OHF後のSS大統領カプ未満
悪夢に魘される大統領ちゃんのお薬はバニングパイセンっていうお話し--------------------------------------------
ぼんやりとした視界でも、腕が捩じ上げられ安上がりかつ有用なプラスチックの紐が食い込む感触ははっきりと分かる。それだけで恐怖を感じるが、どうにかそれを抑えこもうとする。いつ殴られるのか。覚悟を決めようとそれを考えようとしたが一層恐怖を煽っただけだった。
「誰もアンタを救いにこない」
どこかで知ったふうな厭味ったらしい声が響く。それは死刑宣告のつもりだったのだろうが、大統領の脳裏には希望の暖かい光りが差した。
私にはマイク・バニングがいる。
その後の記憶はあまりない。目が覚め、ふと見ると自分の手を無骨な手で握りながら息子を膝に載せ、ベッドの隣のソファで眠っているマイクがいた。
カウンセリングなんかよりよほど効くな、と思わず大統領ーーベンは微笑んだ。
「…ん、起きたか、ベン。眠れたか?」
「ああ」
微笑みながら自分の目を握られた手に向けると、慌てたようにマイクはその手を離した。
「すまない、魘されていたから」
「いや、有難かったよ。本当に」
友人同士が交わす視線よりは少し熱を孕んだ、おかしな空気で見つめ合っていると、マイクの膝に乗せたコナーが唸るような小さな声を上げた。
コナーを隣の部屋に運んで行ったマイクはスコッチを手に戻ってきた。暫く無言で酒を酌み交わす。
「……マイク、君は悪夢を見ないのか?傷が疼く事は?」
「ああ、今回の騒動のでは無いな。なにしろアンタを守れたし、傷は俺の勲章だ」
毅然と言い放つマイクにベンは憧憬を感じた。
「私は君に守られていただけだからな……」
「ベン、傷を見せてみろ」
「なんだって?」
「俺のも見せるから。フェアだろ?」
酔いのせいか、マイクの謎理論に笑いながら乗ってやり、二人はシャツを脱いだ。
「君の……その新しい傷は全て私のせいなのか……」
ゆっくりとマイクの傷をなぞる。
「いいや、ミスター・プレジデント。コイツはあのクソったれテロリストのせいさ。だが、アンタの為の傷だと思えば俺の原動力になる」
マイクが信じられないほど優しい顔で続ける。
「そして、アンタのこの銃創。これのおかげで俺は今生きてるし、ケルベロスも止められた」
怪訝な顔をしていた私の銃創をマイクが撫ぜて言う。
「アンタが撃たれながらも戦ってたから、奴に隙ができて俺は奴をぶち殺せた。これは、アンタが俺を救って、アメリカを守った勲章だよ」
マイクはそう言って私の傷痕に口付けた。それは、今まで感じたことの無いほどに甘く腰に響いた。
「君は思ったよりロマンチストだな」
動揺を悟られないように笑っていう。
「そうさ、大統領閣下。知らなかったのか?」
その後は、なにが面白いのか、二人でティーンの様にくすくす笑いながらシーツに包まって眠った。事件以来最高の睡眠だった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「……マイク?」
「お早う、sir。食事は持ってこさせたぜ」
当然のように言うマイクは腰にシーツを巻きつけただけの姿だった。
「まさか、君、その格好で?」
「?ああ」
とんでもない噂がハウスに流れる様子を想像して頭を抱えた。しかし、朝日に照らされたマイクはまるで彫刻のように美しく、こんなゴージャスな男と噂になるのも面白いかもな、と笑ってしまった。
「勿論食べさせてくれるんだろう?ナイト様」
「仰せのままに、Your Majesty!」
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