再録本「リンカーネイション・パレード」(https://vvsm52.booth.pm/items/1453465)集録の書き下ろしじぇりあろ
年下の男の子×えっちなおねえさん
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牛乳買ったよ。あといつものコーヒー豆も。ほかには?うん…、うん」
そんな甘えた声をした年下のかわいらしい子熊に似た青年をどうして恋人にし、あまつさえ家に住まわせることになったかというと、時は少し遡る。
ワオ。それが初めて悪友たちといわゆるゲイバーに入ってみたジェラルドの感想だった。
思っていたほど淫猥でないし、なんというか紳士的ですらある。わりといいお値段の店にあたったのもあるだろうが、なんだか穏やかですらあった。ここでは奇異の目で見られないから延び延びとできるのだろうか、そう思った。ジェラルドはバカではあるが頭は回る方の悪ガキだった。
一番安い酒を頼み、人目につかなそうな敷居がある席にみんなで座り、居心地悪そうに酒をちびちびと舐める。
「なあ、俺たちやべえくらい浮いてるよな」
「完全に場違いだわ……。対して面白くもないしこれ飲み終わったらクラブ行って女の子引っ掛けようぜ」
「だな」
そんなことをバカ大学生にしては比較的小さな声で話していると、ジェラルドの目が何故か一人の男でとまった。誰の目にも留まるほどの美形なのに一人で水と、紙巻きタバコの方が似合いそうな美しい指でシガーをのんでいる。それが妙にセクシーだった。
「先行っててくれよ、俺飲み終わってから行くわ」
オーケィ、と言って悪友共はさっさと行ってしまった。アウェイからホームに戻るのだから仕方のないことではある。ジェラルドはアーリータイムをぐび、と飲み干すとその暗い金色の髪の男の横のスツールに座る。
「ハイ」
そうとびきりの笑みで挨拶したが彼はちらりと目線をよこし片眉の端を上げただけだった。俄然やる気が出たジェラルドは全く気にせずそのまま話しかけた。美人に冷たくされると燃えるタイプなのだ。
「名前は?俺はジェラルド。ジェリーって呼んでくれ。あんたは?」
「ジョン・スミス」
さすがにムッとして口唇を尖らせると、彼はちょっと笑って言った。
「アーロンだよ」
「本名?」
「ふふ、内緒」
そんな風に傍から見たらいちゃいちゃしていると、不機嫌な様子のハンサムが割り入って来た。
「アーロン、これは?」
「ジェリーだよ、ちょっと話してただけ」
男はそう聞いてジェラルドを値踏みして鼻で笑う。よくいるクソ野郎だった。そしてそいつはあっさりとジェラルドに背を向け、アーロンに何だかんだと辛辣な嫌味を言っている。流石に言いすぎだろ、そう言おうと肩に手を伸ばしかけると携帯の着信音が鳴った。
「仕事の電話だ。外に行ってくる」
そう言って男は出ていった。
「さっきの、彼氏?」
「まあね」
「俺のほうがよっぽどイイ男だと思うけど?」
とおどけたように言うとアーロンは噴き出して言う。
「ばかだな、君ヘテロだろ」
「アンタとならいけそう」
そう言って今まで誰もがオチた眼つきで見つめた。しかし。若造のそんな顔よりもびっくりするほど艶めいた微笑みでアーロンは言う。
「どうかな……」
そしてジェラルドの股間にそっと手を伸ばしてジーンズの前立てをかり、と引っ掻いた。
「あ……」
「そういうこと言う人はいっぱい居るけど、ふふ、君は男相手でも勃ちそうだね」
そう言うとジェラルドの股間を相変わらず弄びながら耳元に口を寄せ、思わずジェラルドが生唾を飲むほどセクシーな声で少し笑って言う。
「場所を変えようか?」
それはジェラルドが今一番欲しい言葉だった。
そこら辺にあった安っぽいモーテルの部屋に二人でお互いの舌を貪りながらなだれ込む。移動中に既にゆるく勃っていたジェラルドのペニスは、ドアに押し付けられてアーロンのキスの猛攻を受けながらよく鍛えられた太腿で刺激され今や痛いほどに起ち上がっていた。
「は、クソッ、もうやば、あんた、は?」
「どうだと思う、ジェリー?」
クスリと笑ってアーロンは艶かしくジェラルドの身体にゆっくりと手を這わせながら膝をつく。そしてジェラルドのジーンズをアーロンが寛げると勢い良く飛び出てしまい、そんな己の愚息にジェラルドは激しい羞恥で顔中から火が出るかと思うほど真っ赤になった。
「ふふ、かわいい」
しかしアーロンはそう言うと、赤く腫れ上がった先端に優しく口付けてはカリ首を優しく唇で何度も締め付ける。かとおもうと根元から咥え込み熱く滑らかな、信じられないほどの喉奥で愛されしまいには陰嚢から裏筋を舐め上げられる。つぅ、と零れ出た先走りとアーロンの唾液が糸を引くほどに混ざった液体と赤い舌を見せつけられながらペニスが解放される。
「アゥ……、んぅッ……は、……」
あまりに暴力的な官能に思わずジェラルドはその淫らな舌を追い腰を揺らす。くすり、と笑った吐息がかかったかと思えばそれに反応する間もなく透明な液が迸るちいさな穴に尖らせた舌をねじ込まれ腰が跳ねる。
「あ、は、それやば、ぅあ!」
再びアーロンの熱く唾液まみれの口内の奥深くに含まれ、同時に綺麗な指で会陰を刺激され、重い陰囊が一気に硬くなる。そんな刺激は初めてで、腰の痺れに耐えきれずに先端から透明な先走りが溢れ出す。それを当然のように飲むアーロンの腰が、中での快感を思い出したかのようにゆらめかされた。そんな煽りに耐えきれなくなったジェラルドは、アーロンの柔らかな二の腕をぐいと引き上げ抱き上げる。そうすると上から口づけが降りて舌を二人は絡め合い、ジェラルドは固いベッドに派手な音を立てながらアーロンを投げ下ろして覆いかぶさる。
「あーろ、アーロン!はぁッ、もうあんたにぶち込みたい、限界だ……!」
そんな可愛らしい泣き言にアーロンは小さく吹き出し、するりとジェラルドの腕から逃げ出すと投げ捨てたジャケットからローションとゴムを取り出す。
「は、あんたそんなの用意してたの……?エロすぎ……」
それを聞いていたずら猫のように笑うと、アーロンは衣服を全て脱ぎ捨てジェラルドの上に乗り跨る。
「ふふ、ちょっと待っててね?」
アーロンはそう言うとジェラルドのペニスを口で包みながらコンドームを被せたかと思うとまた深くまでそれでジェラルドの雄を包み被せながら咥えこむ。そうしながら透明なローションでとろりと濡らした美しい指を自らの秘所に埋め込みそこをほぐし始める。
「ぁ……、はっ、ハァッ、そんな……あーろん……!」
ジェラルドの耐えきれないといった吐息を聞いてアーロンはいやらしく官能的なため息を溢し、薄く赤い舌で唇を舐める。それを見たジェラルドのペニスは更に堅くなり、陰嚢は射精を迎えようとぐぐ、と持ち上がってしまう。そんな反応さえ可愛らしいとアーロンの胸はうっかりときめいてしまう。年下で、しかもこんなに素直な相手はこれまでにいなかったのだ。なぜかアーロンはこの子供がすっかり気に入ってしまっていた。
「ああぁ、もうむり、いれたい、中挿れたい、イキそう……!!」
「んん、ちょっとキツいかもだけど、いいよ……、特別……」
そのアーロンの言葉にジェラルドはアーロンをベッドに乱暴に沈め、細い腰を掴むと猛り立った己で柔らかく、そしていやらしく収斂して誘うそこからアーロンの中を一気に貫いた。
