エッチなハンゾウさん(受)とフニャフニャのコール君(攻)しかいません
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「解くなよ?」
 そう言って悪戯中の子どものように悪魔じみた笑顔を見せる。誰がかといえば今この時も俺の腰の上に跨っているハンゾウさんがだ。それをぽかんと口を開けたマヌケ面で見上げている俺の腕は頭の上でテカテカ光る赤いリボンで縛られている。なぜ。
「この前はお主に好き勝手されたからの、今夜は儂のやり方で甘やかさせてもらう」
 思いもよらないラッキーハプニングにヤッタ〜〜〜!!などと暢気に俺は歓喜の声を心の中で上げていた。それがすぐに後悔に変わるとも知らずに……。
「は、……クソ、ハンゾウさん待って、ぐ、ぅ、……それ、やば…………っ」
 俺の呻めきだか喘ぎだかわからない声を無視してともすれば冷たいほどに綺麗なハンゾウさんが、何を話すにしてもいつも控えめな彼の口が、俺のチンポを舐めしゃぶる。柔らかくてつるつるした粘膜のところであやされたかと思えば口蓋で先端を擦られ、遂には血管が浮き出るほど張り詰めたチンポのカリの張った所を窄めた唇でぐぽぐぽと上下に刺激され、もうこちらは堪ったものではない。
「あ、あ、駄目くるから、出る、でます、離して……!」
 殆ど悲鳴のような懇願をする俺の方をハンゾウさんはグロいことになっているそれを咥えたままちらっと見るが直ぐに下を向いてしまう。ざらりとした味蕾を裏筋に押し付けたまま、痛いほどに吸われて俺のチンポは呆気なく射精してしまった。目の前がぐらぐらするくらい濃いやつが長々と出ている感覚に酔う。
「気持ちよかったか?」
「あ、ぇ、ウソでしょ、俺の飲んだの……?」
「うむ、甘露じゃなこれは」
 カンロ?ちょっと知らない日本語だし、ご先祖様に精子飲ませたとか人としてどうなの、てか400年?前のご先祖様とセックスしてるって何……?などと多すぎる情報量に目を回しているとふさふさした髭と柔らかい唇が頬に押しつけられる。このキスはすごく好きだ。
「愛いな」
「?」
「お主も、お主のこれもじゃ」
 心底楽しそうにハンゾウさんが突ついているのは一度射精したにも拘らずまだまだ元気な俺の息子だ。思わず体を捩ると腕を可愛らしく縛っているリボンがギチギチと音を立てるものだから動きを止めざるを得ない。本当に千切ってしまおうかとも思う。これならいっそちゃんとした手錠とかがよかった、よかったです……、普通に辛いですハンゾウさん。こんなの生殺しだ。
「こら、まだまだこれからぞ?」
「ひぇ……?」
 そう言って再び俺に乗り上げ、まだ服を着たままの小さいお尻を俺のチンポにすりすりしてくる。もうダメ、今夜が俺の命日です。恋人がエッチすぎて涙がでてくる。こんなことってあるんですねクソッタレの神様、ありがとうございます。クソやろう。
「他事を考える余裕があるならまだまだ大丈夫だな?」
 くつくつと笑いながらハンゾウさんはジャージを咥えて裾を胸元まで上げると同時にパンツの方も下げ、ガキの頃見て千切れるほどマスをかいたプレイメイトみたいな格好をしてみせる。
「……?」
 赤い繊細なレースが腰骨の辺りから下へ伸び、その先にはヒイラギ?ヤドリギ?なんだか分からない綺麗なやつと薄い布で隠れているような隠れていないようなハンゾウさんのペニスが俺の前に晒される。
「ひぇ……」
 あまりの事に固まってしまった俺にハンゾウさんは小首を傾げるもすぐにまたエッチな悪魔みたいに笑う。俺のチンポが完全に勃ち上がってハンゾウさんのお尻を叩いたのだ。
「気に入ったようだな?それは重畳、儂も気張った甲斐がある」
 そう嬉しそうに言うと邪魔になったジャージを脱ぎ捨ててセクシーな下着と靴下だけを身につけていやらしく微笑む。
「……上はつけてないんですね?」
 完全にパニック状態の俺の口からさらに訳の分からない言葉が飛び出してさらに慌ててしまう。
「えっと、いやそうじゃなくて……!」
「なんだ、そちらも着けて欲しかったのか?また次の時にな」
 そうくすくすと笑うハンゾウさんに腹の奥の黒々とした何かが疼く。グッと腰を突き上げると俺のチンポを弄んでいたハンゾウさんが驚いた顔をする。それで少し気分が良くなり続けて何度かその動きを繰り返す。段々と中を俺ので突かれている感覚を思い出してきたのか、ハンゾウさんの金色の目がとろんと艶めいていく。
「ふッ、ハンゾウさん、欲しくなってきた?」
 調子に乗った俺がそう言うとハンゾウさんはうっとりとしたまま俺に笑いかける。それがあんまりにも綺麗でいやらしいので俺は忽ち自分の負けだと分かってしまう。
「あー、くそ、ハンゾウさん、いれさせて、いれたい、あなたの全部をください」
 グッドボーイ、そう唇の動きだけで囁くと顔を寄せて深いキスをくれる。夢中でハンゾウさんの唇とその中を舐めたり吸ったり噛み付いたりしていると不意に口づけを止めたハンゾウさんが起き上がってまた悪戯っぽく笑う。あ、やばいこれ。そう思った瞬間ハンゾウさんのエッチな穴にチンポが全部呑み込まれた。目がチカチカする。なんだこれ、こんなの、こんな、うそでしょ?しばらく上を向いて声もなく喘いでいたハンゾウさんがゆっくりとこちらを向く。
「ほんに愛い子じゃ」
 そう歌うように呟くハンゾウさんに、中にぶち込んだ衝撃で射精してしまったことも忘れて俺はリボンを引きちぎる。そのままハンゾウさんを組み敷いて、ぐちょぐちょの穴に入れて、出す、入れて
出す。勢いづいて抜けてしまったチンポをよだれをたらして欲しがっている穴の奥までまた一気に突っ込む。馬鹿になったみたいに腰を振りたくる俺が面白いのかハンゾウさんは愉快そうにいつもより高い声で喘ぐ。
「んッ……きもち、いぃな、こーる」
「はい、はい……!」
 泥濘に全身呑み込まれてしまったような気持ちよさに溺れていく。そっから先はマジで記憶が無い。悔しい。本当に悔しい。
─────────
 誰かが顔を撫でたりくすぐったりしている。やめてほしい、まだまだこの優しいまどろみに浸っていたい。手を顔の前あたりで振り回すと楽しそうにその誰かが笑う。
「起きたか?コール」
「ん……?はんぞーさん…………?」
「そうだ」
 慌てて起き上がると、カーテンの隙間から差し込む朝の光が目に痛くて瞬きを繰り返す。またハンゾウさんが笑う。
「夢?」
「何がじゃ」
「え?いや昨日……え?何?」
「夢では無いぞ」
 しなやかな身体に白いシーツだけを纏わせてベッドに横たわるハンゾウさんが掲げている指先にぶら下がっているのは紛れもなく昨日彼が履いていたランジェリーの残骸だった。
「まさか……」
「うん。高かったのだがな、このざまよ」
「すみません……」
 即座に謝ってしまうが思い返してみれば俺はそんなに悪くないのではないか?というかほんとに夢では?でも精子空っぽの感覚だな?と目を白黒させているとハンゾウさんが遂に声を上げて笑う。
「如何じゃった、儂のプレゼントは」
「プ……、え?」
「少々早いがホリデーギフトというやつじゃ」
「はぇ……?は!?ど、どこでこんな知識を!?というかプレゼント?え?え?」
 うむ、と重々しく話し始めたハンゾウさんの話を聞いてみると、11月末頃からどこもかしこも浮かれたムードなのが気になり本屋やネットで調べに調べたところ、正しい知識のほかに12月は愛の季節❤︎プレゼントはあなた自身❤︎というようなイカれた記事に辿り着きそれを決行したと。そういう次第らしい。
「えっありがとうございます……。でも何で当日じゃないんですか?」
「そりゃ当日は家族みんなで過ごすものじゃろう」
 至極真っ当なことを言われてしまい、くるくると目を回す俺には悪のインターネットとエッチな雑誌を呪うことしかできない。
「幼い頃この時期になると塞いでおっただろう、お主」
 優しい声がほとほとと降ってきて抱えた頭を外しその声の主、ハンゾウさんを見つめる。
「何となくは察していたが実際に調べてみてな、その理由が分かったのだ。せっかくこうして会えるようになったのだからお主に何かしてやりたくてな」
 迷惑だったか?そう殊勝そうに言うハンゾウさんに俺は押し黙る。そりゃまあ、ガキの頃はね?でもさあ!でもねぇ…………、うん……。
「……です」
「ん?」
「嬉しかったです!!!めちゃくちゃ最高でした!!」
「うはははは!それはよかったよかった!」
 からからと笑うハンゾウさんをじっとりと睨め付けるが勝敗などあってないようなものだ。もう、大好き、大好き!
「ぶらじゃあは来年な?」
「あぅ、ぐ、う……!ッよ、よろしくお願いします…………!」
 エッチな恋人に完全に敗北した俺に言えることはそれだけであった。

