コナマフ
微糖な日常。
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食料をコンビニで買い占めてモーテルに帰る。もうここが何個目の町かなんてコナーには分からない。
「あーあ、パラダイスにいきてえなー」
マーフィーはモーテルに帰るまでの短い距離を我慢できずに、ギネスを呷りながらそんな事を呟いた。
コナーは、その言葉が指しているのが現世での(肉体的な)ものなのか、それとも天国のことなのか判らなかったので黙っていた。
前者であれば明日は仕事なのでできるだけ遠慮したいし、後者であれば自分達を根底から覆してしまうのでなおさら黙り込んでしまう。
「あ、見ろよコナー、俺たちだぜ。」
そんなコナーには構いもせず、マーフィーは街頭テレビを顎でしゃくった。
そこには合衆国の地図が映し出されており、親子の足取りが赤く印されていた。「俺たちって働き者だなあ!」
マーフィーが感動したように言う。それにはコナーも同意する。テレビは画面を変え、ボストンの時の似顔絵を大きく映していた。
「はは、いつ見ても似てねえな」
お前誰だ?などと言いながらお世辞にも美しいとはいえないコナーと思われる似顔絵を突く。
「行くぜ」


部屋に帰り、コナーがギネスをやっと飲み始めてもまだ親子のニュースは続いていた。「こいつら本気でこんなことやってんのか?これじゃあ俺たち捕まんねぇよ!」ジャーナリズムはどこ行った?なんて笑って三本目のギネスを開け、返事が返ってこない事を訝しく思ってコナーを見る。
「コナー?」
アイ、小さく呟いたおざなりな返事に気分を悪くする。
「聞いてんのかよ」
もう一度適当な返事をしてコナーが話し始める。こうなると誰にも止められないのでマーフィーは面白がってリモコンを握って黙る。
「こいつらにジャーナリズムなんかねえよ。そんなもんが今まで存在したことはない。」
ギネスを飲みながら適当に聞き流す。画面はやっとニュースが終わり、軽薄な宣伝をがなりたてている。
「見ろよ、ついさっきまで俺たちに向かって人の命を何だと思っているんだ、なんて弾劾してた奴らが今はこれだ。つまりこいつらはなんでもいいのさ。俺たちのことも、裁かれた悪人のことも。真実を伝える気なんてさらさらねぇんだ。俺たちだってこいつらの餌食なんだよ。なぁ、俺たちは本当にユートピアを迎えられるんだろうか?」
「コナー、お前酔ってんだろ」
酔ってないと否定をしようとしてマーフィーの方を見ると涙を流していて、その顔は笑っていたのでどうも悲しそうにコナーには見えた。そうして掛けてやる言葉も見当たらないので、、





パラダイスにいきてえなあ!

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