「ぅあ、アは、すげえ……ッ!」
ジェラルドが突き入れたそれに信じられないほどの衝撃がアーロンを襲う。それは今までにないものでパニックで思考が真っ白になる。
「は、あ"ァ……ッ!」
「っあ、はっ、ぁ、はいった、ぁっ!すご………っ、アーロンッ、…っ、も、あゥ、…………っんっ!はあっ、うぁ、っん!なか、きつ、クソ、止まんね……っ!!」
そう若く男らしい顔を快感で歪め、熱い喘ぎを溢しながら激しく体内を穿つジェラルドに、アーロンは抗いようもなく涙を零しながら振り回される。
「ま、ァあ!まって、ひ!ダメ、だめ、ア!ゔ、あッあ、じぇり、待って、ア!あッ!やッ!!」
悲鳴のようなアーロンの声も届かないのか、ジェラルドは赤く染まり汗で滑るアーロンの身体をがっちりと抱きしめて離さない。それどころか首に回した腕に力を込めて更にアーロンを深く沈めてくる。
「ぃああああッそんな、したぁ、壊れ……ッ!!」
「ぁ、アーロンッ、ッ!!も、無理、ふっ、でるッ……!ッ!!」
びゅく、びゅくっと自分でも信じられないほどの長い射精を迎えて満足げなため息をついたジェラルドは突然ぎゅうと乳首を抓まれてその痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
「ぎゃっ!」
そんなジェラルドにアーロンは荒い息を吐きながら地を這うような声で言う。
「ジェ〜ラ〜ル〜ド〜……」
「はいっ」
体制をぐるりと変えてジェラルドに跨り、アーロンは言う。
「こんな、は、自分本位のセックスしちゃだめだろ……!今ので、僕が気持ちよかったと思う?」
「ぁ、う……ごめんなさい……」
「わるい子だね、ジェラルド」
眉を悲しそうな子犬のように下げたジェラルドの肉厚な下唇を噛んで、むいっと引っ張る。そしてアーロンは色っぽいため息をつきながらまだ緩く勃ち上がったままのジェラルドのペニスを再び後ろ手に撫でると、意地悪く笑って甘い口調で命令する。
「僕がいいって言うまで動いちゃダメだし、イッてもダメ。わかった?」
ジェラルドはうう、と小さく唸ってから下がりきった眉根を寄せて自信なさげに言う。
「その、できるだけがんばる……」
「よろしい」
「まだパンパンだね」
ジェラルドの上に乗り上げ、後ろ手で陰嚢をくすぐり笑う。そうしてからゆっくりと艷やかな吐息を溢し、ローションまみれのジェラルドのペニスを薄く小振りな臀でぐちゅくちゅと卑猥な音を立てて咥え込んでゆく。
「ん……、ここが、は、あぁ……、ぜんりつせん。聞いたこと…はぁっ、ん、あるだろ?すごくイイとこ……あッ、ン!ふふ、興奮した?でも、一番、感じるのは……」
いたずらにそう耳元で囁くとぐちゅりと卑猥な音を立ててジェラルドの質量の増した牡をアーロンは全て呑み込む。
「あぁ、っふ、これ……!ン……おくが、君に、ぁあ……!吸い付いてる、の、わかる?」
呼吸も出来ずにジェラルドはコクコクと必死に頷く。それがどうにも可愛らしくて苛めたいし、甘やかしてしまいたい。
「すご、きもちい……ね、じぇり、ここ、キスして……?」
柔らかな乳暈を挟むように指先が桃色に染まった指をあて、艶めいた微笑みで言うとその通りにジェラルドに乳首を舐められてアーロンは切なく喘ぐ。ジェラルドにぢゅ、と真っ赤に染まった尖りに勢いよく吸い付かれると、そのよく手入れをされたピアノの鍵盤のような美しい歯にそっと先端が当たって甘い悲鳴を上げた。
「は、ふ、女みてえ……」
そう熱に浮かされたジェラルドに言われ、アーロンは全身を震わせて身悶えした。今までにない程の身体の震えと自身を包む媚肉の蠢きに慌てたジェラルドが声をかけると、目尻に涙を浮かべて途切れ途切れにアーロンは言った。
「なか、で、イッた、の」
「ぁあッ……ァ、はぁッ、ごめ、……出ちゃ、た」
「い、いいから、突いて、奥、して、ジェリー……、あッ、あぁぁ…………っ!」
「あーろん、アーロン、どうしよう、あんたに優しくしたいのにめちゃくちゃにしたい」
「だぁめ、それは、アん!していいのは、恋人だけ……」
そう意地悪く笑いながら言うと、ちゅっとかわいらしい音を立ててへの字に曲がったジェラルドの唇にキスをする。
「じゃあ恋人にしてよ……、好き、もうわけわかんないくらいあんたが好きなんだ」
「ンっ!ぁあ……じぇらるど」
ジェラルドの懇願を聞こえなかったかのようにそう言うと、アーロンはジェラルドの太い首に腕を絡め、深く深く口付けた。
それからしばらく経ち、ジェラルドの事をあまり思い返さなくなった頃にアーロンは誰かに腕を掴まれた。
「やっと会えた」
「ジェリー?どうして……」
「恋人にしてって言ったのは本気だって伝えたくて」
「でもどうしてここが?」
戸惑いを隠しきれないアーロンにジェラルドは事もなげに彼氏面している男から内緒でいただいた名刺 から今日ここに来るって調べた、などと言い放つ。ネットの広大さに目を回かけているアーロンをその青年は蕩けるような瞳で見つめて言う。
「アーロンの理想の男になるから俺のこと、躾けてよ」
そして優しく握ったアーロンの手首の内側にキスをした。こんなにも美しく精悍な若者にそんなことをされ、ぐらぐらとしない人間がいるだろうか?しかもセックスの相性が抜群なのだ。思わずうっとりとしながら了承しようとすると、その甘い空気を引き裂く声がした。それはすっかり忘れていた恋人の様な関係だった男のだった。
「信じられない!浮気だなんて!許さないぞ、アーロン。君がそんな人間だなんて思わなかった」
そうキンキンと叫ばれ、全くこの男をなぜ側に置いていたのかさっぱり分からなかった。
そんな二人の間に何か言いかけたジェラルドの手に指を絡め、感情の籠らない事務的な声で言い渡した。
「別れる」
「は?」
「君とは終わり。だいたい恋人にした覚えもないしね。一番は性の不一致!じゃあね」
そう無情にも言い放つとアーロンはジェラルドの手を掴んで歩き出す。
「ねえ、俺は及第点だった?」
「ふふ、お互い最高だったろ?それに……」
「それに?」
「秘密だよ」
年下の男の子×えっちなおねえさん
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牛乳買ったよ。あといつものコーヒー豆も。ほかには?うん…、うん」
そんな甘えた声をした年下のかわいらしい子熊に似た青年をどうして恋人にし、あまつさえ家に住まわせることになったかというと、時は少し遡る。
ワオ。それが初めて悪友たちといわゆるゲイバーに入ってみたジェラルドの感想だった。
思っていたほど淫猥でないし、なんというか紳士的ですらある。わりといいお値段の店にあたったのもあるだろうが、なんだか穏やかですらあった。ここでは奇異の目で見られないから延び延びとできるのだろうか、そう思った。ジェラルドはバカではあるが頭は回る方の悪ガキだった。
一番安い酒を頼み、人目につかなそうな敷居がある席にみんなで座り、居心地悪そうに酒をちびちびと舐める。
「なあ、俺たちやべえくらい浮いてるよな」
「完全に場違いだわ……。対して面白くもないしこれ飲み終わったらクラブ行って女の子引っ掛けようぜ」
「だな」
