マイベンCP未満
二人が仲良くなった理由捏造



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 その日はマイク・バニングのPPDとして初めての屋外警護だった。国民と触れ合うため、チャリティイベントに新任の大統領であるベンジャミン・アッシャーが招かれたのだ。それは表面上和やかに過ぎ、ベンジャミンが6人ほどの赤ん坊にキスをして、支持者達に手を振りビーストへと振り返ったときにそれは起きた。
「うわぁあああ!!!!」
 苦悩から絞り出すような声とナイフを持った男がベンジャミン向かって走る。マイクはとっさにベンジャミンを守るように抱きかかえた。左の上腕三頭筋に強烈な熱さを感じる。テロリストに刺されたのだ。反射でマイクはナイフの刺さった腕を振り上げ、渾身の力で犯人の両手を叩き落とす。そして訓練通り組み伏せた。ほぼ筋肉で構成された自身の体重をかけ、男が落としたナイフを左腕から引き抜く。彼に刃を向けたものは刃でその罪を償え、そうナイフを掲げる。と、同僚たちがマイクを取り押さえる。
「落ち着けマイク!逮捕するんだ!!!!」
 理性では理解しているがどうにも衝動を抑えられずに唸るマイクを、SS達を振りほどいたベンジャミンが抱きしめる。
「ありがとうマイク。充分だよ……」





「ハア?じゃあなんだ崇拝してる大統領が自分のものにならないから殺そうと?イカれてんな!」
「言葉には気をつけなさい。正確には彼を傷つけようと、ね。自分の事を忘れられないようにしたかったみたい」
「ファック!クソ野郎が……まさか精神鑑定を?」
「そうなるでしょうね」
「冗談じゃない!病院送りになったらどうするんだ!あんなゴミは死刑がお似合いーー」
「マイク!」
 会話を遮って病室に真っ青な顔のベンジャミンが飛び込んできた。バニングとリンは姿勢を正す。
「ああ神よ!マイク、怪我は大丈夫かい?」
「こんなもん肉食って寝れば治ります」
 バニングのあっさりした物言いにベンジャミンは安心したようにため息をついた。
「本当に?よかった……そうだ!じゃあ今夜私と夕食はどうだい?とっておきの肉を出そう!」
 シャトーブリアン!タダ飯!そう言って子どものようにはしゃぐ二人にリンは咳払いをする。
「サー、一人だけ特別扱いというのはいかがなものかと」
 みるみるベンジャミンの眉が下がって利口な大型犬のように困り果てた顔をする。直属の上司を睨むバニングを見てベンジャミンは何かを思いついた様だ。
「では、命を救ってくれた大切な友人をディナーに招待するというのはどうだろう?」
 人たらしの本性を発揮して微笑むベンジャミンにかなうものなどこの世にはいないだろうとリンは思い、白旗を揚げる。
「……そうですね、そう言うことでしたら仕方ないでしょう」
「やったなマイク!」
「イエス、サー!」
「おっと、友人なんだから私の事はベンと呼んでくれよ」
 にこっと微笑むベンジャミンに流石の狂犬も毒気を抜かれ、破顔する。
「オーケー、ベン。タダ飯をご馳走になりにいくよ」
 ベンジャミンはバニングの手をとり、真剣だが優しい声音で言う。
「君たちに、君に、こんなことを言うのは酷だろうが」
 一息ついて思い詰めた様に言う。
「死なないでくれ」
「それがあんたの命令なら」
 即答だった。
「だいたい俺が死んだらだれがあんたを守るんだ」
「それはそうだ」
 ふふ、とベンジャミンは笑みを溢す。
「こんな怪我くらい、ベン、あんたを守る為ならなんでもない。あのカス野郎だって周りが止めなきゃ殺せたってのに。そりゃあ神聖だったり美しいものを穢したくなるのは人間の性だが、その対象を傷つけるなんて言語道断だ。奴は地獄の底で腐るのがお似合いだ」
 ああ、しまった。リンは眉間を抑えた。マイク・バニングは優秀だが、思考が極端過ぎる。オーバーキルで除隊寸前に軍から拾った時からそうだった。PPD立て直しに必要な人材だが……マイクバニングカウンセリング40時間ーーと、ベンジャミンがクスクス笑い出した。
「私は神聖で美しい?」
 悪戯っぽく笑ってからかうベンジャミンにマイクは滅多になく顔を赤くし、しどろもどろに言う。
「そ、それは言葉のあやで……いや、確かにあんたはきれいだが、うぅ……」
「ははは!ありがとう?でいいのかな?マイク、きみは面白いな!」
 唸りながら助けを乞う男の視線をリンは無視した。ベンジャミンは事件後初めて心からの笑顔を見せたのだ。バニングはセラピードッグとしても役立つようだ。そう判断して4分後の予定までリンはベンを新しい玩具で好きに遊ばせておくことにした。多少毛色の違う犬でも、主人がそれを気に入ればいいのだ。あの二人は中々いいコンビかもしれない、リンはそう感じた。

「妻には内緒にしておこう」
 こっそりベンジャミンはウインクしてマイクに囁いた。
「そうしてくれ……」
 これが二人の友情の始まりだった。

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剃毛プレイ+素股
趣味全開!



