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再録本「リンカーネイション・パレード」(https://vvsm52.booth.pm/items/1453465)集録の書き下ろしじぇりあろ
年下の男の子×えっちなおねえさん



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 牛乳買ったよ。あといつものコーヒー豆も。ほかには?うん…、うん」
そんな甘えた声をした年下のかわいらしい子熊に似た青年をどうして恋人にし、あまつさえ家に住まわせることになったかというと、時は少し遡る。

 ワオ。それが初めて悪友たちといわゆるゲイバーに入ってみたジェラルドの感想だった。
思っていたほど淫猥でないし、なんというか紳士的ですらある。わりといいお値段の店にあたったのもあるだろうが、なんだか穏やかですらあった。ここでは奇異の目で見られないから延び延びとできるのだろうか、そう思った。ジェラルドはバカではあるが頭は回る方の悪ガキだった。
 一番安い酒を頼み、人目につかなそうな敷居がある席にみんなで座り、居心地悪そうに酒をちびちびと舐める。
「なあ、俺たちやべえくらい浮いてるよな」
「完全に場違いだわ……。対して面白くもないしこれ飲み終わったらクラブ行って女の子引っ掛けようぜ」
「だな」
 そんなことをバカ大学生にしては比較的小さな声で話していると、ジェラルドの目が何故か一人の男でとまった。誰の目にも留まるほどの美形なのに一人で水と、紙巻きタバコの方が似合いそうな美しい指でシガーをのんでいる。それが妙にセクシーだった。
「先行っててくれよ、俺飲み終わってから行くわ」
 オーケィ、と言って悪友共はさっさと行ってしまった。アウェイからホームに戻るのだから仕方のないことではある。ジェラルドはアーリータイムをぐび、と飲み干すとその暗い金色の髪の男の横のスツールに座る。
「ハイ」
 そうとびきりの笑みで挨拶したが彼はちらりと目線をよこし片眉の端を上げただけだった。俄然やる気が出たジェラルドは全く気にせずそのまま話しかけた。美人に冷たくされると燃えるタイプなのだ。
「名前は?俺はジェラルド。ジェリーって呼んでくれ。あんたは?」
「ジョン・スミス」
 さすがにムッとして口唇を尖らせると、彼はちょっと笑って言った。
「アーロンだよ」
「本名?」
「ふふ、内緒」
 そんな風に傍から見たらいちゃいちゃしていると、不機嫌な様子のハンサムが割り入って来た。
「アーロン、これは?」
「ジェリーだよ、ちょっと話してただけ」
 男はそう聞いてジェラルドを値踏みして鼻で笑う。よくいるクソ野郎だった。そしてそいつはあっさりとジェラルドに背を向け、アーロンに何だかんだと辛辣な嫌味を言っている。流石に言いすぎだろ、そう言おうと肩に手を伸ばしかけると携帯の着信音が鳴った。
「仕事の電話だ。外に行ってくる」
 そう言って男は出ていった。
「さっきの、彼氏?」
「まあね」
「俺のほうがよっぽどイイ男だと思うけど?」
 とおどけたように言うとアーロンは噴き出して言う。
「ばかだな、君ヘテロだろ」
「アンタとならいけそう」
 そう言って今まで誰もがオチた眼つきで見つめた。しかし。若造のそんな顔よりもびっくりするほど艶めいた微笑みでアーロンは言う。
「どうかな……」
 そしてジェラルドの股間にそっと手を伸ばしてジーンズの前立てをかり、と引っ掻いた。
「あ……」
「そういうこと言う人はいっぱい居るけど、ふふ、君は男相手でも勃ちそうだね」
 そう言うとジェラルドの股間を相変わらず弄びながら耳元に口を寄せ、思わずジェラルドが生唾を飲むほどセクシーな声で少し笑って言う。
「場所を変えようか?」
それはジェラルドが今一番欲しい言葉だった。