そんなことをバカ大学生にしては比較的小さな声で話していると、ジェラルドの目が何故か一人の男でとまった。誰の目にも留まるほどの美形なのに一人で水と、紙巻きタバコの方が似合いそうな美しい指でシガーをのんでいる。それが妙にセクシーだった。
「先行っててくれよ、俺飲み終わってから行くわ」
オーケィ、と言って悪友共はさっさと行ってしまった。アウェイからホームに戻るのだから仕方のないことではある。ジェラルドはアーリータイムをぐび、と飲み干すとその暗い金色の髪の男の横のスツールに座る。
「ハイ」
そうとびきりの笑みで挨拶したが彼はちらりと目線をよこし片眉の端を上げただけだった。俄然やる気が出たジェラルドは全く気にせずそのまま話しかけた。美人に冷たくされると燃えるタイプなのだ。
「名前は?俺はジェラルド。ジェリーって呼んでくれ。あんたは?」
「ジョン・スミス」
さすがにムッとして口唇を尖らせると、彼はちょっと笑って言った。
「アーロンだよ」
「本名?」
「ふふ、内緒」
そんな風に傍から見たらいちゃいちゃしていると、不機嫌な様子のハンサムが割り入って来た。
「アーロン、これは?」
「ジェリーだよ、ちょっと話してただけ」
男はそう聞いてジェラルドを値踏みして鼻で笑う。よくいるクソ野郎だった。そしてそいつはあっさりとジェラルドに背を向け、アーロンに何だかんだと辛辣な嫌味を言っている。流石に言いすぎだろ、そう言おうと肩に手を伸ばしかけると携帯の着信音が鳴った。
「仕事の電話だ。外に行ってくる」
そう言って男は出ていった。
「さっきの、彼氏?」
「まあね」
「俺のほうがよっぽどイイ男だと思うけど?」
とおどけたように言うとアーロンは噴き出して言う。
「ばかだな、君ヘテロだろ」
「アンタとならいけそう」
そう言って今まで誰もがオチた眼つきで見つめた。しかし。若造のそんな顔よりもびっくりするほど艶めいた微笑みでアーロンは言う。
「どうかな……」
そしてジェラルドの股間にそっと手を伸ばしてジーンズの前立てをかり、と引っ掻いた。
「あ……」
「そういうこと言う人はいっぱい居るけど、ふふ、君は男相手でも勃ちそうだね」
そう言うとジェラルドの股間を相変わらず弄びながら耳元に口を寄せ、思わずジェラルドが生唾を飲むほどセクシーな声で少し笑って言う。
「場所を変えようか?」
それはジェラルドが今一番欲しい言葉だった。
そこら辺にあった安っぽいモーテルの部屋に二人でお互いの舌を貪りながらなだれ込む。移動中に既にゆるく勃っていたジェラルドのペニスは、ドアに押し付けられてアーロンのキスの猛攻を受けながらよく鍛えられた太腿で刺激され今や痛いほどに起ち上がっていた。
「は、クソッ、もうやば、あんた、は?」
「どうだと思う、ジェリー?」
クスリと笑ってアーロンは艶かしくジェラルドの身体にゆっくりと手を這わせながら膝をつく。そしてジェラルドのジーンズをアーロンが寛げると勢い良く飛び出てしまい、そんな己の愚息にジェラルドは激しい羞恥で顔中から火が出るかと思うほど真っ赤になった。
「ふふ、かわいい」
しかしアーロンはそう言うと、赤く腫れ上がった先端に優しく口付けてはカリ首を優しく唇で何度も締め付ける。かとおもうと根元から咥え込み熱く滑らかな、信じられないほどの喉奥で愛されしまいには陰嚢から裏筋を舐め上げられる。つぅ、と零れ出た先走りとアーロンの唾液が糸を引くほどに混ざった液体と赤い舌を見せつけられながらペニスが解放される。
「アゥ……、んぅッ……は、……」
あまりに暴力的な官能に思わずジェラルドはその淫らな舌を追い腰を揺らす。くすり、と笑った吐息がかかったかと思えばそれに反応する間もなく透明な液が迸るちいさな穴に尖らせた舌をねじ込まれ腰が跳ねる。
「あ、は、それやば、ぅあ!」
再びアーロンの熱く唾液まみれの口内の奥深くに含まれ、同時に綺麗な指で会陰を刺激され、重い陰囊が一気に硬くなる。そんな刺激は初めてで、腰の痺れに耐えきれずに先端から透明な先走りが溢れ出す。それを当然のように飲むアーロンの腰が、中での快感を思い出したかのようにゆらめかされた。そんな煽りに耐えきれなくなったジェラルドは、アーロンの柔らかな二の腕をぐいと引き上げ抱き上げる。そうすると上から口づけが降りて舌を二人は絡め合い、ジェラルドは固いベッドに派手な音を立てながらアーロンを投げ下ろして覆いかぶさる。
「あーろ、アーロン!はぁッ、もうあんたにぶち込みたい、限界だ……!」
そんな可愛らしい泣き言にアーロンは小さく吹き出し、するりとジェラルドの腕から逃げ出すと投げ捨てたジャケットからローションとゴムを取り出す。
「は、あんたそんなの用意してたの……?エロすぎ……」
それを聞いていたずら猫のように笑うと、アーロンは衣服を全て脱ぎ捨てジェラルドの上に乗り跨る。
「ふふ、ちょっと待っててね?」
アーロンはそう言うとジェラルドのペニスを口で包みながらコンドームを被せたかと思うとまた深くまでそれでジェラルドの雄を包み被せながら咥えこむ。そうしながら透明なローションでとろりと濡らした美しい指を自らの秘所に埋め込みそこをほぐし始める。
「ぁ……、はっ、ハァッ、そんな……あーろん……!」
ジェラルドの耐えきれないといった吐息を聞いてアーロンはいやらしく官能的なため息を溢し、薄く赤い舌で唇を舐める。それを見たジェラルドのペニスは更に堅くなり、陰嚢は射精を迎えようとぐぐ、と持ち上がってしまう。そんな反応さえ可愛らしいとアーロンの胸はうっかりときめいてしまう。年下で、しかもこんなに素直な相手はこれまでにいなかったのだ。なぜかアーロンはこの子供がすっかり気に入ってしまっていた。
「ああぁ、もうむり、いれたい、中挿れたい、イキそう……!!」
「んん、ちょっとキツいかもだけど、いいよ……、特別……」
そのアーロンの言葉にジェラルドはアーロンをベッドに乱暴に沈め、細い腰を掴むと猛り立った己で柔らかく、そしていやらしく収斂して誘うそこからアーロンの中を一気に貫いた。
「ぅあ、アは、すげえ……ッ!」
ジェラルドが突き入れたそれに信じられないほどの衝撃がアーロンを襲う。それは今までにないものでパニックで思考が真っ白になる。
「は、あ"ァ……ッ!」
「っあ、はっ、ぁ、はいった、ぁっ!すご………っ、アーロンッ、…っ、も、あゥ、…………っんっ!はあっ、うぁ、っん!なか、きつ、クソ、止まんね……っ!!」
そう若く男らしい顔を快感で歪め、熱い喘ぎを溢しながら激しく体内を穿つジェラルドに、アーロンは抗いようもなく涙を零しながら振り回される。
「ま、ァあ!まって、ひ!ダメ、だめ、ア!ゔ、あッあ、じぇり、待って、ア!あッ!やッ!!」
悲鳴のようなアーロンの声も届かないのか、ジェラルドは赤く染まり汗で滑るアーロンの身体をがっちりと抱きしめて離さない。それどころか首に回した腕に力を込めて更にアーロンを深く沈めてくる。
「ぃああああッそんな、したぁ、壊れ……ッ!!」
「ぁ、アーロンッ、ッ!!も、無理、ふっ、でるッ……!ッ!!」
びゅく、びゅくっと自分でも信じられないほどの長い射精を迎えて満足げなため息をついたジェラルドは突然ぎゅうと乳首を抓まれてその痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。
