき回す。
「うそ、ぁあ……、マイク、いやだ、んぁ、そん……、うぁ、早く、はやく……!」
 そんな丁寧すぎて意地悪なマイクを抱え込み、在任中より少し伸ばしたその巻き毛に指を絡め、小さな口づけを繰り返し懇願する、愛しい伴侶の甘く悲痛な言葉に、マイクは困って眉端を下げて言う。
「ベン、あんたを傷つけたくないし、もうずっとずっと堪えてたんだ……、最高の思い出にしてほしい。もう少しだけ待って……」
 そうベンジャミンの手のひらに口付け舐めあげながら言い、一度抜いた自らの指にローションを足して再び挿し入れ、その中指でふっくらと快感で膨らんだベンジャミンのふっくらとした前立腺を撫でる。その全てが、ベンジャミンを苦しいほどに追い詰める。
「ひぅアァ!や、ッ!あ!ぁ、そこ、そこだめっ!やぁ、んぁあ……、ぁ、それじゃ、なくてッ!!」
 ぽろりと涙を流し甘ったれた声で再度懇願すると、マイクは困ったように笑い、言う。
「俺を受け入れられるくらいになったら、あんたを抱くよ、ダーリン……」
 そう言いながら二本目の指を埋める。ぐちぐちといやらしい水音を立てながら指で念入りにかき回し、ベンジャミンを蕩けさせていく。確かに、自分の雄は立派すぎるものなのだった。
「ぁん、ひ、アァ……!やめ、マイク、マイク……!助け、頼む、っアッ!!!……ひぅ、ンぅ!ヒッ、あ!挿れて、お前、の、ンぁッ!挿れて、助け、あぁ!ゃ、やだぁ、んあッ!ァ、あッ!なか、欲しいぃぃ……!!」
 限界まで広げ桃色に染まったベンジャミンの両脚はぶるぶると震えてしまっている。その哀れな輝く内ももに口づけてあやすように小さく笑ってからマイクはベンジャミンを軽々とうつ伏せにさせ、腰だけを高く上げさせる。そのあまりに卑猥なポーズをとらされても異議を唱えられないほどベンの頭は白く蕩け出してしまっていた。
 ああ、ようやく願いが叶う、愛しいマイクを受け入れるのだ。そううっとりと考えていたベンジャミンの思いはあっさりと裏切られる。事もあろうにマイクはすっかり熟したベンジャミンの秘部を熱い舌で舐め上げる。
「ぁああああッ!そんな、そんな、ことするなぁッ……!!」
 その言葉をさらりと無視してベンジャミンの淫靡に開いた穴に尖らせた長く大きい舌をねじ込んだ。熱くぬめるそれを迎え入れるのは初めての感覚で、羞恥と背徳感と、とんでもない被属感から来る官能で身悶えして逃げようとするのにマイクはベンジャミンの艶めかしいほっそりとした腰に指の痕が残るほど掴み離さない。
「ぅああッ!ひッ!嘘、うそだろまいく、そんなと、こ、やめろッ!アアアアアっ!!!!」
「ん、……ベン、ベン……分かるか?あんたのここ、俺に、絡みついて、っ、たまらない……」
 舌を秘部から引き抜きそう切羽詰まった声で唸るマイクは四本目の指を挿し入れ、安々と広げる。
「マイク……!助け、頼む、っアッ!!!……ひぅ、あっ、あ!いやだ、からだが、ぅ!っァ、嫌、っおかし、んだ、まいく、まぃ……!助けて、まいく……ッ!だめ、だめッ……、腰、ひッ!びりびりす、ぅあああ……。んぁ、ぃや、だあっ!んっマイク、はやく、はやく犯してっ……!!!」
 腰や脚ををかわいそうなほどにぶるぶると震わせながら告げるベンジャミンのあまりに直接的な懇願に舌なめずりをし、獰猛な瞳でうなじに噛みつきながら熱い息を吐く。
 再びお互いが目を合わせられるようにマイクはベンジャミンを抱きかかえると、ごつッ、とお互いの骨がぶつかるような音を立てるほどマイクは己の脈打つ雄で狭隘の限界までベンジャミンの処女を貫いた。
「ッ、アァ!!っひ、はァッ、は、はっはぁあああ……!」
 嬌声をあげ、朦朧とした瞳で意識を飛ばしかけているベンジャミンの頬をマイクは慌ててぺちぺちと叩く。
「ベン、ベン、大丈夫か?」
 自信に満ちたい冷静なつもの瞳と違うっとりとした焦点の定まらない目で、何時になく甘い声でベンジャミンは言う。
「すごい……こんな、ぁあ、マイク、まいく……」
 そうして二人はベッドに沈み、ベンジャミンは自分の指と手をマイクの首に回し、お互いの香りが混ざりあっているのが解るほど近くで口づけするように囁く。
「もっと教えてくれ……、どれだけ二人で、んぅ……、気持ちよくなれるのか、マイク……。愛してる……」
「クソ、あんた……質悪いぞ……!!!」
 ベンジャミンは迎え入れている長大なそれに苛まれつつも少年のように笑って尋ねる。
「んぅ……、はぁっ、そんな、私は、っふ、んぅ……嫌いか?」
「何言ってんだ、世界中に叫びまわりたい、あんたらの信仰してる、ベンジャミン・アッシャーは俺のもので……、最高にいやらしいって」
 そう言うとマイクは少しざらざらしたベンジャミンの喉仏に情熱的に口づけてうっとりと言う。
「ぁあ……想像してた通りだ、俺だけの……!!何度あんたの腹の中を想像してたと思ってるんだ……!」