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「絶対に嫌だ!!!!!」
「なんで。マナーだぞ、ベン」
「馬鹿か君は!!だいたいそんなこと、自分でするのが普通だろう!」
 五十路を迎えようかという大の大人二人が小声で激しく言い合っているのは、アメリカ合衆国大統領閣下のアンダーヘアの処理についてである。事は白亜の宮殿のバスルームで起こっている。

 初まりは至極普通だった。
「6時からのインタビューまで時間があるな?」
 そう宮殿の主が秘書官に尋ねる。
「ええ、少し休憩なされたらいかがでしょう」
「ありがたいね、身だしなみも整えたいし。マイク、相談があるから一緒に来てくれ」
「イエス、サー」
 二人の仲がビジネスを超えて仲のいい友人だということは知れ渡っているので、誰も気にしなかった。実際はそれ以上の関係なのだが。二人は連れ立って居住区のリビングルームに入る。
「全く、髭というものは不便だな。こればっかりは女性が羨ましいよ」
 シャワールームに椅子を持ち込んで座り、暖かいタオルに覆われたベンが言う。
「確かに。さ、剃りますよ」
「ああ、頼む」
 シェービングクリームを泡立てたマイクが言い、ベンはその白い急所をなんの衒いもなく晒した。そこにマイクはクラシカルな片刃のナイフを優しく滑らせる。
「よし、ハンサムになった」
「ふふ、髭があるとハンサムじゃないっていうのか?」
「まさか!だけど伸ばし放題ってのは退任後までおあずけだな」
 マイクはそう言いながらベンの首周りを守っていたタオルを取り、蒸しタオルを乗せると、ベンの前立が微かに盛り上がってるのが目に入った。どうやら髭を当たっているだけで勃ったらしい。まあ、わざと耳の裏や頸の柔らかいところを煽るように指で撫でたのだが。しかし思ったとおりにベンが感じた証拠を見てしまうと、つい、いたずら心が湧く。
「さあ、大統領閣下、下も剃るから脱いでください」
「はぁ!?気でも狂ったのか?」
「まさか。ほら、時間が無くなるぞ、脱げベン」
 マイクは脂下がった顔で笑って言う。
「絶対に嫌だ!!!!!」
 そうして冒頭に戻る。
ベンは暫く抵抗していたが、マイクに眇めるような目つきで自分の反応を指摘され屈してしまった。ベンはマイクの鋭い視線を浴びると、いつも抗えない。微かな吐息を吐きながら仕立てのいいスラックスと下着を降ろす。
「せめて自分でやらせてくれ」
「大統領に刃物なんか持たせられない。大人しく脚を開くんだな」
 妙にうきうきしているマイクを睨みながら洗面台に腰かけ、おずおずと脚を開き言うとおりにする。と、ひんやりとしたクリームを塗られ、思わず身震いしそうになる。そして柔らかなそこにきらめく剃刀を当てられ、ベンの薄い下腹がビクつく。その反応を愉しんでいるマイクの眼も見られず、ベンは細く美しい指を噛んで耐える。
「マイク、怖い」
「俺があんたを傷付けるわけ無いだろ」
 マイクはそう言って粟立ったベンの膝に口付ける。
「は、……、」
 好き勝手にベンのペニスを退けながらゾリゾリと音を立て、枯れ草色の下の毛が剃られていく。マイクはいちいち剃り終わったところを愛おしげに撫でる。ふとマイクが手を止めて見やればベンのそれはしっかりと芯を持って頭をもたげている。なんとも愛らしい、そう思いつつも揶揄ってしまう。
「感じるのか?マゾだな」
「ん、ふ、ばか、おまえだからだ、はッ……」
「ったく、あんたには敵わないな。さ、大統領。後ろを向いて手で尻を押さえて」
「は?嫌だ!!」
「べン。頼むよ」
 彼の好きな自分の中で一等エロい声で頼む。哀れなベンの海の色をした瞳は羞恥で潤んでいる。
「……この、ヘンタイ」
 そう悪態を吐きつつ、言う通りに鏡の方を向き、両手で震える尻たぶを拡げる。マイクは満足気にその肉感的な唇を舐め上げた。清廉潔白で通っている彼が、自分の命令で卑猥な行為をする。それは何ものにも替え難く、マイクの支配欲を満たした。
ヒクヒクと収斂を繰り返す貞淑な穴に息を吹きかける。
「ぁ!、ひ、クソっ、馬鹿まいく、やるならさっさとやってくれ……!」
「仰せのとおり」
 きめ細かに泡立てたシェービングクリームを指に取り、大して毛の生えていない敏感になっているそこに塗りたくり、そっと刃を滑らせる。
「ぁ!んぅ……、ヒッ!や、やだ……ぅあ……あぁ、」
「よし、できた」
濡れたタオルで拭ってやり、一仕事終えて満足げなマイクの首に甘えたように鼻を鳴らしながらベンが縋り付く。
「まいく、イきたい……」
「ん?ああ、そうだな」
ベンの額にキスしてやりながら、マイクはベン自身に手を伸ばす。そうするとやんわりと制止された。
「、そっちじゃ、なくて……」
潤んだ瞳と紅潮した顔で囁かれる。マイクは思わず頭を抱えた。
「クソ、あんたほんとに……。この後まだ仕事があるだろ?」
だって、とかでも、と子供みたいにぐずるベンにマイクも限界だった。
「分かったよ、後ろ向いてくれ」
「ん……」
マイクは兆し始めたそれを扱きながら、おとなしく洗面台に手を付きその小ぶりな尻を向けたベンの耳に後ろから囁く。
「しっかり脚を閉じてろよ」
「?なに……ッ!ぁ、んぅ!」
閉じられたベンの柔らかい内腿にマイクは屹立を捩じ込んだ。
「や、マイク、何っ……あ!ぁ、ンッ!」
「は、ベン……」
マイクはベンの会陰を抉るようにグラインドを続ける。マイクが深く穿つほどベンの陰嚢までを擦り上げ、二人の官能を煽る。
「あ、ぁは……ッ、やだ、まいく、や……ンン!」
「ヤダじゃなくてイイ、だろ……言ってみろ、ベン」
「ん、ンっ!ァ、ふ、ゃ、いい……マイク、当たって、あん!い、気持ちいい……ッあ!」
「俺もいいよ、ベン……」
そう言ってマイクはベンの波打つ背筋に何度も口付ける。
「も、マイ、ク……立てな、あっ……ぃい、んぅ!」
「もうちょっとだ、がんばれ、ベン」
「無理、むり……きちゃう、ぁ!くる、ぅ、ああ!」
「ッは、俺も、イキそうだ……」
ガツ、というような骨と骨がぶつかる音がするほど打ち付けると、ベンは一際高い声をあげて達した。