「ぎゃっ!」
そんなジェラルドにアーロンは荒い息を吐きながら地を這うような声で言う。
「ジェ〜ラ〜ル〜ド〜……」
「はいっ」
体制をぐるりと変えてジェラルドに跨り、アーロンは言う。
「こんな、は、自分本位のセックスしちゃだめだろ……!今ので、僕が気持ちよかったと思う?」
「ぁ、う……ごめんなさい……」
「わるい子だね、ジェラルド」
眉を悲しそうな子犬のように下げたジェラルドの肉厚な下唇を噛んで、むいっと引っ張る。そしてアーロンは色っぽいため息をつきながらまだ緩く勃ち上がったままのジェラルドのペニスを再び後ろ手に撫でると、意地悪く笑って甘い口調で命令する。
「僕がいいって言うまで動いちゃダメだし、イッてもダメ。わかった?」
ジェラルドはうう、と小さく唸ってから下がりきった眉根を寄せて自信なさげに言う。
「その、できるだけがんばる……」
「よろしい」
「まだパンパンだね」
ジェラルドの上に乗り上げ、後ろ手で陰嚢をくすぐり笑う。そうしてからゆっくりと艷やかな吐息を溢し、ローションまみれのジェラルドのペニスを薄く小振りな臀でぐちゅくちゅと卑猥な音を立てて咥え込んでゆく。
「ん……、ここが、は、あぁ……、ぜんりつせん。聞いたこと…はぁっ、ん、あるだろ?すごくイイとこ……あッ、ン!ふふ、興奮した?でも、一番、感じるのは……」
いたずらにそう耳元で囁くとぐちゅりと卑猥な音を立ててジェラルドの質量の増した牡をアーロンは全て呑み込む。
「あぁ、っふ、これ……!ン……おくが、君に、ぁあ……!吸い付いてる、の、わかる?」
呼吸も出来ずにジェラルドはコクコクと必死に頷く。それがどうにも可愛らしくて苛めたいし、甘やかしてしまいたい。
「すご、きもちい……ね、じぇり、ここ、キスして……?」
柔らかな乳暈を挟むように指先が桃色に染まった指をあて、艶めいた微笑みで言うとその通りにジェラルドに乳首を舐められてアーロンは切なく喘ぐ。ジェラルドにぢゅ、と真っ赤に染まった尖りに勢いよく吸い付かれると、そのよく手入れをされたピアノの鍵盤のような美しい歯にそっと先端が当たって甘い悲鳴を上げた。
「は、ふ、女みてえ……」
そう熱に浮かされたジェラルドに言われ、アーロンは全身を震わせて身悶えした。今までにない程の身体の震えと自身を包む媚肉の蠢きに慌てたジェラルドが声をかけると、目尻に涙を浮かべて途切れ途切れにアーロンは言った。
「なか、で、イッた、の」
「ぁあッ……ァ、はぁッ、ごめ、……出ちゃ、た」
「い、いいから、突いて、奥、して、ジェリー……、あッ、あぁぁ…………っ!」
「あーろん、アーロン、どうしよう、あんたに優しくしたいのにめちゃくちゃにしたい」
「だぁめ、それは、アん!していいのは、恋人だけ……」
そう意地悪く笑いながら言うと、ちゅっとかわいらしい音を立ててへの字に曲がったジェラルドの唇にキスをする。
「じゃあ恋人にしてよ……、好き、もうわけわかんないくらいあんたが好きなんだ」
「ンっ!ぁあ……じぇらるど」
ジェラルドの懇願を聞こえなかったかのようにそう言うと、アーロンはジェラルドの太い首に腕を絡め、深く深く口付けた。
それからしばらく経ち、ジェラルドの事をあまり思い返さなくなった頃にアーロンは誰かに腕を掴まれた。
「やっと会えた」
「ジェリー?どうして……」
「恋人にしてって言ったのは本気だって伝えたくて」
「でもどうしてここが?」
戸惑いを隠しきれないアーロンにジェラルドは事もなげに彼氏面している男から内緒でいただいた名刺 から今日ここに来るって調べた、などと言い放つ。ネットの広大さに目を回かけているアーロンをその青年は蕩けるような瞳で見つめて言う。
「アーロンの理想の男になるから俺のこと、躾けてよ」
そして優しく握ったアーロンの手首の内側にキスをした。こんなにも美しく精悍な若者にそんなことをされ、ぐらぐらとしない人間がいるだろうか?しかもセックスの相性が抜群なのだ。思わずうっとりとしながら了承しようとすると、その甘い空気を引き裂く声がした。それはすっかり忘れていた恋人の様な関係だった男のだった。
「信じられない!浮気だなんて!許さないぞ、アーロン。君がそんな人間だなんて思わなかった」
そうキンキンと叫ばれ、全くこの男をなぜ側に置いていたのかさっぱり分からなかった。
そんな二人の間に何か言いかけたジェラルドの手に指を絡め、感情の籠らない事務的な声で言い渡した。
「別れる」
「は?」
「君とは終わり。だいたい恋人にした覚えもないしね。一番は性の不一致!じゃあね」
そう無情にも言い放つとアーロンはジェラルドの手を掴んで歩き出す。
「ねえ、俺は及第点だった?」
「ふふ、お互い最高だったろ?それに……」
「それに?」
「秘密だよ」
前回のセト×シュウ(アーロン)よりも少し前のお話。
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──全く、手酷く抱いて傷つけてからここに連れてくるくらいなら最初から優しく抱けばいいのに、おかしなものだ。思わず笑みが溢れた。そうしてからあらゆるものを元に戻す原初の水で造られた湯が満ちたそこに入る。少し傷に滲みたがその淡い痛みが薄れると同時に傷も癒えてゆく。
ここからでもセトが最悪の悪魔と闘っているのが能く見える。私の権能で与えた漆黒を金で縁取った翼を閃かせながら闘うさまに見惚れてしまう。と、彼が振りかぶった槍を打ち降ろすと同時にアポピスの鋭い牙がセトの胸を裂く。
「セト!!」
殆ど悲鳴のような声を上げながら手早く薄布を身体に巻きつけ船首へ駆ける。
「……奴は」
「大丈夫、逃げ帰ったよ」
「そうか」
見れば左肩から真横に切り裂かれている。傷は深い。
「風呂まで頑張ってくれよ、もう少しだ」
低く呻くセトを支えなんとか歩いてゆく。自分より大柄で鍛え上げられているものだから骨が折れる。私ももう少し鍛えたほうがいいな、などと軽口を叩けばセトは吐息だけで笑った。
酷く深い傷を負ったセトを後ろから抱きしめ支えながら沐浴させる。そのきらめく原初の水をも覆い隠す程に傷跡から流れ出ていた黄金が少しずつ薄らいできて、小さく安堵の吐息がこぼれた。
「泣くな。お前が泣くと……困る」
「ふふ、いつも泣かせてばかりのくせに」
痛みも引いてきたのか、顰められた眉が解けだしたセトはその眼をゆっくりと開いて呟くように語りだした。
「戴冠式にいなかった総ての神共を呼びつけた時、お前だけは直ぐに殺そうと思っていた」
「……でもそうしなかったね」
「怯えきったあれらと違って暢気に笑って膝をついたお前を見て、浮ついた気持ちになったおのれを殺すのに精一杯だった。……千年も放って置かれたのにな」
そう、時間の流れに疎い旧い神とはいえ、彼を独りにしたのは酷すぎた。ただ成長を見守っていたのでは足りなかった。砂漠で涙を堪え、それでも一面の砂を睨みつけ立っていた幼いセトの姿が蘇る。
「父の王宮から砂漠に捨て置かれた俺をわざわざ構いに来るのはお前ぐらいだった……妙に兄貴面をするかとと思えば母親のように子供扱いをするし、うっとおしいばかりだったが本心は、ハッ。嬉しかったんだろうな、俺は。それがぱったりと訪れなくなったから俺は見捨てられたのだ、絶対に赦すまい。そう思っていたのにな。愚かなものだ」