 そう興奮して熱く情熱的な声で耳に注ぎ込まれて、再び灼熱の楔の官能に苛まれているベンジャミンは叫ぶように言う。
「早くっ……はやく動け、まいく、はやく、しろッ!!!ーーーーーんぅあッ!ひぁああ!ぁう、そんっひぁああ!んアァ、まい、マイクぅうああ゛!ッや、んアァああああぁ……!あ、マイク、まいくっ!ぁぁああッ」
「はっ、はっ、あんた、どうなってんだ、……ッ!」
 そう呻きベンジャミンのうねる媚肉に持って行かれそうになりつつも長年開発し今や赤く熟した、いつもなら桃色をして柔らかい乳首を吸い上げ、ベンジャミンのヴィーナスの与えたくぼみのある腰を回し、そこが蕩けるまで刺激する。
「ふうぅう……んっ!あ!あ!!ゃアァッ!!」
「っ、は、キツいか、ベン……?」
 そう気遣う声ももうベンジャミンには届かない。
「あ、あっ!んぁあ、マイク、まいくッ……、そぇ、ぁう!いぃ、ぁう、悦いっ……ァッ!ッおっ、奥っ、すご、んぁ、マ、い、まいくぅ……!!」
 それを聞き目の前に星が舞いチカチカするほどに興奮して、再び限界まで押し入る。そしてスキン越しなのにベンジャミンの体内を全て満たしかと思うほど欲望をぶち撒けた。そうして二人を稲妻が落ちたような甘い甘い絶頂を迎えた。
 ベンジャミンの隣に転がり落ち、ベンジャミンの頬を慈しみに満ちた指の背で撫でる。そんな優しい仕草にさえ官能を煽られつつもベンジャミンはかけがえのないパートナーに少し掠れた声でうっとりと言う。
「……この時を何度も何度も夢見ていたよ、マイク」
「俺だって……。夢に勝てたかな?」
 おどけて言う伴侶にベンジャミンは小さく笑みを漏らして続ける。
「もちろん……。それに、こんなにしあわせに、なるなんて、思っても、みなかった……。愛してる、マイク」
 そう微笑むと、眼からぽろりと涙がこぼれた。
「おれも、俺もあいしてるよ……愛してる、ベン」
 その美しい涙と言葉だけで強烈な快感に苛まれ、背を丸めてその甘美な痺れをベンジャミンはびくびくとやり過ごそうとしている。そんな健気な姿に煽られ、ベンジャミンを組み敷く。そうして赤く誘う少しとがったきれいな耳を舌で撫で上げ、吸い付き軽く歯を当てる。それだけで先ほどまで、これ以上ないほど奥に挿れられ絶頂を迎えた身体は、流れる涙が止まらないほどの快感を呼び起こされてしまう。理性など、とっく無くなってしまっていた。
「んっ、はふ、……んん!も、しつこ……ア!」
「でもいいんだろ?」
「そ……だけ、ど、ぅンッ」
 小さく喘ぎながら言うベンジャミンを腕に閉じ込めたマイクは、目の前にある首筋から肩、鎖骨に所有の赤い証を刻んでゆく。それはピリリとした感覚だったが、痛みよりも歓びが優った。
「マイク、まいく、無理、もう欲しい……ッ」
「了解……」
 そうギラギラした眼で言うと、ベンジャミンの腰の下に枕を入れる。
「脚を抱えて」
 唯一自分に命令する男の言うままに太腿に手を添え、中心を見せつけるかのように大きく開く。ベンジャミンは被虐感と眼が回るほどの羞恥を覚えたその感覚は、信じられないほどの快楽を引き出すばかりであった。
 淫靡な肉門にマイクの剛直が当たり、歓喜で波打つのを感じる。
 ベンジャミンは一気に貫かれて叫び声のような喘ぎを出す。
「あ、あ、深、んァ!あ、ぁッそれ好き、んあ!好きっ、まいくすき……、好きっ」
涙を零しながらそう言うと、マイクはベンジャミンの耳元で官能的なため息をつく。
「んゃああああッ!!」
何度めかもう判らない絶頂で身体が痙攣してしまう。そんなベンジャミンをマイクはきつく抱きしめながらその精を搾り取るような狭隘から溢れるほどに己の白濁で満たした。

 挿し込む朝日が眩しくてベンジャミンは眼を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。家中の甘く香ばしい香りが空腹を刺激する。
「おはよう、スウィーティ」
 マイクがベッドまで迎えに来て額にそっと口付けてくれる。
「おはよ、何?すごくいい匂い……」
 そうベンジャミンはマイクに訪ねてベッドから降りようとした。しかし。
「んぁ」
 おかしな声を出してベンジャミンは足が砕けて床に膝をついてしまう。
「ベン!」
「ぁ、まいく、なんで、立てない……」
 真っ赤な顔で見上げられ、マイクは愛しさで全身が一杯になってしまう。ぐっとすくい上げてベンジャミンを再びベッドに横たえ両頬にキスを落として言う。
「無茶させたから今夜はあんたを舐めまわすだけにするよ」
 それに身体がゾクゾクしてしまったがどうにか堪えて薄い唇を子供のように尖らせる。
「この性欲おばけめ……」
「ふは、お互い様!」
 そう言って二人はアップルパイよりも甘いとろけるような口付けを交わしたのだった。


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