 そこら辺にあった安っぽいモーテルの部屋に二人でお互いの舌を貪りながらなだれ込む。移動中に既にゆるく勃っていたジェラルドのペニスは、ドアに押し付けられてアーロンのキスの猛攻を受けながらよく鍛えられた太腿で刺激され今や痛いほどに起ち上がっていた。
「は、クソッ、もうやば、あんた、は?」
「どうだと思う、ジェリー?」
 クスリと笑ってアーロンは艶かしくジェラルドの身体にゆっくりと手を這わせながら膝をつく。そしてジェラルドのジーンズをアーロンが寛げると勢い良く飛び出てしまい、そんな己の愚息にジェラルドは激しい羞恥で顔中から火が出るかと思うほど真っ赤になった。
「ふふ、かわいい」
 しかしアーロンはそう言うと、赤く腫れ上がった先端に優しく口付けてはカリ首を優しく唇で何度も締め付ける。かとおもうと根元から咥え込み熱く滑らかな、信じられないほどの喉奥で愛されしまいには陰嚢から裏筋を舐め上げられる。つぅ、と零れ出た先走りとアーロンの唾液が糸を引くほどに混ざった液体と赤い舌を見せつけられながらペニスが解放される。
「アゥ……、んぅッ……は、……」
 あまりに暴力的な官能に思わずジェラルドはその淫らな舌を追い腰を揺らす。くすり、と笑った吐息がかかったかと思えばそれに反応する間もなく透明な液が迸るちいさな穴に尖らせた舌をねじ込まれ腰が跳ねる。
「あ、は、それやば、ぅあ!」
 再びアーロンの熱く唾液まみれの口内の奥深くに含まれ、同時に綺麗な指で会陰を刺激され、重い陰囊が一気に硬くなる。そんな刺激は初めてで、腰の痺れに耐えきれずに先端から透明な先走りが溢れ出す。それを当然のように飲むアーロンの腰が、中での快感を思い出したかのようにゆらめかされた。そんな煽りに耐えきれなくなったジェラルドは、アーロンの柔らかな二の腕をぐいと引き上げ抱き上げる。そうすると上から口づけが降りて舌を二人は絡め合い、ジェラルドは固いベッドに派手な音を立てながらアーロンを投げ下ろして覆いかぶさる。
「あーろ、アーロン!はぁッ、もうあんたにぶち込みたい、限界だ……!」
 そんな可愛らしい泣き言にアーロンは小さく吹き出し、するりとジェラルドの腕から逃げ出すと投げ捨てたジャケットからローションとゴムを取り出す。
「は、あんたそんなの用意してたの……?エロすぎ……」
 それを聞いていたずら猫のように笑うと、アーロンは衣服を全て脱ぎ捨てジェラルドの上に乗り跨る。
「ふふ、ちょっと待っててね?」
 アーロンはそう言うとジェラルドのペニスを口で包みながらコンドームを被せたかと思うとまた深くまでそれでジェラルドの雄を包み被せながら咥えこむ。そうしながら透明なローションでとろりと濡らした美しい指を自らの秘所に埋め込みそこをほぐし始める。
「ぁ……、はっ、ハァッ、そんな……あーろん……!」
 ジェラルドの耐えきれないといった吐息を聞いてアーロンはいやらしく官能的なため息を溢し、薄く赤い舌で唇を舐める。それを見たジェラルドのペニスは更に堅くなり、陰嚢は射精を迎えようとぐぐ、と持ち上がってしまう。そんな反応さえ可愛らしいとアーロンの胸はうっかりときめいてしまう。年下で、しかもこんなに素直な相手はこれまでにいなかったのだ。なぜかアーロンはこの子供がすっかり気に入ってしまっていた。
「ああぁ、もうむり、いれたい、中挿れたい、イキそう……!!」
「んん、ちょっとキツいかもだけど、いいよ……、特別……」
 そのアーロンの言葉にジェラルドはアーロンをベッドに乱暴に沈め、細い腰を掴むと猛り立った己で柔らかく、そしていやらしく収斂して誘うそこからアーロンの中を一気に貫いた。
「ぅあ、アは、すげえ……ッ!」
 ジェラルドが突き入れたそれに信じられないほどの衝撃がアーロンを襲う。それは今までにないものでパニックで思考が真っ白になる。
「は、あ"ァ……ッ!」
「っあ、はっ、ぁ、はいった、ぁっ!すご………っ、アーロンッ、…っ、も、あゥ、…………っんっ!はあっ、うぁ、っん!なか、きつ、クソ、止まんね……っ!!」
 そう若く男らしい顔を快感で歪め、熱い喘ぎを溢しながら激しく体内を穿つジェラルドに、アーロンは抗いようもなく涙を零しながら振り回される。
「ま、ァあ!まって、ひ!ダメ、だめ、ア!ゔ、あッあ、じぇり、待って、ア!あッ!やッ!!」
 悲鳴のようなアーロンの声も届かないのか、ジェラルドは赤く染まり汗で滑るアーロンの身体をがっちりと抱きしめて離さない。それどころか首に回した腕に力を込めて更にアーロンを深く沈めてくる。
「ぃああああッそんな、したぁ、壊れ……ッ!!」
「ぁ、アーロンッ、ッ!!も、無理、ふっ、でるッ……!ッ!!」