そう吐き捨てたセトの空虚な眼を手のひらで覆う。そんな眼を二度とさせないように、癒やすように、私以外から隠すように。
「どうしてまた俺の前に姿を見せた?再び見捨てるためか。それが罰だとでもいうのか。それ程までに俺の罪は重いのか」
「……そうだよ。でも君がこれを続ける限り、私はずっと傍にいる」
これは呪いだ。この壮麗で空虚な淋しい船で、毎夜悪魔と闘い続けるという君が何より厭った過酷な運命に従う限り、何よりも欲しかったものを得られる。そう私が君にかけた小賢しい呪い。すべてを手に入れ、そして失った哀れな君を縛るもの。何より強力で古い呪い。そんなものに頼ってでも、私はもう二度と君を失わないと決めたのだ。
呪いが解けた時、そんなものに縋ってまで君の傍らに立っていたいだけという私の醜い愛を知った時、君はどうするのだろうか。
まだ呪いは有効だ。少なくとも、明日君が目覚めるまでは。
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──全く、手酷く抱いて傷つけてからここに連れてくるくらいなら最初から優しく抱けばいいのに、おかしなものだ。思わず笑みが溢れた。そうしてからあらゆるものを元に戻す原初の水で造られた湯が満ちたそこに入る。少し傷に滲みたがその淡い痛みが薄れると同時に傷も癒えてゆく。
ここからでもセトが最悪の悪魔と闘っているのが能く見える。私の権能で与えた漆黒を金で縁取った翼を閃かせながら闘うさまに見惚れてしまう。と、彼が振りかぶった槍を打ち降ろすと同時にアポピスの鋭い牙がセトの胸を裂く。
「セト!!」
殆ど悲鳴のような声を上げながら手早く薄布を身体に巻きつけ船首へ駆ける。
「……奴は」
「大丈夫、逃げ帰ったよ」
「そうか」
見れば左肩から真横に切り裂かれている。傷は深い。
「風呂まで頑張ってくれよ、もう少しだ」
低く呻くセトを支えなんとか歩いてゆく。自分より大柄で鍛え上げられているものだから骨が折れる。私ももう少し鍛えたほうがいいな、などと軽口を叩けばセトは吐息だけで笑った。
酷く深い傷を負ったセトを後ろから抱きしめ支えながら沐浴させる。そのきらめく原初の水をも覆い隠す程に傷跡から流れ出ていた黄金が少しずつ薄らいできて、小さく安堵の吐息がこぼれた。
「泣くな。お前が泣くと……困る」
「ふふ、いつも泣かせてばかりのくせに」
痛みも引いてきたのか、顰められた眉が解けだしたセトはその眼をゆっくりと開いて呟くように語りだした。
「戴冠式にいなかった総ての神共を呼びつけた時、お前だけは直ぐに殺そうと思っていた」
「……でもそうしなかったね」
「怯えきったあれらと違って暢気に笑って膝をついたお前を見て、浮ついた気持ちになったおのれを殺すのに精一杯だった。……千年も放って置かれたのにな」
そう、時間の流れに疎い旧い神とはいえ、彼を独りにしたのは酷すぎた。ただ成長を見守っていたのでは足りなかった。砂漠で涙を堪え、それでも一面の砂を睨みつけ立っていた幼いセトの姿が蘇る。
「父の王宮から砂漠に捨て置かれた俺をわざわざ構いに来るのはお前ぐらいだった……妙に兄貴面をするかとと思えば母親のように子供扱いをするし、うっとおしいばかりだったが本心は、ハッ。嬉しかったんだろうな、俺は。それがぱったりと訪れなくなったから俺は見捨てられたのだ、絶対に赦すまい。そう思っていたのにな。愚かなものだ」
そう吐き捨てたセトの空虚な眼を手のひらで覆う。そんな眼を二度とさせないように、癒やすように、私以外から隠すように。
「どうしてまた俺の前に姿を見せた?再び見捨てるためか。それが罰だとでもいうのか。それ程までに俺の罪は重いのか」
「……そうだよ。でも君がこれを続ける限り、私はずっと傍にいる」
これは呪いだ。この壮麗で空虚な淋しい船で、毎夜悪魔と闘い続けるという君が何より厭った過酷な運命に従う限り、何よりも欲しかったものを得られる。そう私が君にかけた小賢しい呪い。すべてを手に入れ、そして失った哀れな君を縛るもの。何より強力で古い呪い。そんなものに頼ってでも、私はもう二度と君を失わないと決めたのだ。
呪いが解けた時、そんなものに縋ってまで君の傍らに立っていたいだけという私の醜い愛を知った時、君はどうするのだろうか。
まだ呪いは有効だ。少なくとも、明日君が目覚めるまでは。
アーロンは豪奢な黒壇でできたビクトリア朝の水槽で気持ちよく漂っていた。するとドアを開けて男が入ってきた。彼は幼い頃から聞かされていた人間像とは違う、おかしな人間だった。
「やあ」
アーロンは水面に顔を出して挨拶する。
「今日は何を読んでくれるの?」
男は屋敷に閉じ込めているアーロンが退屈しないように手を変え品を変え相手してくれるのだ。
「どちらがいい?プルーストの続きと、最近流行りの1984年と」
「プルーストがいいな、マドレーヌの匂い好きなやつだったし」
そう言うと男は確かに、と笑い水槽と揃いの美しい椅子に座って読み始めた。
正直聞いているうちに何がなんだか分からなくなる話なのだが、アーロンは男の低くて優しい声が好きなのだった。
しばらく読んでもらっていると、アーロンの口から大きなあくびが出だした。
「ふ、眠い?」
「んー、でもせっかく読んでくれてるのに勿体ない……」
すると男はアーロンのおでこにキスして言う。
「いつでも読んであげるから眠っていいよ、人魚姫。君が寝てる姿は綺麗だからね」
つくづく変な男だと思う。
アーロンとその男、ジェラルドの出会いはこうだった。
穏やかな海の水面から小さく覗く岩に座り、でたらめな音を鳴らしたり歌ったりしていると人間のボートが近づいてきた。その人間は遠くから見ても分かるほど白蝶貝のように虹色に輝いており、アーロンはつい見とれてしまった。するとその男はアーロンに話しかける。
「やあ、人魚さん」
彼ら人間に安っぽいオカルト的なものと思われている人魚の自分に、その男は快活に声をかけた。
「どうも」
「きれいな歌に誘われてここに来たんだ。とても優しい声だね」
そんな誰からも言われたいことのない、むしろ下手だと言われていた歌声を褒められてお世辞でも少しくすぐったくなった。
「驚かないの?君らの間じゃ人魚は悪く言われてるんだろ?」
「まあね、だけど君に一目惚れしたみたいだ。魂を分けてあげてもいいくらいに」
魂。それは人魚が一番欲しがるものだ。この男の纏う光、すなわち魂が欲しい。なぜならそれは人間のみが持ち、人魚には無いものだからである。それを手に入れる事はとてもとても素晴らしいことだ、そう古くから語られている。
「くれるの?死んじゃうかもしれないのに?」
そうすると男はにこにこしながら言う。
「だって君に分けてあげれば君は俺に恋してくれるから」
アーロンはそれを聞いて眉をひそめる。
「恋に?」
「君の瞳を見れば分かる。恋に落ちれば分かるよ」
困惑しているアーロンを余所に男は続ける。
「俺はジェラルド。ジェリーでいい。それで、君が俺に恋して欲しいから俺のそばで住んでもらいたいんだけどいいかな?」
「そうしたら魂分けてくれるの?」
「勿論。君が住めるように家を改装するから時間がかかるだろうけど、どうかな」
