診断メーカーさんの結果から書きました。糖度55億です。
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 この世には星と呼ばれるものを生み出す者と、それをたべる者、そしてそれ以外の人間が居る。
 ベンジャミンが大統領に就任してしばらく経つと、PPDのマイク・バニングが星喰みであることを知った。そして星を食べなくなると死に至るということも。それを防ぐため、彼は合成の星を摂取していることも知った。星は口から吐き出されるため、嫌悪感なく食べれる相手を探すのはなかなか骨の折れることだった。悲しいかな、彼が付き合っている相手は普通の人間だった。
 それでマイクと友情を結んだ星吐きであるベンジャミンは自分の星を食べてはどうか、もし君がよければ。と言った。そうするとマイクはあっさり承知してくれた。なにしろ合成のものは粗悪で不味いのだ。
 正直マイクが恋人や家族でない人間の異例とも言える申し出を受け入れてくれてベンジャミンは嬉しかった。なぜかなのか何度も何度も思いを巡らると、気づいてしまった。逞しく、強く、自分のため生命を掛け守ってくれる彼の命をその手に握ることは、ベンジャミンの自分でも知らなかった薄暗い独占欲を満たしていることを。彼を、自分無しに生きられないようにしたい。その思いは燃え盛る愛やきらめく恋のように甘かった。
 マイクは生きるために一ヶ月ごとに小瓶一つ分の星が必要だった。そしてベンジャミンは6日ごとに丸く赤い小さな星を小瓶2つ分生み出す。その中にはきらきらする花びらの形のものが少しだけある。それを選り分け彼のための小瓶一つを満たす。幾分少女趣味がすぎるが、自分の産み出す星の一番きれいなものを、特別な彼に食べて欲しかった。

 今日はマイクの星を食べなければ行けない日で、マイクは星を食べると少しのあいだ放心する。そんな姿を部下に見せるわけにはいかなず、任務の間は周知されている友人同士という立場を利用して居住区で食べさせるのが恒例となっていた。そうして今も気の置けない雑談の後ベンジャミンが産み、選り分けたとっておきの星をマイクは咀嚼し、飲み込んだ。そうしてPPDらしく無くぼんやりとしている。
 普段頼もしく絶対的に信頼する男の珍しい様子を見て、ベンジャミンは座っているマイクの前に跪き彼の肉感的な口唇に、美しいガラス細工にするようにそっと触れた。
「……ベン」
 名前を呼ばれて飛びすさる。気付かれた。一気に血の気が引いて飛びすさったあと動けなくなる。
「ベン、あんた……」
「す、すまないマイク。不適切な行為だった……!」
 蒼白になって弁解しているとマイクは困ったよう片頬をあげて苦笑して言う。
「ベン、ベン俺は大丈夫だ。俺はあんたなら構わない」
「は……」
 ベンジャミンは目を丸くした。彼は今なんと言った?息が微かに荒くなり、咳き込むとともに赤い星が零れ落ちる。それを拾い集めてマイクは言う。
「いつもと違う星……いや、いつものも少し混ざってる……?」
 マイクの言葉に今度は顔から湯気が出そうなほど頬が紅潮するのがまざまざと分かった。こうなっては仕方がないので顔を逸らしほとんど呟くようにして言う。
「君に……選り分けてたんだ……私の星の中でも特別な、美しいものを」
 そう言葉を零したベンに、マイクはロマンス映画のようにひざまずいて言う。
「嬉しいよ、ベン。本当にうれしい。……俺はあんたにとって特別?」
 そう言って顔を逸らし、自分の言葉から肯定の証に首まで桃色に染めたベンを眼を合わせるように優しい手つきで導く。そうして二人はお互いの瞳を見つめ合いながら、言葉よりも雄弁な優しい口づけをした。
 それは愛の星より随分と甘かった。




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