「なあ、ベン、悪かったよ」
パリッとした新しいシャツでネクタイを結んでいるベンはしょぼくれた犬みたいな顔をしたマイクをぎろりと睨む。
「ベン〜……」
情けない声をあげ、頬にキスを繰り返すマイクを邪魔だとばかりに押しのけ、ジャケットを持たせる。おとなしくベンにジャケットを着させたマイクの唇に噛み付いてベンは言った。
「覚えてろよ」




「マイク、大統領がチェスの続きをやるから来いって言ってたぞ」
夜になり、オペレーションルームに戻った同僚が言う。
「了解」
にやにや笑う同僚にマイクは怪訝な目を向ける。
「なんだよ」
「今夜は帰さないから覚悟しろよだってよ」
ひゅー、熱いねえ、なんて囃し立てる周りにマイクは負けを認め、頭を抱えたのだった。



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診断メーカーの



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「おはよう」
「おはよ」
ベンはキッチンで朝食を作っているマイクの背中に抱きつく。
「パンケーキ?」
「ああ。好きだろ?」
「うん。あー」
覗き込んで口を大きく開けて指差す。
「わるい子だな」
そう言いつつもマイクは笑って指に生地をつけて差し出す。
「ん、美味しい」
「焼いた方が旨いだろ」
「つまみ食いが一番美味しいんだ」
ベンは笑いながら手元にあったバターをマイクに渡した。
「それ俺のシャツか。目の毒だな」
シャツの袖がぶかぶかなのを見てマイクは苦笑いする。
「わざとだよ?」
「ベ〜ン、勘弁してくれ、火傷するぞ」
何度見たって可愛い恋人の鼻をつまんで言う。
「後でな」
してやったり、という顔のベンにマイクの顔も綻びる。前はどんなに近くにいても手も握れなかったというのに、そう思いながらマイクはパンケーキをひっくり返した。


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ついったで見かけた設定が最高すぎた



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 美しい夏が過ぎ、ローシエンナのオレンジ色に街が染まった頃、アーロンの勤める保育園への新学期が始まった。
「やあ、こんにちは」
 麗しいブロンドを輝かせながら、アーロンは生徒の向かえのジェラルドに微笑みかける。
 いつも思うが、この色男に結婚して娘がいるなんて!ひと目見ておんな泣かせの遊び人だと思った印象を心の中で謝罪とともに訂正せざるを得なかった。
「シルビア! お迎えだよ!」
 黄色にピンクの花を散らしたドレスで自分の名を呼び、走ってきた天使はジェラルドの脚にしがみついて宣言した。
「わたしねーせんせーと結婚するの!」
「ほんとに? 俺を捨てて?」
「あはは、光栄だなあ」
「んふふ! じゃあせんせーの次に結婚してあげる!」
「俺は二回目? 来いこの悪女め!」
 ジェラルドは笑いながらシルビアを高く抱き上げる。
「きゃー! あはははは!」
「ほら挨拶して」
「せんせーさよーなら!」
「はい、さようなら」
「じゃ、ありがとうございました」
「ええ、また明日」
 まるで映画のような眩しい一幕を終えると、アーロンはようやく一息つける。
 他の保護者は平気なのに、彼の前では、なぜだか緊張する。


 週が明けて、子供たちが鐘を鳴らすように声を上げて校舎に転がり込んでくる。勿論シルビアも。
「おはようございます先生」
「おはようございます、バトラーさん」
 相変わらず惚れ惚れするような男前だ。暫く見つめてしまったのを誤魔化すように話をする。
「毎朝大変ですね、お父さんも。かっこいいからシルビアはいつも自慢してますけど!」
 するとジェラルドはからかうように眉を上げ、笑いながら言う。
「俺が父親に見えます? はは、心外だな、叔父ですよ。姉の代わりに送り迎えを」
「え、あ、……」
 そう言えば保護者リストに書いてあった気がする。アーロンは頬に血が溜まるのをまざまざと感じた。
「申し訳ない! てっきり……」
「ふは、いいですよ別に!先生は何歳ですか?」
「35です」
「俺は34。たった一年の違いですね」
 そう言ってジェラルドは眼を細めて笑う。そしてなにか思いついたような顔になった。
「そうだ、あなたが僕をシルビアの親だって勘違いしてたお詫びにコーヒーでもどうです?」
「え……そんな」
「俺はチョー傷つきましたよ」
 そう言って眉を顰め大げさな表情をするジェラルドに思わず笑い、誘いを受けてしまった。これまでアーロンに粉をかけてくる親たちは居たが、なぜかジェラルドはうまく躱せ無かった。
それからというもの、二人は思ったより仲良くなり、アーロンはすっかりジェラルドについて詳しくなってしまった。彼が大手弁護士事務所のシニア・マネージャーで結構優雅な生活をしていること、それから自分と同じレイダースサポーターでオペラが好き。そして自分と違ってトマトが苦手だとか、映画の好みだとかそういうことに。勿論、ジェラルドも同じくアーロンに詳しくなった。
 幼稚園の休みの日にアーロンが家で寛いでいると、ジェラルドからのメッセージが届いた。
『今夜食事でもどうですか?』
『いいね』
『オーケー、7時にKashavalに予約しますね。うまいチーズフォンデュが食べたいって言ってましたよね?』
 この男はどうしてこう一々スマートなのか、アーロンは苦笑いしてしまった。
『じゃ、7時に』
『楽しみにしてます!』