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本当に何もないエッチしてるだけのコルスコ
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 食後にハンゾウさんが淹れてくれた極上のコーヒーをお供に、何気ない素振りでハンゾウさんを抱き込む形でソファに座り一緒に映画を見ている。ちょくちょく彼の首筋に顔を埋めて幸せを感じるとても甘くて幸せな時間を過ごしている、と思っていた俺をハンゾウさんが憮然とした顔で振り返る。なにか気に触る様な事をしただろうか?胃に氷の塊が落ちてきたような気がする。
「コール、お主」
「な、何ですか?」
「お主は良い子すぎる。たまには俺にも甘やかせてくれぬと困る」
 ああ、よかった……。と安堵すると同時に思いの外嬉しくなってしまう。そうか、頼れる大人には甘えてもいいのだ。一度キンキンに冷えた腹の中が今度は蝶々が舞っているかのようにくすぐったくなる。
「んー、じゃあ俺のお願い聞いてくれます?」
「うむ」
「俺が聞いたことに全部答えてください」
 ハンゾウさんはそれを聞いて面食らったようだった。
「そんなことでいいのか?では構わぬよ」
 思わずにっこりと笑ってしまう。ほんとに全部答えて貰いますからね。
「ぁ、あ、ンぅ……」
 艶かしく俺の下で身体をしならせるハンゾウさんの乳首にふぅ、と息を吹きかける。
「教えて、どっちをいじめてどっちを優しくするか……」
 そう囁きながら筋肉が美しく張り出した胸のふくらみの縁をじっくりと揃えた指の腹でなぞる。開発すればここだけでイけるというのは本当だろうか?
「は、そんな、こぉる……」
「ダメですよ、そんな可愛い声出しても。選んで、ハンゾウさん」
 恥じらいで目の端を赤く染め上げ、涙の膜が光る様を見ている。この美しい人が俺のことを愛してくれているなんて奇跡の様だ。
「ん、ん……、み、右を」
「うん」
「、はぁっ、クソ……右を、ひ、酷く、してくれ……」
「……了解です」
 そう言うと彼の額にちゅっと音を立ててキスをする。そして右の乳暈をそっと摘み上げる様に撫でて先端を硬く尖らせる。それと同時に左の乳暈をくるくると親指で撫でる。そのまま硬さを増した中心も優しくこする様に撫でる。それだけでハンゾウさんの息は忙しくなってきた。
「じゃあそうしますね」
 言うが早いか左の乳首に唇を当ててふにふにと愛してあげて、それとは反対に右の乳首を強く指で摘み上げる。
「んぅ!ぁ、ぁ……」
 色めく吐息にくらくらしながら今度はしこった先端に爪をたててぎゅうと押し込み、反対側は口に含んだままざらついた舌で舐め上げる。ハンゾウさんは少し被虐趣味がある、というのが最近の気づきだ。そんなの燃え上がるに決まっている。
「アァ!ひぅ、こーる……!」
「気持ちいい?ハンゾウさん」
 素直に何度も頷く彼が愛しくて今度は唇に吸い付く。差し出した俺の舌を追って彼がキスをせがむ。される側はたまったものではない。何度も角度を変えながらキスをする間も俺の指は忙しなく彼の乳首を玩ぶ。俺のだ液でぬるつくそこを摘んで、擦り上げて、押し込んで。かと思うと快感で固くなった先端を引っ掻くように掠めて何度も焦らす。手のひらで胸の脇を撫でながら唇で乳首に吸い付き、子犬の様にハンゾウさんの鼻が鳴るのを聞きながら軽く歯を当てる。
「あぁッ!」
 これはもう乳首だけで絶頂するようになるのも時間の問題だな……。などとどこか冷静に思うと、もっと不埒な考えが浮かんだのでそのままそれを実行する。
「ハンゾウさん教えて、もっと乳首する?それともお腹の中俺でいっぱいにする?」
 そう耳に囁きハンゾウさんの身体を撫で下ろした手で下腹を少し力を入れて押す。いやいやをする子供のように首を振る様が愛らしいが約束は守って貰わなくては。
「どっち……?」
「ァ、う……、ン!…ど、どっちも、どっちもしてくれ……」
 小さな声が耳に届いた瞬間に唇を合わせる。そのまま手探りでジェルを握り、起き上がって舌なめずりをして笑う。
「愛してます、ハンゾウさん」
 照れたのか腕で顔を隠してしまったけれど、大人しく股を開いて待っているようすに胸が喜びで跳ねる。手にたっぷりとジェルを取り、それを纏わせた指の腹で貞淑な窄まりを撫で回す。そうしている内にそこは少しずつ俺を受け入れようと綻んでくる。俺が、この人の身体を、作り替えたのだ。
「指を挿れますね……、気持ちいいところ、教えて下さいね」
 ひぃ、と息を吸うハンゾウさんが愛しい。身体はすっかり俺のことを受け入れていても恥ずかしいらしく、そんな風にされると頭に血が登ってしまう。ZENの呼吸を整えて指を沈めていく。切れ切れの喘ぎを聞きながらゆっくりと指の数を増やしていく。
「ハンゾウさん、どこを引っかいて欲しい?それともここトントンして欲しい?」
そう言いながら増やしていった指の腹でハンゾウさんの弱いところを撫でてやるとぷっくりとそこが膨らみ出した。
「あ、ぅあ、も、いじわるするな、こぉる……!」
「かわいい、ハンゾウさん…」
 正直限界が近い俺は名残り惜しそうに吸いつく媚肉から指を抜き、とっくに臨戦態勢の己のペニスにスキンを被せる。その一連の動きを見ていたハンゾウさんの期待が高まっている空気がひしひしと伝わってくる。普段はできるだけ自分をコントロールしようとしているのか俺を求めるような素振りはあまりない。喘ぎ声だってあえかなものだ。お願いしたとは言えあまりに素直に求められて目眩がしそうなほど興奮する。
「奥まで、一気に、突っ込んでいい?」
「だ、だめ……だ、おかしくなる、からぁ……」
「どうしてもだめ?」
 見たいな、ハンゾウさんのおかしくなっちゃうところ。そう囁きながら綺麗な耳に口づけを繰り返し、戯れに張り出したところを舐めたり唇で咥えたりする。
「ん、んッ、ずるい、こーる……」
 そもそも今夜の趣旨は俺を甘やかすことだったのを思い出したのか、普段あれほど毅然としたハンゾウさんが俺のせいでふにゃふにゃになっているのはとても可愛い。ダメ押しとばかりに小さく口を開いた後孔に先走りが溢れてきた自分のペニスの先をあてがう。くち、と淫らな水音が立ちまた一つ腰が重くなる。
「〜〜〜ッ、好きにしろ……!」
 ヤケを起こしたのか、彼は後ろに倒れ込んでそう宣言した。ありがと、と少し不貞腐れたような頬に軽くキスをして改めて俺よりずいぶん華奢な腰を掴み直すと、自分でも引くほど怒張したペニスをぐちゅぐちゅの穴にどすんと突っ込む。ああ、やばい。トんだ。
 犬が水を払うみたいに頭を振ると、同じくぶっ飛んだらしいハンゾウさんにベッドに放ってあったペットボトルを取り、口移しで何度か水を飲ませると意識が戻ったはいいがとろんとしたままのハンゾウさんと目が合う。中はずっとイっているのか軽く蠕動している。乳首に口付けすれば面白いほどにうねって俺のペニスに絡みついてきた。もう俺の腰から下は甘い熱で溶けて消えてしまったのかと思う。
「ごめんね、でもめちゃくちゃ気持ちいい……」
 しあわせ、そう言ってふにゃりと笑いかけると、ハンゾウさんが呆れた様な顔をしながらも吐息で笑い、噛み付く様にキスをしてくる。腰を緩く振って熱い熱い彼の身体の中を味わい尽くしながら舌を絡め合い、揉み合い、吸い上げる。突き上げるのと同じリズムで溢れる声にすら食いつき咥内を蹂躙する。
「は、こら、息が、できんだろう…、んっ……」
「好きです、ハンゾウさん、好き、大好き」
「ぁ、あ、う、……ァ!ん、ぅ、あ、こーる、こぉ、る……!」
 金色の瞳が官能に蕩けて、きっとこの世のどんな宝石よりも美しい。もっともっとその目を艶やかに潤ませて俺のことを求めて欲しい。甘やかされるって、欲望が膨らむ一方だ。なんていう特権だろう!いったいどこまで許されるのかな?などという疑問がよぎったが今回はさすがに収める。おいおいその辺りは探っていこう。
「ハンゾウさん」
「ぁ、ア!んぅ……なに、なんだ、こーる……、ぁ……」
「キスして」
「ん……」
「ぅ……、あれ?」
 ベッドの上で手を伸ばすとハンゾウさんがいるはずの場所が空っぽで、寝ぼけたまま起き上がった。辺りを見回すと足の横に布団の塊が転がっている。
「ハンゾウさん何してるの?」
 笑いながら布団の中に潜り込もうとするが、丸くてふわふわの見た目ながらガードが堅い。さすがは白井流といったところか。侵入を試みるのを一旦止めて聞き取り調査を始めた。
「……、…………!……」
 どうやら昨日の痴態を(俺にとっては最高でしかなかったが)思い出して俺に合わせる顔がないらしい。何それ。可愛過ぎて泣きそう。
しかし布団に潜ったままだと俺の大好きな人が窒息しかねないので再び侵入を試み、今度は無事成功する。
「ハンゾウさん」
「………………なんだ」
「俺、すごく嬉しかったよ。あなたにお願い聞いてもらって。あんまり他の人に甘えるって経験なくてさ、だからすごく感動しちゃった。ありがと」
 そう言って小さくキスをする。ばさ、と布団が捲られて外の少しひんやりとした空気に一息つく。
「……それなら良い。あまり我慢するな、体に悪いからな」
 ぼそぼそとそんなことを呟いたハンゾウさんを抱きしめる。
「じゃあまたやろうね!」
「!?」
 そんなに頻繁にはできない、というようなことを言っているらしいハンゾウさんを抱え直し、素晴らしいぽかぽかの天気の中俺は二度寝を決めたのであった。