 びゅく、びゅくっと自分でも信じられないほどの長い射精を迎えて満足げなため息をついたジェラルドは突然ぎゅうと乳首を抓まれてその痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
「ぎゃっ!」
 そんなジェラルドにアーロンは荒い息を吐きながら地を這うような声で言う。
「ジェ〜ラ〜ル〜ド〜……」
「はいっ」
体制をぐるりと変えてジェラルドに跨り、アーロンは言う。
「こんな、は、自分本位のセックスしちゃだめだろ……!今ので、僕が気持ちよかったと思う?」
「ぁ、う……ごめんなさい……」
「わるい子だね、ジェラルド」
 眉を悲しそうな子犬のように下げたジェラルドの肉厚な下唇を噛んで、むいっと引っ張る。そしてアーロンは色っぽいため息をつきながらまだ緩く勃ち上がったままのジェラルドのペニスを再び後ろ手に撫でると、意地悪く笑って甘い口調で命令する。
「僕がいいって言うまで動いちゃダメだし、イッてもダメ。わかった?」
 ジェラルドはうう、と小さく唸ってから下がりきった眉根を寄せて自信なさげに言う。
「その、できるだけがんばる……」
「よろしい」 
「まだパンパンだね」
 ジェラルドの上に乗り上げ、後ろ手で陰嚢をくすぐり笑う。そうしてからゆっくりと艷やかな吐息を溢し、ローションまみれのジェラルドのペニスを薄く小振りな臀でぐちゅくちゅと卑猥な音を立てて咥え込んでゆく。
「ん……、ここが、は、あぁ……、ぜんりつせん。聞いたこと…はぁっ、ん、あるだろ?すごくイイとこ……あッ、ン!ふふ、興奮した?でも、一番、感じるのは……」
 いたずらにそう耳元で囁くとぐちゅりと卑猥な音を立ててジェラルドの質量の増した牡をアーロンは全て呑み込む。
「あぁ、っふ、これ……!ン……おくが、君に、ぁあ……!吸い付いてる、の、わかる?」
 呼吸も出来ずにジェラルドはコクコクと必死に頷く。それがどうにも可愛らしくて苛めたいし、甘やかしてしまいたい。
「すご、きもちい……ね、じぇり、ここ、キスして……?」
 柔らかな乳暈を挟むように指先が桃色に染まった指をあて、艶めいた微笑みで言うとその通りにジェラルドに乳首を舐められてアーロンは切なく喘ぐ。ジェラルドにぢゅ、と真っ赤に染まった尖りに勢いよく吸い付かれると、そのよく手入れをされたピアノの鍵盤のような美しい歯にそっと先端が当たって甘い悲鳴を上げた。
「は、ふ、女みてえ……」
 そう熱に浮かされたジェラルドに言われ、アーロンは全身を震わせて身悶えした。今までにない程の身体の震えと自身を包む媚肉の蠢きに慌てたジェラルドが声をかけると、目尻に涙を浮かべて途切れ途切れにアーロンは言った。
「なか、で、イッた、の」
「ぁあッ……ァ、はぁッ、ごめ、……出ちゃ、た」
「い、いいから、突いて、奥、して、ジェリー……、あッ、あぁぁ…………っ!」
「あーろん、アーロン、どうしよう、あんたに優しくしたいのにめちゃくちゃにしたい」
「だぁめ、それは、アん!していいのは、恋人だけ……」
 そう意地悪く笑いながら言うと、ちゅっとかわいらしい音を立ててへの字に曲がったジェラルドの唇にキスをする。
「じゃあ恋人にしてよ……、好き、もうわけわかんないくらいあんたが好きなんだ」
「ンっ!ぁあ……じぇらるど」
 ジェラルドの懇願を聞こえなかったかのようにそう言うと、アーロンはジェラルドの太い首に腕を絡め、深く深く口付けた。


 それからしばらく経ち、ジェラルドの事をあまり思い返さなくなった頃にアーロンは誰かに腕を掴まれた。
「やっと会えた」
「ジェリー?どうして……」
「恋人にしてって言ったのは本気だって伝えたくて」
「でもどうしてここが?」
 戸惑いを隠しきれないアーロンにジェラルドは事もなげに彼氏面している男から内緒でいただいた名刺 から今日ここに来るって調べた、などと言い放つ。ネットの広大さに目を回かけているアーロンをその青年は蕩けるような瞳で見つめて言う。
「アーロンの理想の男になるから俺のこと、躾けてよ」
 そして優しく握ったアーロンの手首の内側にキスをした。こんなにも美しく精悍な若者にそんなことをされ、ぐらぐらとしない人間がいるだろうか?しかもセックスの相性が抜群なのだ。思わずうっとりとしながら了承しようとすると、その甘い空気を引き裂く声がした。それはすっかり忘れていた恋人の様な関係だった男のだった。
「信じられない!浮気だなんて!許さないぞ、アーロン。君がそんな人間だなんて思わなかった」
 そうキンキンと叫ばれ、全くこの男をなぜ側に置いていたのかさっぱり分からなかった。
そんな二人の間に何か言いかけたジェラルドの手に指を絡め、感情の籠らない事務的な声で言い渡した。
「別れる」
「は?」
「君とは終わり。だいたい恋人にした覚えもないしね。一番は性の不一致!じゃあね」
 そう無情にも言い放つとアーロンはジェラルドの手を掴んで歩き出す。
「ねえ、俺は及第点だった?」
「ふふ、お互い最高だったろ?それに……」
「それに?」
「秘密だよ」



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