 ジェラルドの連れてきてくれた気安いレストランの味は、アーロンが昔住んでいた欧州を思わせる美味さだった。
 彼は手慣れた様子で旨い食事とワインを選び、普段飲まないワインを呑むくらいアーロンはめったにないほどいい気分だった。
「先生知ってる? チーズフォンデュでパンを落とすと隣の人にキスしなきゃいけないって」
「知ってる」
 アーロンはクスクス笑いながらパンを落としたジェラルドに頬を差し出す。するとジェラルドはアーロンの顎に手を当て、いやにセクシーなキスを落とした。それを受けた人間が全て恋に堕ちるような、そんなキスだった。
「あ、」
 ジェラルドは徐にアーロンの左耳に手を添える。
「ピアス跡だ」
 これ以上恥ずかしいことがあるだろうか?久々に他人に触れられた耳からゾクゾクと腰まで痺れが走る。
「先生、割とやんちゃしてた?」
「……若気の至りだよ。父親に家から放り出された」
「ふふ、厳しいお父上だ!」
「不躾な事を聞いても?」
 アーロンは尋ねる。
「どうぞ」
「僕はそうなんだけど……君はゲイなの?」
 ジェラルドは魅力的な男だ。彼に愛される人間はさぞ鼻が高いだろう。だからこそ、先に予防線を張りたいと思ったのだ。彼と恋愛関係なるつもりは毛頭無いが、ゲイのアーロンは彼みたいなセクシーでヘテロの男に振り回されてるのはもう懲り懲りだった。
 当のジェラルドはと言うと、面食らってガシガシと頭を掻いて唸っている。少々気の毒ではあった。
「正直に言うと、分からない」
「というと」
「僕は自他共に認める女好きなんだが……貴方は別だ。綺麗だと思うし、手を取ってキスしたい。先生の美しい瞳に僕だけが映っているのはさぞいい気分だとおもう。ダメだ、そう、僕はあなたに恋してるよ、先生」
 一気にアーロンの体温が上昇した。顔は真っ赤になっていることだろう。まさか、初めてのディナーでそんなに直球に告白されるとは。赤くなった顔を誤魔化すように額を片手で擦る。落ち着け、今までこんなこと、上手く流して来れただろう?
「ふ、上手だねジェラルド」
「ジェリーって呼んでくれ、アーロン」
 彼に名前を呼ばれた瞬間、心臓が小さく跳ねた。まずい、これは。
「仲のいい友人から、ならいいよ」
胸の鼓動をなんとか収め、何でもないといったようにアーロンは言った。
「やった! そうだ、METのガラ・コンサートのチケットが手に入ったんだ。まだ相手が決まって無くて……プレゼントってことで一緒に行ってくれないか?」
「それは凄い!!今年はフィガロの結婚だろ? 大好きなんだ、喜んで!」

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「ジェリー」
 ガラの日、ジェラルドはため息が出るくらいパリッとしたタキシードでアーロンの家にを迎えに来た。
「約束通りタキシードもって来たよ」
「レンタル?」
 いやにさわり心地の良すぎるドスキンのそれを受け取りながらアーロンは尋ねた。
「いや? あなたへの誕生日プレゼントだけど?」
「は? 誕生日はまだまだ先だし、こんな高級そうなもの貰えないよ」
 アーロンがそう言うと、やっぱりそう言うか、みたいに苦笑してジェラルドは言う。
「じゃあ、35年分ってことで受け取ってくれないか?」
「でも」
「早く着替えて!送れてしまう」
 まだ異論を言い出しそうなアーロンを微笑いながら急かして言った。

 憮然としてタキシードを身に纏ったアーロンはまるで俳優みたいにゴージャスだった。
「サイズはぴったりみたいだな、さすが俺。腰回りはちょっと修正は要るが……」
「早く行こう、遅刻するって言ったのは君だよ」
 上から下まで値段をつけるように眺められ、とても居心地悪そうにアーロンは言った。

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よかった。半ば強引にプレゼントを押し付け連れて来たが、アーロンは喜んでくれた様だ。ジェラルドは気取られないように胸を撫で下ろした。眼を輝かせてオペラの感想を語っている彼は、深紅のカーペットにクリスタルのシャンデリアで飾られた会場の煌びやかさと合いまって眩いほどだった。

「あら、ジェラルド!」
「ソフィー! 久しぶりだな!」
 声を掛けてきた豪奢なレースが身体に貼り付いたようなセクシーなヴァレンチノを着た美女とジェラルドは挨拶のキスを交わす。
「全然連絡くれないんだから。この薄情者!そちらは?」
 そう笑いながらいう彼女にジェラルドは自慢のアーロンを紹介する。
「よろしく」
「こちらこそ! ああそうだジェラルド、ジュリア達には会った?」
「来てるのか」
「勿論!確か……あ、いた。ジュリア!アレクシス!」
 友人達としばし挨拶を交わしていると、アーロンにそっと肩を叩かれた。
「先に出てる、失礼」
 そう言うと彼はジェラルドが声をかける間もなく踵を返して正面玄関へと向かってしまう。
「アーロン? ……悪いみんな、またな」
 お座なりに女性陣に挨拶するとジェラルドはアーロンを追い人混みのなか駆け出した。

「アーロン!」
 正面階段を駈歩で降りるアーロンの腕を捕まえると、彼は振り向き、ジェラルドに口付ける。

 世界が止まった音がした。

「……帰る」
「え? あ、ああ、送るよ」

 車内には気まずい沈黙が満ちている。ジェラルドはアーロンの様子を伺うが、街灯の流れるオレンジ色の灯りに照らされても彼の表情からは何も読み取れなかった。
「男が人に服を贈る意味を知ってる?……それを脱がしたいってことらしいよ」
 おもむろにアーロンが言う。静かな声だった。
「え、いや俺はそんな……」
 再び沈黙。
 どうしたというのだろうか。ジェラルドは焼きもきして、車を停めて彼に謝った方がいいのかとすら思っているとアーロンの微かなため息が聞こえた。
「……嫉妬したんだ。彼女達に」
 ジェラルドは驚いて眼を見張って彼を見遣った。そんな、それじゃあ。
「独占欲を抱いたらそれは恋だ」
 独り言のように言うアーロンを赤信号が照らす。ジェラルドはブレーキを踏むと彼をまじまじと見てしまう。
「降参だよ、ジェラルド」
 アーロンはそう言うと困った様な顔をジェラルドに向けた。ようやく二人の目が合い、吸い寄せられる様にキスをした。口付けを深くしようとした時、後ろからのけたたましいクラクションで信号が変わったのを知る。ジェラルドは驚いて車を発進させ、思わず二人で笑ってしまった。その後に訪れた沈黙は、先ほどとと打って変わって心地よいものだった。