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むらさきの〜軸のファンアダ短文


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「戦い方が変わったか?それに随分と雰囲気も変わったな」
 常の如く悪魔達を葬り去ったアダムに顔見知りのガーゴイルが話しかける。どういうことか分からないまま黙っていると、そんなアダムを庇う様に黒いマントが翻りガーゴイルとの間に壁を作る。エリックだ。
「アダム、これは敵か?」
「違う……?はずだ」
 二人の会話にガーゴイル達は苦笑する。
「成る程、師ができたのか」
「違う。伴侶だ」
 エリックがガーゴイルの言葉を遮る様に力強く言い切る。
「エリックが言うならそうなんだろう」
「お熱いことで。それよりもお前、お前からは……。両親はいるのか?」
「いない。必要もないしな」
 そう答えるエリックをガーゴイルはまじまじと見つめ、顎に手を当てる。
「お前から同族の匂いが僅かにする。そしてこれは関係のない話かもしれないが──」
 そう言って男は人の姿から本来のガーゴイルの姿になった。その様はエリックの美的感覚で醜い、とされる見目であった。思わずエリックは仮面に手をやる。そしてそのガーゴイルが語るには人間の女に惚れ込んだ同族がおり、勢い余ってか愛し合っていたのかは分からないが禁忌を犯し堕天した者がいると言う。
「……つまりその愚か者が私を作ったと?反吐がでるな」
「まあそう言うな。もしそうならお前の寿命はその他の人間より遥かに長いはずだ。思い当たる節があるんじゃないか?」
 ふむ。そういった様子で二人は考え込む。確かに出逢ってから随分と経ったような気がするのに、エリックの容姿に衰えは見られない。
「正確には分からないけれど、アダムと共に長い時を過ごせるってこと?」
「そうだろうな。まあ悪魔共に殺されなければの話だが」
 ガーゴイル達の会話を聞き、エリックを見つめてアダムが言う。
「今感じているのはお前が教えてくれた歓喜だと思う。抱きしめていいか?」
「勿論だ。我が愛、我が全て」
 気を利かせ、去っていったガーゴイル達のおかげで深い優しく暗い森には抱き合う二人しかいない。アダムのよく鍛えられた肩に顔を埋めたエリックは、アダムに出逢うまで虐み憎んでいた己の疵を祝福だと思ったのであった。


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およそ7年によるマイベンツイート纏め本と、前回のマイベンじぇりあろ再録集に収録できなかったものの新刊があります。ご報告が遅れて申し訳ないです!
https://vvsm52.booth.pm/

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ジェリアロアンソロジーに寄稿させていただいたR18ファンアダです。