それでこの不思議な白く七色に光る男の魂が手に入るのならアーロンに嫌も何も無かった。そうして改造の終わった今まで見たことがないほど繊細で美しい水槽の部屋のある、家と言うよりは美しい小城に住むことになったのだった。
「狭くないか?」
「いや、落ち着かないくらい広いよ。ここにずっといたらいいの?」
「ああ、もう君を誰の目にも触れさせたくないんだ、愛しい君を」
まったくおかしな人間である。
そうこうしてアーロンはそこに住み、すっかり快適な水槽にすっかり馴染んで甘やかされて、彼が用意した水草の集まりを枕にして眠っていた。するとじゃぼんと大きな音が聞こえ、その原因であるジェラルドに引き上げられた。ぱちくりと水面でジェラルドを見つめ、問う。
「どうしたの?びっくりした!」
「君溺れてたじゃないか!俺は心臓が止まるかと思った……!」
それを聞いてアーロンはすっかり呆れてしまう。
「人魚が溺れるわけ無いだろ。確かに口呼吸もするけど水中でも呼吸できるんだ」
「すごいな……どこで息してるの?」
「耳の裏のとこ」
ジェラルドが好奇心に満ちた眼をしてそこをそっと手で包み撫でる。と。
「あ……」
「悪い、痛かった?」
「ちが、なんかへん……ンッ」
唇を合わされながら両手でそこを同時に撫でられると、なぜか下腹がズクリと疼く。
「は、ん……、なんか、変……」
「嫌……?」
ちゅ、と可愛らしい音を立ててジェラルドの唇口付けられる。思わず逞しい肩に添えていた手を伸ばし、二本の腕で彼の首を絡め取った。
「やじゃない……もっと」
そう言いジェラルドの下唇をそっと噛んだり、柔らかく合わせたりしてその行為を続けていると、ジェラルドの分厚く大きな舌が口の中に入ってくる。アーロンの舌に自分のを絡めて誘い出し、ゆっくりと吸い上げる。かと思うと耳の裏を何度も撫で、その舌はアーロンの口内に深く押し入って上顎をくすぐり、少しざらざらして、熱くて柔らかいそれが深くまで侵入する。気持ちが良すぎてアーロンはその海色に青いとろけた瞳でジェラルドの視線を絡めとると、恍惚としてしまう。
飲みきれなかった唾液を溢れさせるほど夢中になっていると突然全身が激しく痺れ、アーロンは高い声で喘いでしまった。
「ふぁッなに、これっあん!」
「は、アーロン、これは……?」
そう低く掠れた声でジェラルドは自分の太腿に当たったアーロンの美しい色の鱗に覆われた下腹から飛び出した桃色の突起を手で包み何度も擦り上げる。
「ひぁぁあああ!そぇ、ンッ、だめ、だめぇ、ふっ!ぁ、何、なんか、きちゃうかぁ、アン!ぁ、ふあぁぁッ!やああああああ!!」
「まさか……ペニス?気持ちいいの?」
アーロンは生唾を飲みながら止めてほしくて必死に頷くのに、ジェラルドは手を止めてくれない。それどころか桃色に染まったきついスリットの中まで指を入れ、何度も何度も上下に撫でる。
「アーロン、アーロン。綺麗だ……」
絶頂を迎え涙でうるんだアーロンの潤んだ瞳を見ながらジェラルドは甘い声で言う。そううっとりと見つめあっていると、突然ジェラルドは何かに気づき、慌てて言う。
「すまなかった、こういうことは君の同意をとってからでないといけなかったのに……」
その真摯な物言いにアーロンは思わず微笑んでしまう。
「いいんだ、……あの、条件が合えばこれで魂が手に入るんだ」
「へ?」
思わず間抜けな声が出てしまい、ジェラルドはそんなえっちな生き物がいるなんて……だとかなんとか呟いているのを華麗にスルーしてアーロンは薄紅色の貝殻でできたペンダントから緑色の小さい丸薬を取り出して一つは自分に、もう一つはジェラルドに飲ませる。
「もうその、あー……、挿れていい、よ」
こうしてから性行為を行い、人間の精を体内に出してもらえば人魚にも魂が宿ると昔から謂われているのだ。そう驚いているジェラルドに言い伝えどおり口付けては唾液を交換し、何度もそれを繰り返す。
「ん、ジェリー……。きみの、挿れて、はぁっ、ちょうだい……」
その子供のような、しかし淫靡な懇願を聞いて目の前が一瞬暗くなってジェラルドはくらくらと目が回ってしまう。
再び交互にお互いの咥内で舌を絡めあい、吸い上げ、とろりと唾液が零れる。そうしている間にもジェラルドは水槽のガラスを掴み、逞しい腕でアーロンを閉じ込める。そしてふっくらと盛り上がったスリットに立派なペニスを擦りつけ、アーロンを追い詰める。
焦らされて泣き出しそうなアーロンに啄むようなキスで懇願され、ジェラルドのその立派なものを捩じ込んだ。その強烈な甘い衝撃と、アーロンが初めて感じたざりざりとした下生えの感覚に身悶えする。
それはジェラルドも同じでアーロンの狭隘は人ではありえないほどすべらかで、もっと味わいたいがそれにぎゅうと愛されるたびに強烈に射精を促される。
「はぁっ、アーロン、ダメだ、君の中、ァあっ、たまらない……っ」
「やあ、なにっ、すごい……!ァあっ!気持ちいいよぉ……ッ、じぇりっ、アアあァ!あ、あ、あ、あ、っ!ひっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んぅ、はァっ!そぇ、もっとして、じぇりぃ……!ひぁああッ!!」
ついに涙を流しながら快楽で満たされたアーロンと同じところへ登ろうと、ジェラルドは水槽から水が溢れるほど激しく腰を打ち付ける。その荒い吐息がどうしようもなく感じて、アーロンは喘ぐしかない。
「ひぁッ、アぅ、ジェリー、もぉ、やァッ、駄目ッだめになる、なっちゃうっ!しんじゃう、しんじゃ、アッ!」
「ゥ、は!ん、んッ、ふっ、はッ、ぁあ、俺も……!!」
「ひぁ、ン、深いぃ……ン!じぇり、じぇりの中、だして、おなか、いっぱいにして……ッ」
潤んだ瞳でねだられ、ぐるる、とジェラルドは獣のように唸ると抽送を更に早める。そしてアーロンの舌を自らので絡めとり、同時にスリットから白濁が零れるほどの絶頂を迎えた。
過ぎる快感に導かれ射精して、アーロンはぐったりと抱きしめたジェラルドの肩に頭を預ける。しばらく二人で荒く息をついていると、アーロンの尾ひれの先から空色にきらめく鱗の色が変わってゆき、徐々に淡い光を纏いだしたのに気付いた。。
「わ……、君の光とおんなじ色だ。ほんとだったんだ!成功した、成功したよジェリー!」
元気になって抱きついてきたアーロンにジェラルドは嬉しそうに笑って、顔中にやさしいキスを降らせ、子供のような笑顔のアーロンを抱きしめる。
「うぁ、や、あ、何、いた、ぃ……!」
「アーロン?苦しいのか?アーロン、アーニー、大丈夫か!?」
「ぅ……はあッ。しんぞう、おかしい……、ああ、君、綺麗だな……」
真珠色の光で薄ぼんやりとしか見えなかったジェラルドがはっきりと見え、その自分を見つめる優しい瞳は愛おしそうに少し細められていて、アーロンの胸のあたりが激しく波打つ。
ジェラルドはアーロンに濃厚な口付けをして、低く甘い声で言う。
「ダーリン、愛してるよ」
「僕も……」
そううっとりと答えながらこれ以上好きになったらどうしよう?本当に死んでしまうかもしれない、そうアーロンは本気で思ってしまったのだった。
セトたゃをひたすら甘やかしたかった自分設定てんこ盛りのセトアロ。
あろえおねえさんはシュウと言う名の大気の神で、セトと同じ9柱神であるという設定です。産卵ありだよ!