「今日は楽しかったよ。ありがとう、おやすみ」
 アーロンはそう言って後ろ手にドアを閉めようとする。その扉をジェラルドは抑えた。
「プレゼントの包みをほどいても……?」
 後ろ姿にとっておきの声で囁く。アーロンはその白い首筋まで赤く染めて俯いている。その扇情的な色にジェラルドが口付けると、アーロンはもう耐えられないといった色めいた溜息をついた。

拍手[9回]

アーロンの顎の笑窪にそっと手を添え振り向かせ、舌を絡めながらリビングへとなだれ込む。
「シャワーは?」
「要らない」
 ジェラルドはアーロンの突き出された薄桃色の舌を自らのそれで口淫のように絡め取りながら追うと、彼の寝室に誘導された。初めて味わうその甘い口内と頬に擦れるざりざりという感触までに、煽られる。
「ふ、キスだけでこんなに?」
 そう言ってジェラルドはアーロンの下肢へ手を伸ばし、膨らんだ前立てを揶揄うように撫でた。
「しょうがないでしょ、久しぶりなんだから」
 そう言うアーロンのタキシードをジェラルドは口づけを落としながら脱がせる。
「は、ジェリー……」
 靴下と肌着だけにされたアーロンの乳首を衣擦れの音を立てながらジェラルドは何度も撫でる。
「先生ここ好きなの?」
 耳元で囁かれ、アーロンは震える息を溢した。ジェラルドはそれを肯定として受け止め、アーロンのシャツの上から芯を持ち始めた乳首を優しく引っ掻く。
「ぁ……は、ん! こら、いたずらしない、」
 まるで子供に言うかのようにアーロンは言って軽くジェラルドの手を叩くと、一歩下がって膝をついた。
「まさか、あなたはそんなことしなくてい、」
「だって君、ヘテロだろ……使い物になりません、じゃ俺が困る」
 アーロンはそう言うと薄い唇を挑発するように舐めてジェラルドのスラックスの前を寛げた。そしてジェラルドが止める間もなくそのずっしりとした陰嚢から先端までやさしくキスして、ぱくりとその肉棒を咥えた。眉を顰めジェラルドが快楽を感じているのをアーロンは見上げ、わざとぐちぐちゅと大げさな水音を立てながら兆し始めた彼自身を味わう。愛する男の雄の濃い匂いと、硬度を増したそれが口蓋を撫ぜる快感、そしてジェラルドの口から繰り返される短いため息はアーロンの背から腰までを甘く痺れさせた。
 じゅぷ、ことさらに音を立てジェラルド自身から口を離し、褒めるように雫をこぼすジェラルドの鈴口にキスをする。
「ん、ふ、勃ったね……良かった……」
「冗談だろ、イかないように必死だよ」
「イッてもいいよ」
 そうクスクス笑いながらアーロンはゆっくりと見せつけるように自分のシャツを脱ぎ捨て、ボクサーの中のアヌスにローションまみれの指をつぷり、と挿れた。
「女の、子とは違うから、いい子で、待っててね」
 そう微笑んで言いながら自らの後孔を解しながら再びジェラルドの雄を舐めあげる。惚れた男のあまりに淫猥な様にジェラルドは呻き、脚に引っ掛かっただけの下着を剥ぎ取りアーロンを膝の上に抱きかかえる。
「あんまり焦らすと暴発しそうだ」
 ジェラルドは苦笑し、アーロンの長く細い指がうごめいている窄まりに指を伸ばす。かき混ぜるように指を動かし、彼のものよりは幾分太い指をアーロンの柔らかくなったそこに埋めた。
「あ、はっだめ、じぇり、そこっ、ひ……ん、イッちゃ、ぅや……! ゃ、俺だって、君が欲し、いんだから……!」
 そう言ってぐちぐちと水音を立て、必死にジェラルドを迎えようとしている様子に頭に血が昇るほど興奮する。
「すごい……あなたみたいな綺麗な人がこんなに淫らだなんて最高だな……」
 ちょうど今の体勢だとアーロンがジェラルドの頭をを抱きかかえるようになり、目の前に乳暈までも堅くさせ桃色を濃くしたアーロンの乳首がジェラルドの眼の前だった。誘われるように空いている方の指を這わせ、片方では吸い上げ、もう片方は潰し、軽くはじき、かとおもうと触れるか触れないかの位置で擽る。そうしてから宥めるように舐め、優しく歯を立てる。そのすべてがアーロンをひどく苛む。
「あ、んぅ! も、そこばっか、やだ、ぁ、あ!」
アーロンの乳首は刺激しすぎたのか硬く立ち上り、それは誘うように震えている。
「でも感じてるでしょ、せんせ」
 言い終わる頃に意地悪く乳頭を摘みあげる。
「っひ、ぃ、ンンンンんッ!!!」
「もう、挿れてもいいか?」
 そう尋ねると堪らないといったように何度も頷くアーロンのキスのし過ぎで赤く染まった唇をジェラルドは舐めあげ、乱暴にジャケットを脱ぎ捨てアーロンをベッドに沈めた。