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ファントムに言われるままにアダムは城に留まった。そして居心地の良い寝ぐらを 獣が守るように二人の根城を悪魔たちから守ろうとし、ある晩一人で鬱蒼とした森へと入る。するとまんまと誘われてきた悪魔どもがアダムを囲む。相手は六匹だった。しかし長い年月鍛えたアダムの敵ではない。踊るように打ち殺していく。しかし。殺し損ねた最後の悪魔に後ろからアダムは刺された。深い傷だった。それでもアダムは振り返りざまにそれの頭を吹き飛ばし地獄へ送った。それからアダムは最初に城に踏み入れたときより多く赤い血を流しながら体を引きずるようにしてファントムの秘密の部屋に向かった。
「アダム!!!」
「少し、油断した……」
 ファントムはとり急ぎ治療をしながらも激高し、思いつく限り全ての言語で悪魔を罵倒する。
「どうして、そんなに、怒っている」
そう言うと彼は跪いてアダムの頬を優しく包み言う。
「かわいいおまえを殺されそうになったんだ、当然だろう、私の天使」
「……俺は化物で、天使じゃない」
そう眉根をよせて呟くアダムにファントムは薄緑に光る眼を細めて言う。
「私のために悪魔を倒したおまえはガーゴイルどもよりも、よっぽど私の天使だろう?」
微笑む男を見ていると、アダムの心臓が初めて跳ねた。それからなぜかぎゅうと締め付けられた胸に手をあてた。
 その後ファントムはアダムに美しいシルクのシャツを着せ、隠していた己の名を教え、手元に置きたがった。そうして悪魔との戦いに知らず倦んでいたアダムを甘やかす。それは迫害され続け、人間にも天使の下僕にも悪魔にもなれなず、優しくなどされたことないアダムにとって、あまりにも心地がよすぎた。
 そうして長い間屋敷にいる間、男の歌う天上の声で、オペラや、膨大な書庫にある歌のその原作やその他もろもろをアダムは値千金の声で読み聴かせてもらった。そうしてそれらを余すことなく吸収する。ただアダムには、人間の感情の機微について分からないことが多すぎた。
「エリック、なぜロミオとジュリエットは死んだ?なぜドン・ホセはミカエラを殺した?アディーナはなぜネモリーノを選んだんだ?」
 少し微笑んで親が説明するようにアダムに優しく教える。
「ロミオとジュリエットは愛したものを失ったから。ホセは愛したミカエラに袖にされたから。アディーナはネモリーノを愛していたことに気づいたからだ」
 少し考え込んでアダムは言う。
「その愛とはなんだ?」
 アダムの質問にエリックは面食らってしまう。
「おまえは愛を知らないのか?」
 少しの沈黙のあと、正直にアダムは言う。
「ああ」
 そう言うアダムの深い金の髪を梳いて悲哀に満ちた声音でエリックは言う。
「そうか。……教えてやりたいが、そうもいかない。私も愛されたことがなく、捧げた愛に裏切られたのだから。」
「……そうなのか」
 哀しみとも慈しみともとれる笑みを浮かべ、エリックはアダムの頬に手を当て言った。
「だが、……共に、おまえとなら学びたいと思うよ。美しい私のおまえ、私の守護天使」
 そう優しく微笑んだエリックは突如冷たく光るペーパーナイフを振りかぶり、己の手の甲に向けて振りおとそうと高く掲げた。
「なんて莫迦なことをするんだ!!!あんたの宝だろうその手は!!」
 握られたナイフを弾き飛ばしたアダムは悲鳴のような声を荒げる。エリックの怪我を免れた手をアダムは強く握りしめ、射るように睨む。そんなアダムに臆面もなくエリックは微笑み言う。
「これがおまえの愛だ。大切で愚かな私を守り、心配し、慈しみ、相手のために叱りつけることが出来る。これも愛の一つの形だよ、アダム」
「……俺はあんたを、愛している……のか?」
「そうさ、そして私達の根城を守るために闘う。これも愛だ」
「……あんたが俺の傷を癒すのも愛、なのか?」」
 エリックは微笑みながらアダムの口唇に己のそれを重ねた。
「今のはなんだ?」
「いとしい相手にすること、口づけだ。かわいい私のサヴァラン。お前を愛しているよ」
 エリックは微笑んで続ける。
「残りの愛は文学で謳われるような恋人たちの燃え上がる情愛だ。ロミオとジュリエットが同じベッドで過ごした時にしたように、ドン・ホセがミカエラに求めたもの。愛するもの同士が触れ合いたいと言う思いで体を重ねるのだ。そうしてふたりは一つになる。……そしておまえにその私の全ての苦悩の根源を晒してでもその尊い愛を二人で得たいと願うよ、アダム」
 そうとろけるような声で囁いたエリックの白面をアダムは優しく取りはずした。そしてアダムは作られてから初めて微笑んで言う。
「なんだ、やっぱりあんたは美しいままじゃないか」
 そうしてエリックにアダムは掠れた声で囁く。
「あんたと、繋がりたい。ひとつになりたい。他でもない、美しい魂を持つあんたと。俺にそういう機能があるのか分からないが、あるのならそうしたいし、して欲しい。これが情愛か?」
 そっと涙を零しながらエリックはアダムの顔を優しく包み言う。
「そうだよ、私が焦がれ続けたものだ。アダム、清らかな私の救い主、私の運命。共に愛し合おうじゃないか」
 切ない水の張った、蝋燭の火で燦めく眼をしてエリックは困惑した顔でアダムに告げる。
「だが私はやり方の知識しか無いからおまえを傷つけてしまうかもしれない」
 それを聞いて神妙にアダムは言った。
「俺は頑丈だから平気だ、エリック。それに、あんたに傷つけられるなら構わない」
 二人の生まれて初めての口づけは、おそるおそる、そして次第に長くなり、だんだんと二人の熱を交換していき、お互いの香りや熱い吐息が混ざるほどに全身を密着させ、ぬめる熱い舌を絡め、啄み、そして吸い上げた。お互い息がうまくできないのに、口づけを何度も交わしてどちらのともつかない混ざりあった唾液を零しながら、アダムは途切れ途切れに言った。
「にんげんは、はぁっ、ン……こんなことをいつ、も、ぁ、して、いるのか……?」
「そうさ、ぁあ……。情を、はッ、交わしたいほど、ふ、愛する相手にはね。この私に、まさか、ん、そんな……」
 そう告げながらエリックはキスをアダムの唇の端に落とし、そのまま顎のラインを舐めあげてから首筋に軽いキスを繰り返し、再び舌を這わせてから鎖骨に走る傷痕を優しく喰む。
誰かにここまで近づき、体温を感じるのは、お互いにとって初めての感覚だった。
「ンぅ、ぁ、ふ、ん、エリック、えり、身体が、あつい……、なんだ、こんな」
 そう低く掠れたアダムの声に興奮したエリックはお互いのボトムスと下着を下げ、緩く芯を持ち始めた二本の立派な性器を剥きだしにする。
「私も、熱い……これを、はぁっ、触ってくれないか。おまえのも、そうするから、アダム」
 唇を何度も柔く噛まれながらアダムは言われるままそうしようとする。しかし与えられる官能に戸惑い、エリックの懇願を叶えられないでいるアダムを余所に、エリックは二本同時に擦り上げる。
「は、アァ!それ、ひッ!なに、うぁ!んぅ、エリック、エリック……ぁア!」
「ぁあ、融けて、ふっ!しまいそうだ……私の天使、愛しい、おまえ……。」
 そう言うエリックの頑なに隠されていた側の顔に口づけたアダムの瞳は潤んで彼の顔がぼやける。そうして胸が血を流すほどに締め付けられる。この痛みが愛だろうか。この苦しさが喜びだろうか。この息もできないほどの暖かさが幸せなのだろうか。そうだといい。ぐちゃぐちゃの感情を抱えながら、アダムはエリックの爛れた頬をそっと撫でる。そうするとエリックは困ったように笑って、美しく涙を零す。どれほど迫害されたのだろう。そしてどれほど自らを憎み、怒りと孤独を生きてきたのか。異なるものを排除する狭量な人間どもの世界で。自らと同じく傷ついた、そして子どもの心のままの美しい男を思い、アダムは目蓋にそっと口付けを落とした。
そうしてアダムは掠れた声で続きをねだるエリックの額にあやすように何度も口づけ、お互いの乱れた服を取り払う。するとエリックはおもむろに組み敷いたアダムの全身にある傷を、胸から顔に流れる縫い目をゆっくりと何度も舐め上げる。そうするたびにアダムのそれは、まるで誘うように赤く染まってゆく。
「は、ぁ!えりっく、いやだ、はぁっ!それ、ぅ、止めろ……っン!」
 アダムが恥じているその傷は[何か』を感じるらしく、刺激するな、というアダムの懇願を聞く耳を持たず口付けを落としては舐めていき下半身まで続く縫い跡の愛撫に夢中になっているエリックに、アダムは未知の感覚に怯えながらもエリックを傷つけないように上等なシーツをくしゃりと掴み身をよじる。
「アダム、アダム……」
「ッ、はっ、はぁ、なに、何だ、エリック」
 エリックはアダムの頬を包めるように起き上がり、アダムの半開きの口にキスをして自ら招き入れた舌を柔く噛んで言う。
「こうすると、どう感じる?これは?」
 エリックはそう言ってアダムの雄の付け根を優しく指でなで上げると、アダムは震え言う。
「こん、ぁ、知らな、ぐ!」
 その言葉にニヤリと片頬を上げたエリックはことさら艶めいた声をアダムの耳に流し入れる。
「きもちいい、というのだそれは。言ってごらん」
「ぁ、う、……ん、きもち、きもちいい……!」
 そう零した瞬間これまでに無いほどの痺れがびりびりとアダムの身体を突き抜け大きく開いた両足のつま先がぎゅうと丸くなる。それを見て、また肌を通じて感じ取ったエリックは再び傷を舐め始める。彼の創造主が悪趣味にも潰した臍のあたりからその傷が導くまま柔らかな下腹を、そしてついには男性器の根本にある縫い目にまで到達する。
「いやだ、いやだぁ、エリック……それ、な、んン!なに、ひぅ!ア……!や、だめ、だめだ、ぁ、そんなのは……っ」
 そう泣き言を漏らし、エリックが隠していた柔らかな栗毛に指を通し頭を両手で抑えるアダムが、エリックには愛おしくて堪らない。そしてそのまま勃ち上がったアダム自身を咥え、吸い付き、キスを繰り返しては陰嚢にを喰み、口内の柔らかくなめらかな粘膜で何度も擦る。そう口淫をしているだけでエリックは自らの雄が堅く反り上がって精液とは異なる透明な液がダラダラと流れているのに気づいて言う。
「ああ、ふっ、ぅあ、アダム……お前と繋がりたい」
「俺も、したい……どうしたらいい?」
「ここに、私のこれを、挿れたい」
 そう言って貞淑なアダムの秘処を指で撫でる。
「そこはそうやって使うのか……」
 エリックの囁きにあっさりと子どものように納得し、彼が挿入しやすいようにアダムはうつ伏せる。
「いい子……腰をあげてくれ」
 言われるがまま腰を上げるアダムに、エリックは身体が震えるほど心動かされる。一生経験すること無く死んでいくという絶望していた愛の行為を、今から己を心から愛してくれる相手と行うのだ。
 エリックは香油をたらたらとたっぷりと手に取り、手のひらの体温で温める。そうしてから指にたっぷりとそれで濡らし、アダムの後孔をほぐしていく。
「辛いか?」
 途中で辞めることなどできそうにもないが、アダムを労るように言う。
「いや……変な感じがする、だけだ」
「ここは?」
 そう言って愛しいアダムの創造主の手帳に書いてあった快楽の源をそっと押す。
「っ!な、ぁ!ひっ……!そこ、ひあ!ア!エリック、えりっく!」
 その普段はけして聞けないような高く焦った声に煽られたエリックは自身を当てがうと招き入れるようにうごめくそこに当てる。と、それだけで激しい官能が襲いどくどくと濃い白濁が迸りそこを汚してしまった。己が汚したアダムの尻やそこから見え、固くなり震えている2つの袋、そしてよく鍛えられた太腿に白い飛沫がつうと垂れるのを見たエリックは強烈な羞恥にかられた。
「すまない……」
 そう謝るとアダムは首まで真っ赤に染めた顔で振り向き言う。
「いい、いいから早くしてくれ……!」
 その懇願にエリック自身は目眩を起こすほど興奮して再び堅く太くなった昂りを突き入れた。
「ぁ!はアッ、い"!ひっ、ぐ、えりっく……!!」
 アダムの苦しそうな呻きは聞こえたが、エリックに腰を振るのを止められるはずがなかった。そうして先ほど見つけた官能の水源を執拗に突く。
「アダム、アダム……。愛して、る!」
「ぁあああッ、そこ、いやだ、いゃ、だ、おかしくなるっ、んぅ!」
「はぁっ、は、ふ、アダムっ、すまな、止まら、ない……!」」
「んあああッ!ひ、だめ、気持ちぃ、えりっ、怖、こわい、ああ!ぃああああッ!!」
 そう叫ぶとアダムは腰をぶるぶるとふるわせ白い迸りを放った。その後孔の収縮に敵うはずもなくエリックは熱く長いため息と共に白濁でアダムの中を満たす。しかしエリックはそこに留まり硬さを保ったままのそれをアダムの狭隘に絡め取られる。そうしてそのまま一心にとどく限り奥の方を狙い男根で穿つ。
「ひっ!あ!アっ待て、まてっエリック、ぅ、あっ、あ、あ、アッ、あぅ、あっ、ア、あァ!」
 深い深いところに何度もキスをするようにエリックの雄に突かれ、嬌声というよりは衝撃のまま声が漏れている。しかしその声とは裏腹にアダムの体内はエリックをうねり締め付け、白濁が泡立つはしたない水音を響かせながらエリックを愛する。そうしているうちに無意識にアダムは自らのそれを何度も擦り上げて紅い扇情的なシーツに白く熱い飛沫をぶち撒け、達した。
「あぁ、はっ!はッ!アダム……!!」
 アダムの甘い甘い柔らかな肉に強烈に絡め取られ、後を追いエリック自身も信じられないほどの量の精をアダムの深いところに注ぎ込んだ。頭がクラクラする。
 エリックはアダムをひっくり返して過ぎる快感で涙を流すアダムの歯の裏側を舐め、それから尖らせた舌先で口蓋をくすぐり、お互いの唾液を交換する情熱的な口付けをした。
そうしてアダムの顎から首、鎖骨と口付けを下ろしていき、よく鍛えられた身体の見事な腹筋まで到達する。そうして赤い舌で縫い目に誘われて胸まで舐め上げ舌を離し舌舐めずりしてそこだけ桃色にふっくらとした乳暈の頂きを口に含み、何度も舐め上げては柔く歯をたて、吸い上げる。反対側の快感で赤く変わり硬く立ち上がったそれを優しく摘み上げ、かと思うと指で挟み撫でてやる。腰に響くその刺激でもう何も考えられなくなったアダムは、身体を痺れさすそれになんとかついていこうと熱く掠れたため息をつきエリックを抱き締める。それは少々苦しかったが喜びの方が勝りエリックを何よりも、それこそ高揚させ煽った。
「ぁああ……エリック……は、ぁっそれ、それいや……だ!」
「は、ふ、痛いか」
「ちが、ちがくて、なにかくる……いや、アッ!えり、いや、だ、ぁあ!」
 その可愛らしい泣き言を聞くが速いかエリックはゴツゴツとしたアダムの腰をつかみ猛り立った己で貫く。
「ぁああああああ!!!」
 アダムはその衝撃で艶やかな鳴き声を上げて身体が跳ねる。それをエリックはかき抱きそこかしこに口づけを落とす。
 そうしているうちに少し落ちついたアダムはぐるりと再び二人の体制を変えエリックの腰の上に跨る。
「あんたばっかり、ずるい……。俺にも愛させろ」
 アダムは甘く低い声で言い放つと、体勢ををぐるりと変え腰の上に乗る。そしてエリック自身を双丘のあわいで擦り上げ完全に勃ち上がらせる。そしてそそり立ったエリックの剛直を先ほどまでの行為でぱくりと開きエリックの白濁で満たされたそこで飲み込み始めた。
「あ……、ンゥ……、あ、はぁっエリックぅ……!ふとい、ッ、ひぅ!」
「無理に、はァッ、奥まで、入れなく、ン……てもいい、アダム……」
 その言葉に競争心を擽られたのか、アダムはエリックのそそり勃つそれを美しい指で支えながら、骨がぶつかる音が聞こえそうに一気に限界まで挿れ、高く切なく喘ぐ。
「だいじょう、ぶ、か、はッあ、アダム……」
「ぃあああ、ふか、深いいいいい……!うぁ、ああ!ぁ、えりっく、エリック!!」
 ほとんど叫ぶように嬌声をあげ達したアダムは、熱い吐息を整えると同じく快楽を極めたエリックを蕩けた瞳で見下ろし勝ち誇ったような様子で言う。
「これで、はッ、あ、あんたは、俺のものだ」
 むせかえるような薔薇と雄の香りの中でそう妖艶に笑うアダムは彼の言う化物は化物でもサキュバスのようでエリックはくらくらする。それはもうこのまま全てアダムに精も命も吸い取られて死にたいと思うほどだった。
「あんたに……、気持ちよくなって、ほしい、エリック……」
 アダムのその健気な言葉に煽られ、エリックがアダムの腰を掴み前後にゆすると、アダムの薄く開いた口から小さく声が漏れる。そうしてアダムはエリックの顔に近づくように身体を密着させ可愛らしい音をたて何度も何度も口付ける。その間も恍惚としてエリックは言葉を紡ぐ。
「ああ……アダム、私の救い主……愛そのもの、うつくしいおまえ……」
そのうっとりとした囁きすべてがぴりぴりとした快感となり腰をくすぐる。アダムは甘美なため息をついて天を仰いだ。
「っひ、ぅ!そん、それ……!ゃ、だめッ、んぁああああっ!いや、嫌だ、ひ、きもちい……ッ!」
 全身に鳥肌が立つほど感じたアダムをビリビリとした快感が腰から後頭部まで襲う。
「ぃああああッ!なに、なん、あは、ッんゥ!やぁ、アアアアっ!!!ひ、や、えぃ、えりっく、エリック!止まらな、溶けぅ、んあああああ!!」
「アダム……、アダム……!!!」
「やあああああ!こわい、エリ、怖ぃいいっ」
 そう声をあげ、アダムはぱたぱたと汗を落としながら一層エリックに縋り付く。
「シー……、アダム、泣くな……お前に、ん、泣かれると、こまる……」
 そうエリックは優しく言いつつも腰を振るのを止められない。こんなに熱い悦びは、知らなかった。
「はぁぁぁぁっ!」
 エリックは感極まった息をつくと、身をぶるぶると震わせ昇りつめた。下腹が熱い白濁液で再び満たされアダムはそこを愛おしげに撫でた。
「気持ちいい……あんたの愛は」
「お前の愛は優しいよ。私の天使が焦がれ続けたものをくれた……」
 そう囁き額に口付けたエリックの肩に顔を埋めると、アダムは初めての幸福で満たされたのだった。