────────────────
今日も美しい太陽の船はきらめく原初の海を切り開きその役目を果たしている。そこにいる二人の神は今日もいちゃついている。
「こーら。アポピスが来る時間だろ。仕事しなきゃ」
そう言ってシュウはむくれて突き出されたセトの唇をぷにっとつまむ。
「終わったらご褒美あげるよ」
「ずるいぞ」
そう言ってセトは噛み付くようなキスをして天敵を倒しに向かった。その勇壮な闘いぶりはそれはもう人間が見ていれば千年は語り継がれるようなものだったが、今はシュウのみが見守っているだけであった。ただ、シュウはそれでいいと思っている。愛するセトを迫害したもの達など、どうでもよかった。セトを幸せにできるのは彼を心から愛する自分だけだと知っていた。
「おかえり」
彼の甘えるような口づけに笑ってしまう。
「ん、ふふ、お利口な犬は好きだよ」
そういって顔中にキスしてやると、眉をあげてセトは複雑そうな顔をする。
「この俺を犬などと言うのはお前だけだ」
「好きなくせに」
「ああ、燃えるね」
そう言ってセトに笑いながらキスをする。こんな日が彼に訪れるとは誰が想像しただろう?太陽の船の守護者であり、光る大気とも呼ばれるシュウは常にセトの事を気にかけていた。それは穏やかな空気を司る大気の神である自分と対になる砂漠の嵐をセトが司る神だからかもしれなかったし、ただ彼に恋をしていたからかもしれなかった。
ともかくセトが謀反を起こし失敗し、囚われの身となっていた彼を老いて役目を果たせなくなったラーの替わりに立てることを言い出したのは、シュウだった。当然他の神々は反対したが、では誰がアポピスを退けられるのか、といえばセト以外にいなかった。シュウは自分がセトを見張るから、そう周りを言い含めてセトと二人で太陽の船を運行することとなったのだった。
「あ、だめ、そこは、んッ、ひ、ん!」
声をあげて身を捩るシュウに笑いながらセトはいたずらにその可憐な桃色の乳首に歯を立て、かと思えば舌先で擽り続ける。そして膝に乗せたシュウのペニスを擦り上げ、薄く輝く先走りを指で絡め取る。その全てにシュウは悶え、セトの頭をかき抱く。
「ん……ぁは、きみも勃ってる……」
「当たり前だ、お前にそんな風に悦がられたらどんな神だって理性を無くす」
「ふふ、きみも……?うれしいな、ん、」
そう言ってセトの男らしい分厚い胸を愛しげに撫で、深い口付けを受け入れる。ぎらぎらとして燃えるセトの瞳は明らかに捕食者のそれで、シュウはそれに煽られる。
「いい子にしてたんだ、褒美はあるんだろうな」
最高の武神らしくない可愛らしい物言いにシュウは笑みを深くしてセトに跨る。
「どうしてほしい?私のお利口さん」
そう艶やかに笑うシュウをセトは甘え唸りながら抱きしめ、細い金鎖の音を立てながら薄布を剥いでいく。
「お前はいつも美しい」
セトはため息をつくように言ってシュウの白磁のような腹に獣の子供がするように、何度も頭を擦り付け、上目遣いで言う。
「俺も脱がしてくれ、愛しい人」
その言葉にシュウは目の前がチカチカするほどの法悦を感じる。最初にこの船で顔を合わせ、彼の運命を告げた時、セトが激高しシュウに無体を働いたのがはるか遠い昔に思える。そんな目にあわされてからもシュウは幾度となくきみを愛してる、と言葉を紡ぎ身体を重ね、得られなかった愛を怯えるセトに届くように、彼を愛で包むように告げ続けた日々が懐かしい。
ガチャガチャと音を立てセトの武具を脱がし、下履きまで取り去る。戦の後のこの濃いセトの匂いがシュウは好きだった。思う存分味わって猛り勃つセト自身を興奮で唾液の溜まった口を大きく開けて迎える。
「……ん、む、ぅン、はぁっ……んん」
それを咥えたまま何度かじゅぷじゅぶと淫らな音を立てながら頭を前後させ、陰嚢に優しく口付け刺激しながらセトのペニスを完全に勃たせると、褒めるようにキスを繰り返してやる。そうしてから堅く立派に育ったセトのペニスに興奮で浮き出た血管の全てを愛しげに舐めあげ、喉の奥まで受け入れ、締め付ける。そうすると先端からびく、びくと先走りを溢す。そしてずっしりとしたセトの固くなった睾丸を優しく喰む。自分が与える刺激その全てに反応するセトが可愛くてしかたがなかった。
「ッふ、はっ、上手くなったものだな」
「ん……、ぅん、ん……あッ」
びゅく、びゅくッとセトの精液をまともに顔に受け、端正なシュウの顔を銀色に汚し輝くそれをセトはべろりと舐め取っていく。そしてあらかた綺麗にした後、シュウに口付け自らの精液と唾液の混ざったを飲ませる。それをシュウは嬉しそうにそれを舌で絡め取り、嚥下していく。
「光る大気が、こうも淫らだとは他の神々や信者たちも思うまいな」
そうシュウの金糸の前髪をかき上げ意地悪く笑って言うセトに、シュウは官能で潤んだ瞳で微笑み言う。
「ン……、きみだけが」
そう言いセトに口付け、続ける。
「知ってるって、ふふ、興奮する……。違う?」
それを聞いたセトは脂下がった顔で笑い、シュウを後ろから抱えるように膝に乗せた。そうして脚を広げさせ性行為を幾度も繰り返し、性器と化したシュウの秘部に後ろから手を伸ばしその慎ましい孔の皺を何度も撫で広げ、太い指を侵入させる。
「んぅ、セト、……っは、せと、ーー早く、はやくきみがほしいな」
「俺が唯一傷つけたくない相手に、そんな事は出来ないな」
そのセトの愛の言葉にシュウは目眩をおこすほど興奮し、セトの指が解そうとしている自らのアヌスに自らの美しい指を挿し入れ共にかき回す。そこは愛しい男を迎えようとすでに柔らかくとろけだしている。
「ぁあ、セト、セト、愛してるよ、あいしてる……」
その言葉を聞いてセトは唸りながら二人の指を引き出し、充分に解れたシュウの後孔をペニスで深く穿った。
「はぁううっ! ひぁ、あぁああっ!セト、せとぉ、んッ、んぁああああ!!!!……ぁ、あぁ……!!」
「うっ! ……くッ!」
そう唸るとセトは己の剛直がシュウの体内で馴染むまで骨の浮かんだ肩を柔く噛み、無骨な指で腸骨を撫でくすぐる。そうするとシュウはもう堪らないとばかりに嬌声をあげる。
「んう、ん、はぁっ、動いて、セトぉ!すき、すき、だ、セト、ッ、んぅッ!ぁあ……ッ、」
それを聞いてセトはどこかふっきれたような顔で自分の方に向けさせたシュウを見つめ、短いキスをした。そして囁く。
「いつもこの時を待ってる」
この幸福な時間を待っていたのはシュウもだ。セトを自分のものに、自分をセトのものにできるなんて!!その告白を聞いてシュウの媚肉が愛しいセトの立派な肉傘を味わうように収斂すると、セトは大きく腰を回しさらに奥へと侵入する。
「ふッ、ふ、ん!……シュウ、シュウ、出すぞ!」
「うん、うん……!注いで、きみの物だってッ、……んっ、ぅ、あッ!……ひぁあアッ!んぅ、熱いぃぃぃ……ッ」
「は、シュウ……!」
どくどくと胎内にセトの熱く長い脈動を感じ、シュウも震えて絶頂に達する。愛する者がの身体を彩る金の繊細な細工の首輪から何本も細い金鎖が流れ前面でも後ろでも交差し、また美しい首輪に繋がる金鎖はセトの所有の証であり、それを受け入れたシュウとのお互いの愛の証であった。長い孤独に苦しみ熱砂ばかり見ていたセトの目にはそれを身に纏い、快楽に身を捩る白い身体はあまりにも美しかった。
「ヒぁあぁぁッ!!」
いきなり身体を反転させられ、過ぎる快感がシュウを襲う。抜けかけたセトのもので再び深く穿たれ、シュウは嬌声をあげて紅い顔で恨みがましげにセトを睨む。しかし頬を男らしい指の背で撫られ、愛おしそうに見つめられてはシュウに勝ち目はない。異国の海のような青翠色の瞳を見つめながら口付け、セトの豊かな巻き毛をかき乱す。舌を絡ませ唾液が銀糸をひく様な深い口付けに甘い絶頂を迎えながら夢中になっていると、セトの手が赤く染まったシュウの乳輪を優しくさする。
「ぁあ……セト…………」
腹の奥の強烈な快感に苛まれながらシュウがセトの男らしい首を甘噛すると、セトは小さく笑う。この男が急所を預けるのは自分だけだというその事実に、優越感に、震えがくるほど感じて媚肉の最奥でセトの欲望をどうしようもなく何度も締めつけてしまう。
「セト、あぁ、もっと欲しいよ、きみが……」
「もちろんだ、愛するお前の望むままに」
そうして二人は銀糸をひくような音を立て、深い口付けに酔う。
「んぅ!あ、ンっ……!あ、……ふ、アァっ……ん!はぁ!」