「あは、は、すごいな……」
「い"、ぅん! は、ジェリー、、ジェリー、ぁあ……っ!」
 アーロンの身体は自らの意思と関係なく、きゅうきゅうと入ってきたばかりの胎内のジェラルドをいやらしく締め付けてしまう。
「は、いいよ、最高……、先生えっちだね、凄くかわいい……」
「ジェリ、ぁ、あ……すご、ゃあ……! あァ!! んぅ!」
 的確に弱いところを突かれ、全身を震わせ感じ入っているアーロンの耳元で囁く。
「ね、せんせ、僕の事、愛してるって言って」
「は、んんッ!」
 ジェラルドは腰を揺らして答えを促す。
「お願い、もっと聞かせて……」
「ばか、愛して、なきゃッ、んァア!こんなこと、しない……うぁっ!はァッ!」
 朱色に色付いたアーロンの鎖骨をジェラルドは食んだ。それにすら煽られ、アーロンは思わず腰をくねらせる。
「ん、……はっ、ぁあ、ジェリー、ジェリー……っ! もうイキたぃいい……!!」
「ふ、先生、かわいいね……、ッ! いい、よ、イけよ!」
 ジェラルドはアーロンを今迄にないほど突き上げ、震える乳首を抓みあげた。
「んぁああああああッ!! ヒ、ぁ、じぇり!ぃいいい、アアアッ!!」
 一際高い声で啼き絶頂を迎えたアーロンにジェラルドは満足して楔を抜こうとすると、妖しく蠢く肉壁と長い手足に絡め取られ思わず呻いた。
「だめ、出てっちゃだめ……」
 金色で縁取られた美しい碧眼を潤ませ、甘やかな声でうっとりとそう言うアーロンに眩暈がする。
「でも先生、イッたばっかで辛いんじゃ、」
「いい……いいから、俺で、イッて、シュガー……」
「……ッは! ぁ、クソ……ッ!!」
 一度情熱的に腰を打ち付けつけると、どくん、とジェラルドのものが弾けた。スキン越しなのにその快楽の証はアーロンの心を熱くする。
「あ、んんっ……。イった、ね、はっ、うれしい……っ!」
 アーロンはそう言って複雑そうな表情のジェラルドの顔中にキスをしてやった。
「ふあ!? ぁ、アッや、イッたのになんで……あ、硬、んんっ!」
「男の、沽券に、関わるもんで……、せんせーは、ここが、気持ちい、いんだよね?」
「そ、お利口さん、んぅ! 、でもね、もっとイイのは、もっと奥……んッ、指じゃ、届かないとこ…………、アあッ!? 」
 囁き終わると同時に殴られたような衝撃がアーロンを襲った。原因であるジェラルドはそれにかまわず激しく腰を打ち付け、性器と化したそこのいいところを的確に狙う。ぐちぐちと先程出した熱い飛沫が泡立ちながら音を響かせ、二人の情感を煽る。
「どうして、あなたはそう……!!」
「! ぁア! んっう、ひ、あ、あ!ゃ、ふか、深、いぃ……! だめ、や、あ、あ!!」
「は、はぁっ、クソッ、これ、ヤバい……はっ!」
「あ、あ、あッ、じぇり、キス、キスして! ……ん、んぅゥ!!」
望み通りにアーロンに口づけしてやり、飲みきれないほど唾液を交換し、彼を味わう口づけを繰り返しながらジェラルドは律動を繰り返し、それを享受するアーロンは女のように高い喘ぎ声をジェラルドの口内に響かせる。それは今までの性行為が何だったかとお互いに思うほど濃密だった。
「ン、ゥ……ム、はぁ、あは、んンッ! あふ、あいして、愛してる……! ジェリー、ん、ゥ……!!」
「は、アーロン、アーロン、ふ、おれも……俺もあいしてる……!!」
「ッあ! ひ、ぅん、ーーァアあああッ!」
 アーロンの麗しい悲鳴と同時にジェラルドを咥え込んだ胎内がうねり、程なくしてジェラルドも後を追うように果てた。大海のさざ波が引いていくような目眩をやり過ごし、ジェラルドは慌てて身体を断続的に小さく痙攣させているアーロンの頬を包む。
「アーロン、アーロン大丈夫か?」
「ひ、んんッ……や、じぇり、ン! ァ、ああああ、あッーーーーー!」
 全身を見遣れば柔らかく起き上がっているアーロンのそれはだらだらと白濁液を垂らし続けている。
「……イってるのか?」
「ん、んぅ、イくの止まんな、はぁアアアアん!! や、ぁ、んんッ!」
「シー、シー……大丈夫、息を吸って……」
 ジェラルドは彼の姪にやるように絶頂を迎え続けるかわいそうなアーロンを優しく抱きしめ背を撫でてやる。
「ゃ、離し、ア、ぁ! だめ、だめ、あは、はッ……!や、だめ、だめ……」
「どうした?なにがダメ?」
「……んんッ、ア! 、や、こえ、きみの声、ァあああっ!! 手、だめ、や、ぁ!  も、イきたくな、ぁあッーーーー!」
「俺の言うことが分かる?ダーリン、息を大きく吸って……止めて。吐いて……そう続けて」
 アーロンの美しい瞳は溶け落ちてしまいそうなほど涙を流している。やわらかな金糸が張り付いた彼のおでこからそれをそっと払う、ジェラルドが頭を優しく梳いてくれる。その指先さえアーロンの情感を煽る。頭が性感帯なんて知らなかったし、これからも知るはずも無かったのに。
 アーロンは一向に止まらず自分のコントロールできない甘美な歓びを収めようと背をそっとリズム良く叩くリズムと、優しく落ち着かせようとしてくれているジェラルドのビロードのようなヴィーナスが与えたバリトンボイスに集中する。
 ゆっくり、とジェラルドが言うとおりに息をしていると段々落ち着くと共に眠気がアーロンを誘う。
「……じぇり、眠、」
「いいよ、スウィーティー。おやすみ、いい夢を」



 朝になり、ジェラルドの腕の中のアーロンがもそもそ動く。
「おはよう、ダーリン」
「、……」
 昨夜さんざん鳴いたせいか、アーロンはすっかり声が枯れてしまっていた。
「ああ……すまない、やり過ぎた」
 ジェラルドがそう謝ると、昨夜脱ぎ捨てたジャケットから携帯電話をとってなにやら文字をタイプしている。
「なに?」
 “すごくよかったからいい”
 ジェラルドは思わず額に手をあてて破顔した。
“気持ちよかった?”
 続いてそう書く愛しいアーロンの額にキスを落とし、
「もちろん! そうだ、キッチン借りていいか?朝食を作るよ」
 そう言うジェラルドにどうしようもなく多幸感に満たされた。OKの意志を表明して、アーロンは朝のまどろみに身を任せたのだった。