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同じく再録本「リンカーネイション・パレード」(https://vvsm52.booth.pm/items/1453465)集録の書き下ろしのジェイジョシュ


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「やあ、救世主さんたち!」
 命からがら地上に戻り嬉しいんだかくたびれているのかまだ分からないジョシュとレベッカは、突然現れたハンサムな熊みたいな大男の熱烈なハグと握手に見舞われ、何がなんだか分からず目を白黒させてしまう。正直に言えばぎょっとしたのだ。でかい。
「おっと。ジェイク・ローソンだ。よろしく」
 その男はおどけたように笑っていう。
「"あの"ジェイク・ローソン!?」
「なんでこんなところに……」
 本当にわけがわからなかった。戸惑う二人の肩をたたいて快活にジェイクは言う。
「つれないことをいうなよ、世界を救った仲間同士だろ」
「まあ……」
「さ、その英雄譚を聞かせてくれよ」
「なるほど。それならジョシュの方が詳しいし、説明も上手なので。じゃ、あとはよろしく!」
 そう言ってウインクをして無情にも去ろうとするレベッカに行かないで!と叫びそうになる。ジョシュは人見知りのうえ、こういった押しの強い人間が一等苦手なのだ。すっかり困っているといかにも政府の人間、と言った青年がこちらにすごい勢いで向かって来て言う。
「兄さん!2人に話を聞くのは政府が先だぞ!」
「じゃあその場に居させろよ」
「できるわけないだろ!!」
 そんなジェイクの弟の悲鳴も虚しく宣言通り説明会に同席したジェイクは、ようやっとお硬いお歴々から開放されたジョシュの肩に長年の友のように手を添えて快活に言う。
「いい報告だった。流石だな!ところで君は地下の先生だろ?すまないが色々教えて欲しいんだが、いいか?」
「いいけど……。でもなんで?メイジャー・トムは墓穴なんか掘らないだろ」
「可愛い顔をして言うねえ!……真面目な話をすると、今回みたいなことを二度と起こしたくない。君もそうだろ?どうだ?君と俺なら宇宙だってこの星を中からも外からもコントロールできるようになる。そう思わないか?」
まったく、夢みたいな事を言う。でもこの男なら実現させるかもしれない。そう思わせる笑顔だった。
「分かったよ。でも機密事項って念を押されたからなぁ……。カフェで話すわけにもいかないし」
「じゃあ俺の家はどうだ?なんとか残ってるからさ。あ、でも疲れてるなら後日でも」
 あまりの圧に嫌だと言えるはずもなくジョシュは肩を竦めた。
「OK」
 そうして彼の(驚いたことに)質素なトレーラーハウスに行き、少し話をしただけでジョシュには分かった。彼は才気というギフトを授かっている。ジェイクは真に天才だ。自分は着実に物事を運ぶが、ローソンは閃きで生きている。すごい、素直にそう思った。
「ジョシュは凄いな、俺の話をすんなり理解できるやつは少ない」
 そんな自分と全く違う、しかし尊敬できる相手にそう言われるのはなかなか面映ゆかったが悪い気分ではなかった。
「もうこんな時間だ……」
「悪い、夢中になってしまった。あー、君がもしよければ泊まっていかないか?」
 それを聞いてジョシュは固まってしまった。いくら下心が無いとは言え戸惑う。
 この人は、自分がゲイだと、知らないのだ。
「いや娘さんのベッドはだめでしょ……」
「そうか?じゃあ俺のベッドで寝ろよ。俺はソファで寝る」
「ソファだとあんたはみ出るだろ。いいよ僕が、」
 なんだかんだ流されて泊まることになってしまい最初は戸惑ったが、とはいえ惚れてるわけでも寝込みを襲うわけでもなし、特にセクシャリティを伝えなくてもいいか。そう判断して遠慮なく泊まる事になったわけだが、押し切られてジェイクのベッドで寝ることになってしまった。眠いのは事実だったので早々にベッドに入った。
(あ、これあの人のにおいか)
 その晩は途方もなく暗い箱を思わせるような寝床に怯んだとは思えないほどに、よく眠れた。
それからというものの、さすがにこれが世界を、いやこの惑星自体のあり様を変えてしまった男か、という程の熱量とロマンを語りジョシュやその周りを巻き込んでジェイクはいつの間にやらジョシュに馴染んでしまった。そうして二人は議論を戦わせたり、ジョシュの勤める大学の空き部屋で怪しげな試作品を作ったりする、人が望んでも手に入らないような間柄となった。もしも二人の生まれた時代があと5年違ったら?もしもあのような大災害が二度も起こらなかったら?もしもどちらかがミッションで命を落としていたら?もしも、もしも。
「よかったのか、あれだけで」
 そう尋ねるジェイクにジョシュは少し笑ってみせる。
「いいんだ。これから迷惑をかけることになるし」
 しとりしとりと纏わりつくような雨の中、二人っきりの様な傘の中からサージの葬儀を見つめていた。
 そして葬儀が終わってから幼い娘たちを連れた彼の妻にノートを手渡したのをジェイクは言ったのだ。渡して、それだけ。ハグもお悔やみの言葉も出なかった。大切な、そして生死を共にした友人の葬儀だというのに。でもそれでいい、とジョシュは思う。今、ラッドがリークした英雄譚が世界を駆け巡り始めている。それは大混乱を引き起こすだろう。残された家族には他人の不幸を喜ぶ人間が群がるだろう。それでも彼らのしたことを世界に伝えるのは残された者たちの使命だった。しかしそれに耐えてくれ、と残された彼女らに押し付けたことは傲慢であり非道なことだとジョシュは知りすぎていた。それで何も言えなかった。ジェイクは全てを感じ取って、それでもそんなジョシュを気遣ってくれる。
「ありがとう、付いてきてくれて」
 ジェイクにそう言うと優しく笑って肩をぽんと叩かれた。それから二人は静かに立ち並ぶ墓石にたちの中黙って音も立てずに降る雨の中を歩く。ああ、この人が好きだなあとジョシュは思った。心臓に冷たさが沁み入るようだった。ジョシュにとって、彼のような男と愛し合えるようになるなどというのは幻想にすぎないのだった。
 そもそもジェイクは自分のことを弟分としか見ていない。その証拠に事あるごとにジョシュが弟ならよかった、と言うだとか、子どもにやるように頭を撫で回したり親愛の情を込めて頬を軽く叩くのだ。機械油で汚れた男らしい身体や、真剣に計算している時の精悍な顔つきにジョシュが胸をときめかせ、欲を燻らせているのも知らずに。勿論伝えない自分のせいでそれが当然だという事は分かっている。それでも、もうジョシュには限界だった。
 数日後、ジョシュはいつものように機械を弄り回しているジェイクの元へ赴いた。よお、遅かったじゃないか、なんて頭を乱暴に撫でて挨拶される。それを適当にいなしてジェイクの隣に座る。
「これは?」
 そう問うと喜々として説明しだす。この関係で満足できない自分はなんて浅ましいのだろうと胸が痛んだ。
「ジョシュ?疲れてるのか?仮眠を取ったほうが良さそうだ。俺にもベッドの端を貸してくれよ」
 朗らかに勝手なことを言うジェイクの唇の端にそっと口づけた。そう、こちらの下心など、思いつきもしてくれないのだ。
「おれはあなたの弟じゃないよ」
 そのまま振り返らなかった。それには胸が苦しすぎたのだった。

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あの口付けの後、姿を見せなくなったジョシュについてぐるぐると考えたが埒も明かずジェイクは彼の研究室を訪れた。扉を開けると、憔悴しきった様子のジョシュはぽかんとした顔をして俺を見た。それからボディに衝撃をうける。
「くましゃ!!!!」
 ジェイクにタックルをかましたジョシュがわけのわからないことを叫ぶが、周りはこの奇行に慣れているのか誰も彼に説明してくれない。まあ自分の周りでもよくあることだ。
「教授、これはローソンさんですよ」
「ほんとだジェイクのにおいするー」
「先生ぇ!あとちょっとじゃないですか!!仕上げましょっ、ね!くまさんもそう思ってますよ!!」
 状況から察するに俺をもふもふしている大先生の論文だかなんだかの締切が迫っているようだ。とジェイクは納得した。まあよくある話だ。
「くまさんはそんなこといわない!ねっ」
 徹夜続きなのか目元が赤いジョシュには可哀想だが周りの縋るような視線が刺さる。しょうがないのでなんとか宥めることにする。ジェイクは娘にもしたことがないような口ぶりで言い聞かせる。ハンナはあっという間に大きく賢くなってしまい、必要なかったのだ。
「もうちょっと、頑張れるかな?」
「……だっこしてくれたらやる」
 神よ。殺人的に可愛らしいジョシュを膝に乗せてPCに向かわせると、もとが優秀な彼らしくものすごい勢いで書き上げていくのを見る。ああ、参った。この青年が可愛らしくて可愛らしくてたまらない。構い倒して護ってやりたい。あの口付け以上を望まれてるなら叶えてやりたい。そう想ってジェイクは膝に乗せたジョシュに腕を回してあっちこっちに飛び跳ねた髪の毛に鼻先をそっと埋めた。
 そうしている内、なんとか形になったところで完全に電池の切れたジョシュの代わりに保存してやってデータを渡した。口々に感謝を述べられたが君らまで俺をくまさんと呼ぶのはどうなのか。とまあそんなこんなでジェイクは静寂の訪れた部屋の仮眠用ベッドにジョシュを運んだ。
「ん、起きたか……?」
 穏やかな寝息につられてうとうとしていた目を開き声をかけると、目を丸くしてこちらを見ていた彼はびゃ、とネット動画によくある驚いた猫みたいに飛び退る。慌てて落ちる直前でキャッチして膝に乗せた。
「ほわ……?ぇ……ジェイ……?いつから??え?」
「最初にくまさんが来たときから俺で、抱っこして作業したときも俺、ジョシュが寝ようとしたら疲れマラが痛くて寝れないって泣いたから擦ってイかしてあげたのも俺、そのあと布団になってたのも俺だよ」
 そうジェイクが言ってやるとますますパニックに陥ったらしいジョシュをベッドに沈めてできるだけいやらしく囁く。
「もう一つ覚えてるか?目が覚めたら抱かせてくれるって約束したの」
 可哀想なほど目を白黒させているジョシュに苦笑してそっと覆いかぶさっていた身体を起こそうとすると引き止められた。そうして目元を真っ赤に染めて小さな声で尋ねられる。
「じぇいく、おれで勃つの」
 我慢させまくっていた相棒に止めの一撃を加えられ、ジェイクは無言でジョシュの太腿に固く張り詰めだしたそれを擦り付ける。びくりと身体を震わせたジョシュは美しい瞳を揺らめかせ、紅い舌で薄い唇を湿らせると言った。
「それ、……舐めたい」
 正直限界であった。
「……だめ」
「なんで?」
 そんな無垢な少女のような眼で聞かないで欲しい。ジェイクは妙な罪悪感に襲われる。
「なんでってここ構内だろ」
 そう言うとジョシュは腕を伸ばしてサイドボートのスイッチか何かを叩く。するとドアのロック音と共にカーテンが降りる。よほど変な顔をしていたのかジョシュが言い訳のように言う。
「ほとんどここに住んでるのしってるだろ、……防音にしてんの」
「なるほどね」
「舐めていい?」
「ああもう、わかったよ!好きにしろ」
 子供みたいな調子のくせに色めいた目つきに抗えなかった。どうも調子が崩れる。とは言え(だいぶん)年上の矜持でどか、とジェイクはベッドに座り直した。そうすればジョシュは嬉しそうにその股座に位置を変え、嬉しそうに笑って唇を少し舐め上げた。その様子に、とんでもなく欲情した。
「ふぅ、ッ……、はぁっ……」
 ちろり、と尖らせた舌で亀頭を舐めてからそれを少しだけ口内に含む。柔らかく内側が紅く染まった唇で張り出したそこのくびれをそっと締め付ける。性的なことなど全く考えたこともない様なジョシュが。思わず熱い息が漏れる。それに気を良くしたのか眼を嬉しそうに細め、ぱくりと唾液まみれの滑らかな咥内に更に迎え入れられる。そして聞くに堪えないような卑猥で淫らな水音を立てて頭を上下させる。
「んゥ……、ン、ふゥ、ん、ん……」
 そう甘く鼻を鳴らしながら舐め、喉奥まで咥えてもとどかない根本はその美しい指で扱かれ、さすがのジェイクでも長くは持ちそうになかった。
「はぁッ、ジョシュ、ジョシュア……そんなにしたら、ン、すぐイッちまう……」
「んぁ……、いい、だして……欲しい……」
 とんでもなく魅力的な誘いにくらりとしたが、可愛らしい赤くなった鼻をちょっと抓んで笑って言う。
「だめだ。おじさん一回出したら寝ちゃうぞ」
 むう、と唇を尖らせたジョシュだったが、気を取り直したのか今までが信じられない程恥じらいながら言った。
「じゃあ、その、挿れてくれる?」
「……そうしたいのは山々だがそう簡単にいかないだろ?」
 するとぐるりと体勢を入れ替え、腕を伸ばしたジョシュがヘッドボードの引き出しを開けるとゴロゴロとローションやらスキンやらがでてきた。
「誰だってい、息抜きくらいするだろ!」
 よほどジェイクが驚いた顔をしていたのか、照れてぷんすかするジョシュはそれはそれはかわいいかった。
「最高だな。今度見せてくれ」
「ばか。スケベオヤジ」
 憎まれ口を叩くその口にキスしている間にジョシュは青いスライムのようなカプセルを体内に入れた。少し顰められた眉がたまらなくそそる。
「これ、で、すぐやわらかくなるからちょっと待って」
 全く、科学さまさまである。指にとろりとしたローションのたっぷり付いたスキンを被せ、再びベッドに沈めたジョシュの尻に指を侵入させると、びくりと身体が反応した。
「悪い、痛かったか」
「べつに、大丈夫」
 そう言うジョシュの脚を開かせて、ジェイクは自分のものにもスキンを装着して白い腿に口づける。
「挿れるぞ」
「ん……」
 ぐぐ、と客観的に言って大きい自分のそれをジョシュの狭隘に埋めていったが、正直に言ってまだキツかった。しかしジョシュがあんまりにもそこを見つめるものだから後にも引けず、ローションを足しながらゆっくりと腰を進める。そうこうしているうちに中にすべて納め、ジェイクが一息つくとジョシュの薄い下腹が震える。痛いのだろうかと顔を覗き込んで息を呑んだ。
「じぇいく、ジェイク、おれのこと、好きになって」
 そう涙をぽろぽろと零しながらジェイクに腕を伸ばす。こうなってまで愛を乞うジョシュがあわれでいとおしくて額に小さくキスをする。それから唇、右頰、その反対側も。その間々に好きだ、愛してると言ってやるとジョシュの涙が途切れてくる。真っ赤になった形の良い耳と鼻先を少し啄んでまた唇に口づける。
「ん、ゥ……、はふ、そんな、うそ、うそ、ジェイクひどい」
 潤んだ蒼い瞳で非難する言葉とは裏腹に、ジョシュの中は喜んでうねりながら奥へ奥へとジェイクを誘う。そのあまりのいじらしさに微笑んでしまう。
「馬鹿だなぁ、ジョシュア。愛してないのにこんな事するほど不実じゃないぜ、俺は」
 おいで、とジョシュの身体を抱き上げて膝に乗せる。自重がかかり、ジェイク自身を更に深く咥えこんでしまったジョシュは声も上げられずひゅうひゅうと呼吸をするのでいっぱいいっぱいだ。が、胸の辺りまで感じ入った色に染まったその身体にジェイクの我慢は限界だった。
美しい腰骨を掴み前後に揺さぶると、直ぐに反応した狭隘の激しい蠕動にすべてを持っていかれそうになり、身体を丸めたジョシュの肩に顔を埋め耐える。
「ひぁ、……あ、う、すご、じぇい、ああ……!ひぐ、ンぁあ!」
「かわいい、ジョシュ……。なぁ、キスして、くれ、ジョシュ」
「ふぁ……、んん、ぅン、はぁっ、ンン……」
 言われたとおり必死に口づけてくるジョシュを抱きしめ、足の筋肉とベッドのスプリングを使い奥深く穿った。
くぅんと子犬のように鼻を鳴らしたあと、身体を震わせながら放心しているジョシュにやりすぎかと反省しつつそっとベッドに横たえる。そうしてから未だに熱く柔く締め付けるそこから自身を抜こうとした。しかし。
「ぁめ……、だめ、でちゃやだ、じぇいく……」
 なんてことだ。その言葉と連動した後孔の入り口のきゅうと締め付けられ、ジェイクはみっともなく射精した。
妙な悔しさを感じつつもずるりと引き抜いたジェイク自身から雑にスキンを取り、口を縛って放り投げる。その動きを見ていつもより深く色づいた瞳をきらめかせてジョシュはうっとりと呟く。
「すごい……、おれでイってくれたの」
 まったく。どれだけ健気なのか。そんなジョシュを後ろから抱きしめるとジェイクは共に横臥してジョシュのすんなりとした片脚を持ち上げ開かせる。そうして信じられないほど奥まで侵されたジョシュは強烈な快感に襲われたようだ。小さく悲鳴を上げ快感から逃れようと身悶えするジョシュに煽られ、その上半身を上に向かせる。そうしてゆるゆると腰を動かしながら、初めて感じる痛いほどの甘いしびれにぽろぽろと涙を溢すジョシュに覆いかぶさり口付ける。お互いに苦しい体勢なのに、むさぼるように舌を絡めて熱い吐息を、唾液を交換するのが止められない。
「んん、ふ、ぁ……ン、ぅ、じぇいく……」
「もっと呼んでくれ、ジョシュ」
「ジェイク、ジェイク……すき、好きだ、ジェイク……」
 恍惚とした顔でそう言うジョシュにジェイクは何度目か分からないキスを落として抱え直す。そうして右手をジョシュの指に絡めると、空いた手で薄く紅い唇を喰みながらローションで滑る指で乳暈を撫で硬くなった尖りをいたずらに挟み、それから摘み上げる。
「あ、はぁっ、だめ、だめ、それ、あぁ……、ひ、ぅ、じぇいく、んン!」
「かわいい……、綺麗だ、ジョシュア……」
 耳に吐息と共に囁かれ、射精した後でもうこれ以上の快感は受け止められないというように、ジョシュはジェイクの身体から逃れようとうつ伏せて躍起になる。しかし弱々しく身悶えする様は官能に苛まれていることを如実に語るだけで、それはいたずらにジェイクの興奮をかきたてるだけだった。その衝動のままにジョシュの腰を掴み尻を高く上げさせ舌舐めずりをする肉と肉とがぶつかる音がいやがおうにも頭に血を上らせる。ジェイクは先ほどとは違い高速で出し入れし、限界であろうところを何度もノックする。その度にジョシュがあげる甘い悲鳴は美しかった。