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マイクとベンのはなし(たぶんデキてない)
誰も得をしない


ーーーーーーーーーーーーーーーー





「マイク、ちょっと」
 忙しない公務を終え、人気の無くなったオーバルオフィスでベンに名を呼ばれた。呼んだ当の本人はくるりと椅子ごと向こうを向いてしまった。こうされるとばかでかい最高級のプレジデントチェアの向こう側は監視カメラからさえも死角になる。マイクが訝しがりながらも傍へ行くと、人の良さそうな笑みを浮かべ手招きされる。渋々彼の正面に立つと、にこにこしながら両手を握られ、思わず困惑した声を上げる。
「サー、」
「警護対象から触られたんなら、君らのルール違反には当たらないだろう?」
 相変わらず笑いながらベンは言った。
「しかし不適切だと思うが?」
 ついにベンはクスクス笑いだした。
「マイク、君はどうやって私をころす?」
 は、マイクは腹の中に氷の塊がぶち込まれたように血の気が引くのを感じた。彼は、このひとは、一体何を言っている?
「なあ」
 マイクを悪戯っぽく見上げながらベンは楽しそうに続ける。
「銃やナイフは使ってくれるなよ。こうやって、」
 そう言いながらマイクの両手を首に添えさせた。
「あぁ……」
 ベンはまるでセックスをしているかのように感じ入った声をあげ、とろりと融けた瞳でマイクを見つめる。
「こうやって、私の眼をみて、やれよ」
 にこりと笑った。まるで悪魔のように。マイクは慌てて両手を引いた。
「さて、今日はもう休もうかな」
 さっきまでの妙なやり取りなど無かったかのように朗らかにベンは言いながら立ち上がった。
「マイク?どうした。移動するぞ」
「あ、ああ……」
 今のは何だったんだ?マイクの頭は混乱を極めていたが、恐らく回答を得られることはないだろう。そんな気がした。せめて、今の手の震えだけでも誤魔化せればいいが。そう思いながらマイクはきつく両眼を閉じた。

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ロンドンハズフォールン後のエアフォースワンおせっくす

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 ドクタールームでの治療を終え、大統領閣下の「私のシャワールームで汚れを落とすといい」というありがたいお言葉にマイクは従うことにした。
 ドクターからの傷口を出来るだけ濡らすな、というお小言と共に頂戴した替えの包帯と、帰国用の着替えを持ってエアフォースワン先頭のプレジデントスイートのドアをノックした。
「マイクです、大統領」
「どうぞ」

 ドアを開け、室内に入った瞬間にタックルと噛みつくようなキスに襲われた。後ろ手に部屋の鍵を閉め、犯人であるベンに啄むようなキスで応えながら執務デスクまで移動させる。外に声が漏れては不味い。隙きあらばその柔らかな舌を入れてやろうとする口付けを繰り返し、甘えるような吐息がマイクの耳孔を犯す。
「マイク、まい、く……ン」
「ん、ベン……待て、こら、まて」
「待てな、い……ン、まいく」
 下唇を食まれながらベンの尻を掴み、小ぶりなその双丘を揉みしだきながらよく鍛えられた自らの脚でベンの昂りを押し付け刺激してやる。それは痛いほどに勃ち上がっていた。
 それもそうだ、生まれて初めて手を血に汚し(それが自分のためだという事実はマイクにとってあまりにも甘美すぎた)、あまつさえ全世界に見られながら命の危機を乗り越えたのだから。とことんまで付き合うしか無い、そうマイクは判断した。実際、ベンジャミンの熱はマイクをまで燃やし始めている。
 デスクにベンを座らせ彼のバスローブを剥ぎながらマイクは大統領専用機のデスクに異質のものを見つけ、手に取った。
「ワセリン?」
 マイクが聞くと、目を逸らしながら羞恥で消え入りそうな声でベンが言う。
「さっきの……治療のときにドクターに貰った」
「まさか準備してた?」
耳まで赤く染めたベンジャミンは子供のように拗ねた顔で答える。
「……治療で脱いだおまえを見たせいでヤりたくなった。悪いか?」
 マイクはその幼い様子とアンバランスな欲望に奮い立つと
「じゃあ早速役立てるか」
と、ベンが堪らなく好きな低く色めいたとびきりの声で笑った。