 その何日かあと、二人は黒い石版の前に立った。そのあまりにも大きな御影石には無数の数えきれないほどの名前が刻まれている。ダッチボーイが引き起こした災害で亡くなった慰霊碑であった。
 その磨き上げられた表面をするすると撫でながらジョシュはジェイクと共に歩く。耳鳴りがするほどに空気が澄んでいる。
 救えなかった人々。救えたかもしれなかった人々。ジョシュが食い止めたあの異常気象で死んだ人々の慰霊碑も立つだろう。そこにはもちろんチームの皆の名前も刻まれる。起こり得なかったことを悔やんだり思い悩むことは何の意味も持たない。しかし、それを知った上で全てを背負い生きていく。手を取り合えばあまりに重い業も、少しは軽くなるだろう。一人ではなく二人でなら。


拍手[2回]

再録本「リンカーネイション・パレード」(https://vvsm52.booth.pm/items/1453465)集録の書き下ろしじぇりあろ
年下の男の子×えっちなおねえさん



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 牛乳買ったよ。あといつものコーヒー豆も。ほかには?うん…、うん」
そんな甘えた声をした年下のかわいらしい子熊に似た青年をどうして恋人にし、あまつさえ家に住まわせることになったかというと、時は少し遡る。

 ワオ。それが初めて悪友たちといわゆるゲイバーに入ってみたジェラルドの感想だった。
思っていたほど淫猥でないし、なんというか紳士的ですらある。わりといいお値段の店にあたったのもあるだろうが、なんだか穏やかですらあった。ここでは奇異の目で見られないから延び延びとできるのだろうか、そう思った。ジェラルドはバカではあるが頭は回る方の悪ガキだった。
 一番安い酒を頼み、人目につかなそうな敷居がある席にみんなで座り、居心地悪そうに酒をちびちびと舐める。
「なあ、俺たちやべえくらい浮いてるよな」
「完全に場違いだわ……。対して面白くもないしこれ飲み終わったらクラブ行って女の子引っ掛けようぜ」
「だな」
 そんなことをバカ大学生にしては比較的小さな声で話していると、ジェラルドの目が何故か一人の男でとまった。誰の目にも留まるほどの美形なのに一人で水と、紙巻きタバコの方が似合いそうな美しい指でシガーをのんでいる。それが妙にセクシーだった。
「先行っててくれよ、俺飲み終わってから行くわ」
 オーケィ、と言って悪友共はさっさと行ってしまった。アウェイからホームに戻るのだから仕方のないことではある。ジェラルドはアーリータイムをぐび、と飲み干すとその暗い金色の髪の男の横のスツールに座る。
「ハイ」
 そうとびきりの笑みで挨拶したが彼はちらりと目線をよこし片眉の端を上げただけだった。俄然やる気が出たジェラルドは全く気にせずそのまま話しかけた。美人に冷たくされると燃えるタイプなのだ。
「名前は?俺はジェラルド。ジェリーって呼んでくれ。あんたは?」
「ジョン・スミス」
 さすがにムッとして口唇を尖らせると、彼はちょっと笑って言った。
「アーロンだよ」
「本名?」
「ふふ、内緒」
 そんな風に傍から見たらいちゃいちゃしていると、不機嫌な様子のハンサムが割り入って来た。
「アーロン、これは?」
「ジェリーだよ、ちょっと話してただけ」
 男はそう聞いてジェラルドを値踏みして鼻で笑う。よくいるクソ野郎だった。そしてそいつはあっさりとジェラルドに背を向け、アーロンに何だかんだと辛辣な嫌味を言っている。流石に言いすぎだろ、そう言おうと肩に手を伸ばしかけると携帯の着信音が鳴った。
「仕事の電話だ。外に行ってくる」
 そう言って男は出ていった。
「さっきの、彼氏?」
「まあね」
「俺のほうがよっぽどイイ男だと思うけど?」
 とおどけたように言うとアーロンは噴き出して言う。
「ばかだな、君ヘテロだろ」
「アンタとならいけそう」
 そう言って今まで誰もがオチた眼つきで見つめた。しかし。若造のそんな顔よりもびっくりするほど艶めいた微笑みでアーロンは言う。
「どうかな……」
 そしてジェラルドの股間にそっと手を伸ばしてジーンズの前立てをかり、と引っ掻いた。
「あ……」
「そういうこと言う人はいっぱい居るけど、ふふ、君は男相手でも勃ちそうだね」
 そう言うとジェラルドの股間を相変わらず弄びながら耳元に口を寄せ、思わずジェラルドが生唾を飲むほどセクシーな声で少し笑って言う。
「場所を変えようか?」
それはジェラルドが今一番欲しい言葉だった。