 飛行機内とは思えないほどのシャワールームへマイクはベンジャミンを抱えながら移動した。ここの丈夫な扉を閉めてしまえばエンジン音と相まって声を上げようが漏れる心配はない。今日のベンに声を抑えるのは無理な芸当だった。
「マイク、頼む、もう焦らすな」
「しかし、」
 ベンの熱に煽られてしまったが、その貞淑な秘部を十分に解したとは言えなかった。
「まいく……」
 ベンは蕩けて藍色が濃くなった瞳と期待に掠れた声でマイクに囁く。
「おまえに与えられるなら……痛みだってなんだっていいんだ……」
 その言葉を認識した瞬間、マイクはベンを自らの猛ったもので一気に貫いた。
「ぃ、ンぁあ"あああッ!!!!」
  ベンは衝撃で白濁で二人の腹を汚しながらその美しい声を上げ、達した。
「は、あんた、……はッ、クソ!煽り、過ぎだ!」
 ベンの柔らかな白い下腹が未だ絶頂に震えているにも関わらず、マイクは激しく突き上げ続ける。
「ひぃ、ン!まい、マイク、も、まって、イッて、からぁ、アアッ!ァあ、んんッ!」
「く、ン、ベン、ベンそんなに、締め付ける、な……アンタの中で、イッちまう」
 スキンもねえのに、そう吐き捨てたマイクの頭に縋りつき、鼻梁を重ね、甘えて擦りつけて囁く。
「いい、中で……私の中でイッてくれ、」
「しかし、」
 鍛えているにしては細い両足がマイクの鍛えられた腰に絡む。
「おまえと、はッ……、私が、生きてるって、ぁあ、教えてくれ……」
 マイクは唸り声をあげ、ベンを抱えなおし彼の胎内に己の精をぶちまけた。
「んんんんんッ、ン!ん、は、ぁは、あつい……」
 マイクの精で満たされた事実で甘く腰を震わせたまま、堪えきれない恍惚のため息をついて言ったベンに、マイクは口付けた。
「ッは、なあ、一人で弄ってたのか?これまで?」
 一度達したにも関わらず芯を持った己でベンジャミンの性器と化した秘部をいたずらに撫でながら尋ねる。
「ああ……ちっとも抱いてくれないクソ野郎のやり方でね」
「最高だな、次は見せてくれ」
「変態。あ、」
 何かに気づいたベンはマイクの自分の為にできた腹の傷の辺りまで指を滑らせた。そこは獣のような律動のためか包帯に僅かに血が滲んでいた。
「まいく、降ろしてくれ」
「これくらいなんともない」
「いいから……」
 しぶしぶとマイクはベンを降ろした。しかし。
「この体勢なら多少負担は軽いだろう?」
 ベンは普段の潔癖で清廉なムードはどこへやったのか、壁に手を付け、恥ずかしそうに立ち、マイクの方を見遣った。誘う尻から白い太ももにマイクの精液が溢れ伝う。
「まだ、お前を開放してやるわけにはいかないんだ」
 そう言って困ったように眉を下げながらも娼婦のように淫蕩な笑みを浮かべた。
「マジかよ……あんた最高だ」
 マイクはベンの腰を掴み秘部に再びガチガチになった自らの肉棒を押し当てた。それだけで蕩けたベンのアヌスはさざめく。今度は焦らすようにゆっくりと浅く腰を進め、そして強く引き出す動きを繰り返す。
「ん、んんゥあ、はっ、バカ、ぁっ!早く、奥まで、ファックしろ、マイクっ」
 ああ、クソ、どこでそんな煽り方を学んだんだ?そうは思うが、我慢できないのは自分も同じで彼の命令通りマイクは最奥まで突き挿れた。
「ん"アアああアッ!!あ、ひっ!ぅ、ふか、深いいい……!んんぅああぁ……」
「ああ、ヤバい、わかるか、あんたの奥、俺の形にぴったり広がって、ん、吸い付いてくる……、はッ!最高だな」
 マイクの言う通り、快楽ですっかり性器と化したベンの妖しく絡みつく直腸の奥に深く何度も何度もマイクの剛直で繰り返しキスのように繰り返し突く。
「アッあっあっあっあぁッ!!おく、奥すごぃい……ぁあああア!!!ん、もっと、そこ!ああッ!もっと、は、欲しい……ッ!」
「これが、好き?」
「好き、すき、まいく……すき」
 マイクはベンの白い背中に逞しい身体を押し付けて訊ね、快感で真っ赤に染まった首のつけねにマイクは歯を立てた。
「んあああああああああっ……!!」
マイクに噛まれた、ベンはその甘美な痛みで何度目かわからない絶頂を迎えた。
 あまりの快感にベンはその美しい瞳で涙を流している。全身で感じいって震える耳の裏をマイクは舐め上げた。ベンは苦しい体勢にも関わらず顔を振り向かせ、快感で涎を唾わせながらマイクに長い長いキスをする。
「いいもんだぜ、あんたがドライでイくたびに、ゥ、中が俺を愛してる愛してるって、ハッ、うねって締め付けてくるのは!どんだけ、気持ち良いかわかるか?」
 ぐんっと腰を突き上げる。
「ひ、ァん!!そんな事、分か、らなッ!あぁっ」
「美声で知られてる、あんた、のこんな声が、知れたら、ッは、世界がひっくり返るな」
「ん"ぅ、あっあっあっ!ひ、ンぅ、どんな、声だ、ばか、あっあっ!」
 高速で奥まで抜き差しされ、快楽に流されつつも憎まれ口をたたく彼を愛しいと思いながら、マイクはとびきりの低く甘い声でベンの耳に注ぎこむように囁く。
「ん?私の、愛しい愛しい、護衛官のペニスが、好きで好きで、たまりません、って声だ」
 慌てて耳をで覆う様を愛しく思う。
「んぅ、耳、やだ、やめてくれ…んぅっ」
「、く、はっ」
 感じ入っているベンの顔が見たくてマイクは柔らかな腰を掴んだ手に力を入れベンをひっくり返し、座ってベンを乗せた。
「ヒ、ぁあ"あ!!んッばか、ばか急に、」
「すまん、どうしてもあんたの顔が見たくて」
 そう甘く囁かれてはベンに勝ち目はない。ただし、仕返しとばかりに急にベンが腹に力を込め、マイクはその快感に眉を顰めた。
「…ん、ふ、うっ……!」
「あ、はっ、お前の、その顔が好きだ」
 ベンは優しくマイクの頬に手を沿わせ、ローティーンのように啄むキスを顔中に何度も繰り返した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 新しいスーツに着替え、マイクは到着後のスケジュールを持ち執務室のドアをノックする。
「どうぞ入ってくれ」
 中に入ると、五時間前にはあんなに快楽で身悶えていたベンはいつもの”大統領”に戻っていおり、タイを結ぶ彼にマイクは感嘆と少し悔しさを覚えた。
 彼の爽やかな美貌に腫れが出来ているのにマイクは眉を顰めた。奴らなどガス爆発より熱い地獄の炎で焼かれればいいと思いながら、白々しい顔で言う。
「ワシントンD.C.に着き次第WG大学病院で精密検査をしていただきます。問題がなければそのままハウスまでお送りします」
 うんうんと頷きながらタイを締め終えたベンは神妙な顔をして言った。
「マイク、レイプ検査は受けないぞ」
 とんでもない台詞にさすがのマイクも吹き出してしまった。
「君が逮捕されたら困るからな」
 しれっと言うベンにマイクは頭を抱えた。ベンはクスクス笑いながらウインクをしてくる。自分は一生この人には敵わない。

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