 そこら辺にあった安っぽいモーテルの部屋に二人でお互いの舌を貪りながらなだれ込む。移動中に既にゆるく勃っていたジェラルドのペニスは、ドアに押し付けられてアーロンのキスの猛攻を受けながらよく鍛えられた太腿で刺激され今や痛いほどに起ち上がっていた。
「は、クソッ、もうやば、あんた、は?」
「どうだと思う、ジェリー?」
 クスリと笑ってアーロンは艶かしくジェラルドの身体にゆっくりと手を這わせながら膝をつく。そしてジェラルドのジーンズをアーロンが寛げると勢い良く飛び出てしまい、そんな己の愚息にジェラルドは激しい羞恥で顔中から火が出るかと思うほど真っ赤になった。
「ふふ、かわいい」
 しかしアーロンはそう言うと、赤く腫れ上がった先端に優しく口付けてはカリ首を優しく唇で何度も締め付ける。かとおもうと根元から咥え込み熱く滑らかな、信じられないほどの喉奥で愛されしまいには陰嚢から裏筋を舐め上げられる。つぅ、と零れ出た先走りとアーロンの唾液が糸を引くほどに混ざった液体と赤い舌を見せつけられながらペニスが解放される。
「アゥ……、んぅッ……は、……」
 あまりに暴力的な官能に思わずジェラルドはその淫らな舌を追い腰を揺らす。くすり、と笑った吐息がかかったかと思えばそれに反応する間もなく透明な液が迸るちいさな穴に尖らせた舌をねじ込まれ腰が跳ねる。
「あ、は、それやば、ぅあ!」
 再びアーロンの熱く唾液まみれの口内の奥深くに含まれ、同時に綺麗な指で会陰を刺激され、重い陰囊が一気に硬くなる。そんな刺激は初めてで、腰の痺れに耐えきれずに先端から透明な先走りが溢れ出す。それを当然のように飲むアーロンの腰が、中での快感を思い出したかのようにゆらめかされた。そんな煽りに耐えきれなくなったジェラルドは、アーロンの柔らかな二の腕をぐいと引き上げ抱き上げる。そうすると上から口づけが降りて舌を二人は絡め合い、ジェラルドは固いベッドに派手な音を立てながらアーロンを投げ下ろして覆いかぶさる。
「あーろ、アーロン!はぁッ、もうあんたにぶち込みたい、限界だ……!」
 そんな可愛らしい泣き言にアーロンは小さく吹き出し、するりとジェラルドの腕から逃げ出すと投げ捨てたジャケットからローションとゴムを取り出す。
「は、あんたそんなの用意してたの……?エロすぎ……」
 それを聞いていたずら猫のように笑うと、アーロンは衣服を全て脱ぎ捨てジェラルドの上に乗り跨る。
「ふふ、ちょっと待っててね?」
 アーロンはそう言うとジェラルドのペニスを口で包みながらコンドームを被せたかと思うとまた深くまでそれでジェラルドの雄を包み被せながら咥えこむ。そうしながら透明なローションでとろりと濡らした美しい指を自らの秘所に埋め込みそこをほぐし始める。
「ぁ……、はっ、ハァッ、そんな……あーろん……!」
 ジェラルドの耐えきれないといった吐息を聞いてアーロンはいやらしく官能的なため息を溢し、薄く赤い舌で唇を舐める。それを見たジェラルドのペニスは更に堅くなり、陰嚢は射精を迎えようとぐぐ、と持ち上がってしまう。そんな反応さえ可愛らしいとアーロンの胸はうっかりときめいてしまう。年下で、しかもこんなに素直な相手はこれまでにいなかったのだ。なぜかアーロンはこの子供がすっかり気に入ってしまっていた。
「ああぁ、もうむり、いれたい、中挿れたい、イキそう……!!」
「んん、ちょっとキツいかもだけど、いいよ……、特別……」
 そのアーロンの言葉にジェラルドはアーロンをベッドに乱暴に沈め、細い腰を掴むと猛り立った己で柔らかく、そしていやらしく収斂して誘うそこからアーロンの中を一気に貫いた。
「ぅあ、アは、すげえ……ッ!」
 ジェラルドが突き入れたそれに信じられないほどの衝撃がアーロンを襲う。それは今までにないものでパニックで思考が真っ白になる。
「は、あ"ァ……ッ!」
「っあ、はっ、ぁ、はいった、ぁっ!すご………っ、アーロンッ、…っ、も、あゥ、…………っんっ!はあっ、うぁ、っん!なか、きつ、クソ、止まんね……っ!!」
 そう若く男らしい顔を快感で歪め、熱い喘ぎを溢しながら激しく体内を穿つジェラルドに、アーロンは抗いようもなく涙を零しながら振り回される。
「ま、ァあ!まって、ひ!ダメ、だめ、ア!ゔ、あッあ、じぇり、待って、ア!あッ!やッ!!」
 悲鳴のようなアーロンの声も届かないのか、ジェラルドは赤く染まり汗で滑るアーロンの身体をがっちりと抱きしめて離さない。それどころか首に回した腕に力を込めて更にアーロンを深く沈めてくる。
「ぃああああッそんな、したぁ、壊れ……ッ!!」
「ぁ、アーロンッ、ッ!!も、無理、ふっ、でるッ……!ッ!!」

 びゅく、びゅくっと自分でも信じられないほどの長い射精を迎えて満足げなため息をついたジェラルドは突然ぎゅうと乳首を抓まれてその痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
「ぎゃっ!」
 そんなジェラルドにアーロンは荒い息を吐きながら地を這うような声で言う。
「ジェ〜ラ〜ル〜ド〜……」
「はいっ」
体制をぐるりと変えてジェラルドに跨り、アーロンは言う。
「こんな、は、自分本位のセックスしちゃだめだろ……!今ので、僕が気持ちよかったと思う?」
「ぁ、う……ごめんなさい……」
「わるい子だね、ジェラルド」
 眉を悲しそうな子犬のように下げたジェラルドの肉厚な下唇を噛んで、むいっと引っ張る。そしてアーロンは色っぽいため息をつきながらまだ緩く勃ち上がったままのジェラルドのペニスを再び後ろ手に撫でると、意地悪く笑って甘い口調で命令する。
「僕がいいって言うまで動いちゃダメだし、イッてもダメ。わかった?」
 ジェラルドはうう、と小さく唸ってから下がりきった眉根を寄せて自信なさげに言う。
「その、できるだけがんばる……」
「よろしい」 
「まだパンパンだね」
 ジェラルドの上に乗り上げ、後ろ手で陰嚢をくすぐり笑う。そうしてからゆっくりと艷やかな吐息を溢し、ローションまみれのジェラルドのペニスを薄く小振りな臀でぐちゅくちゅと卑猥な音を立てて咥え込んでゆく。
「ん……、ここが、は、あぁ……、ぜんりつせん。聞いたこと…はぁっ、ん、あるだろ?すごくイイとこ……あッ、ン!ふふ、興奮した?でも、一番、感じるのは……」
 いたずらにそう耳元で囁くとぐちゅりと卑猥な音を立ててジェラルドの質量の増した牡をアーロンは全て呑み込む。
「あぁ、っふ、これ……!ン……おくが、君に、ぁあ……!吸い付いてる、の、わかる?」
 呼吸も出来ずにジェラルドはコクコクと必死に頷く。それがどうにも可愛らしくて苛めたいし、甘やかしてしまいたい。
「すご、きもちい……ね、じぇり、ここ、キスして……?」
 柔らかな乳暈を挟むように指先が桃色に染まった指をあて、艶めいた微笑みで言うとその通りにジェラルドに乳首を舐められてアーロンは切なく喘ぐ。ジェラルドにぢゅ、と真っ赤に染まった尖りに勢いよく吸い付かれると、そのよく手入れをされたピアノの鍵盤のような美しい歯にそっと先端が当たって甘い悲鳴を上げた。
「は、ふ、女みてえ……」
 そう熱に浮かされたジェラルドに言われ、アーロンは全身を震わせて身悶えした。今までにない程の身体の震えと自身を包む媚肉の蠢きに慌てたジェラルドが声をかけると、目尻に涙を浮かべて途切れ途切れにアーロンは言った。
「なか、で、イッた、の」
「ぁあッ……ァ、はぁッ、ごめ、……出ちゃ、た」
「い、いいから、突いて、奥、して、ジェリー……、あッ、あぁぁ…………っ!」
「あーろん、アーロン、どうしよう、あんたに優しくしたいのにめちゃくちゃにしたい」
「だぁめ、それは、アん!していいのは、恋人だけ……」
 そう意地悪く笑いながら言うと、ちゅっとかわいらしい音を立ててへの字に曲がったジェラルドの唇にキスをする。
「じゃあ恋人にしてよ……、好き、もうわけわかんないくらいあんたが好きなんだ」
「ンっ!ぁあ……じぇらるど」
 ジェラルドの懇願を聞こえなかったかのようにそう言うと、アーロンはジェラルドの太い首に腕を絡め、深く深く口付けた。


 それからしばらく経ち、ジェラルドの事をあまり思い返さなくなった頃にアーロンは誰かに腕を掴まれた。
「やっと会えた」
「ジェリー?どうして……」
「恋人にしてって言ったのは本気だって伝えたくて」
「でもどうしてここが?」
 戸惑いを隠しきれないアーロンにジェラルドは事もなげに彼氏面している男から内緒でいただいた名刺 から今日ここに来るって調べた、などと言い放つ。ネットの広大さに目を回かけているアーロンをその青年は蕩けるような瞳で見つめて言う。
「アーロンの理想の男になるから俺のこと、躾けてよ」
 そして優しく握ったアーロンの手首の内側にキスをした。こんなにも美しく精悍な若者にそんなことをされ、ぐらぐらとしない人間がいるだろうか?しかもセックスの相性が抜群なのだ。思わずうっとりとしながら了承しようとすると、その甘い空気を引き裂く声がした。それはすっかり忘れていた恋人の様な関係だった男のだった。
「信じられない!浮気だなんて!許さないぞ、アーロン。君がそんな人間だなんて思わなかった」
 そうキンキンと叫ばれ、全くこの男をなぜ側に置いていたのかさっぱり分からなかった。
そんな二人の間に何か言いかけたジェラルドの手に指を絡め、感情の籠らない事務的な声で言い渡した。
「別れる」
「は?」
「君とは終わり。だいたい恋人にした覚えもないしね。一番は性の不一致!じゃあね」
 そう無情にも言い放つとアーロンはジェラルドの手を掴んで歩き出す。
「ねえ、俺は及第点だった?」
「ふふ、お互い最高だったろ?それに……」
「それに?」
「秘密だよ」



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