ゆっくりといやらしくに抜き差しされ、シュウは堪らず身を捩った。そうするとセトの熱い塊を包む蜜壺も激しくさざめき、セトは艶のある吐息をつく。
「ああ……最高だ……シュウ、シュウ……」
そう言ってシュウの鎖骨の窪んだ影に何度も口付け、深く深くその立派な雄を抜き差しする。セトは絶頂を迎えようとするとシュウの名前を何度も呼び、余裕なく眉を潜める。その男らしく美しい切羽詰まった顔と名を呼ぶ声、甘い吐息はシュウをあまりにも興奮させ、愛しさがこみ上げるのだ。
「ふ、ふぁア!や、んァアああぁーーーッ!!!!」
射精を伴わない絶頂に震えるシュウにますますセトは煽られる。そして何度も続く絶頂を迎え官能に身を任せているシュウをベッドに横たえ、
セトのいたずらな指が勃ち上がっだシュウの愛され慣れた乳首を意地悪く潰すように押し、シュウは思わず嬌声をあげる。その甘い響きにセトは片頬を上げ、深く深く口付ける。シュウの豊かなナイルを湛えて潤む瞳を見つめながらそうするのは、いつもセトの心に炎を燃やさせる。
「きみの獣みたいな眼が好きだ……セト、愛しいきみ、きみの愛をもっと私に注ぎ込んで……」
そう言ってシュウはいつもの青い睡蓮のような清らかさを残しながらもセトを愛し癒やすために羞恥でにじむ瞳をして片足を抱き上げる。その興奮で染まった桃色と秘部を彩る二人の銀色に舌なめずりをしてセトは柔らかなその内側に甘噛を繰り返す。そうして薄く残った歯型に舌を這わせる度にびくりびくりとシュウの足が震えぎゅうと指先をまるめる。そしてセトはシュウの色めいた吐息に煽られ、堅く張りつめた己の性器をゆっくりとシュウに突き挿れる。
「ん、はぁ……あぁ……、セト、せと……」
幾度となく身体を重ねたとは言え、身体を割開かれ内臓を押し上げられるのは苦しい。しかしシュウはその先にある愉悦を教えられてしまった。先にたっぷりと注がれたセトの精液がゆっくりと抜き差しされる度ぐちゅ、こぷ、と卑猥な音を立てる秘部が恥ずかしく、小さく声を漏らしてシュウは涙を流す。その美しい珠を長い舌でセトはすくい取り、口付ける。そうしてからシュウの身体を彩る金鎖をもて遊ぶ。
「ああ、シュウ……」
そう囁いてセトは深く口付け、月光に輝く砂色の美しく結われたシュウの髪を乱す。その優しい手つきと裏腹に激しく突く動きにシュウは翻弄され、どうしようもなくセトの雄を情熱的に媚肉で誘ってしまう。まるで自分が本当に淫らであるように思え、美しい顔を真っ赤に染めてしまい、その顔を見られたくなく無くてぎゅうとセトを抱きしめる。するとセトに耳を、首筋を舐められどうしようもなく喘いでしまう。
「ゃあ……、んあ、はあぁ……!ひッゃんぁ、ぅあああああッ!!!!!」
シュウがそれに気を取られていると、突然にセトの剛直に犯され圧倒的な快感に叫ぶ。しばらくその熱い塊を堪能して与えられる官能に涙を流すシュウに可愛らしいリップ音を立てセトがキスを繰り返す。それがどうにも愛しくて嬉しくてシュウは限界まで広げた足でセトを抱きしめその腰を自分の方へと白い足できつく絡めとり、腸管の奥の奥まで迎える。最高潮に近いセトの精液を一滴も胎内から漏らしたくなかった。
「シュウ、シュウ……そんなにしたら、俺はお前を、は、おまえを壊してしまいそうだ」
「ふ、はぁっ……ふふ、だいじょうぶ、だよ。こう、見えて、はぁっ、けっこう、ん、頑丈なんだ……」
「いくぞ」
そう低い声で宣言してセトは目を情欲で緑色に光らせ、全体重を掛けるようにシュウを何度も何度も穿つ。そして限界を迎え、シュウの腹の中を熱い奔流で満たしそれをシュウの肉壁に塗り込める様にペニスを前後させる。
「ふぁっ、あッア!ああぁああッ!!ンンンンっやぁ、イッて、イッてるから、ンぁ!ああ!ひぁああああ……!!!」
呆然としている愛しい男が自ら放った銀色で白い体躯を美しく飾る刺青を描くようにセトは指で塗り広げていく。悪戯に身体を這い回る指さえもシュウに快楽を与えてくる。
「きみは、ふふ、いつもそうするね。ほんとうに刺れようか?」
「なにを馬鹿なことを。俺の楽しみを奪わないでくれ」
「冗談だよ、ァ!」
そうして満足ゆくまで身体を重ねた二人はいつもよりたっぷりと遅く目覚めた。するとシュウが青い顔をして腹を守るようにうずくまる、セトは慌てて問う。
「どうした?大丈夫か」
シュウは小さく呻く。
「ん、なんか、おかしい……なにかある、みたい」
神々は排泄などしないので、このような事が男神に起こるのは極めて珍しかった。そのため二人は軽くパニックに陥っていると、シュウが悲鳴をあげた。そして。
「卵……?」
シュウの腹から出てきたのは、晴天を集めたような美しい卵だった。二人が首を傾げていると、金のきらめきを舞いあげハトホルと大荷物が現れた。
「お久しぶり、お二人さん」
「ハトホル、これは……?」
ふふ、と愛の女神はいつもと違っていたずら少女の様に笑って言う。
「それはね!シュウがうまくセトの手綱を引いて平和を守ってるから、ラー様からのご褒美。おめでとう、シュウ。それからセト。あなたたちの赤ちゃんよ」
何も分からぬままとりあえず手で温めていたこの卵が赤ん坊を包んでいる。信じられない気持ちでいるシュウとセトに構わずハトホルは畳み掛ける。
「これはぜーんぶ神々からの出産祝い。あのホルスまでくれたのよ。おっと……私はお邪魔ね」
シュウがセトを見やると、普段の剛毅さは何処へやら、今にも泣き出さんばかりだった。
「じゃ、またね。分からない事があったら聞いて、シュウ。まあ子どもの事はベスに聞いた方がいいかもだけど」
「ありがとうハトホル、とても嬉しいよ」
ひらひらと手を振ると来た時のように輝いてハトホルは帰って行った。シュウは微笑んで伴侶の前に立つ。
「赤ちゃんだって」
セトは頷く。
「君と私で、大事に育てようね」
セトは卵が割れないようにそっと抱きしめたシュウの肩に顔を埋め頷いた。
そしてそのまま二人は報われなかったセトの今までと、これからの幸福を思って泣いた。とても穏やかな涙だった。
「どんな子が生まれるかな」
「……お前に似た優しい子だといい」
「楽みだね」
「ああ」
そうして二人は額をくっつけ合って笑った。
あろえおねえさんはシュウと言う名の大気の神で、セトと同じ9柱神であるという設定です。産卵ありだよ!
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今日も美しい太陽の船はきらめく原初の海を切り開きその役目を果たしている。そこにいる二人の神は今日もいちゃついている。
「こーら。アポピスが来る時間だろ。仕事しなきゃ」
そう言ってシュウはむくれて突き出されたセトの唇をぷにっとつまむ。
「終わったらご褒美あげるよ」
「ずるいぞ」
そう言ってセトは噛み付くようなキスをして天敵を倒しに向かった。その勇壮な闘いぶりはそれはもう人間が見ていれば千年は語り継がれるようなものだったが、今はシュウのみが見守っているだけであった。ただ、シュウはそれでいいと思っている。愛するセトを迫害したもの達など、どうでもよかった。セトを幸せにできるのは彼を心から愛する自分だけだと知っていた。
「おかえり」
彼の甘えるような口づけに笑ってしまう。
「ん、ふふ、お利口な犬は好きだよ」
そういって顔中にキスしてやると、眉をあげてセトは複雑そうな顔をする。
「この俺を犬などと言うのはお前だけだ」
「好きなくせに」
「ああ、燃えるね」
そう言ってセトに笑いながらキスをする。こんな日が彼に訪れるとは誰が想像しただろう?太陽の船の守護者であり、光る大気とも呼ばれるシュウは常にセトの事を気にかけていた。それは穏やかな空気を司る大気の神である自分と対になる砂漠の嵐をセトが司る神だからかもしれなかったし、ただ彼に恋をしていたからかもしれなかった。
ともかくセトが謀反を起こし失敗し、囚われの身となっていた彼を老いて役目を果たせなくなったラーの替わりに立てることを言い出したのは、シュウだった。当然他の神々は反対したが、では誰がアポピスを退けられるのか、といえばセト以外にいなかった。シュウは自分がセトを見張るから、そう周りを言い含めてセトと二人で太陽の船を運行することとなったのだった。
「あ、だめ、そこは、んッ、ひ、ん!」
声をあげて身を捩るシュウに笑いながらセトはいたずらにその可憐な桃色の乳首に歯を立て、かと思えば舌先で擽り続ける。そして膝に乗せたシュウのペニスを擦り上げ、薄く輝く先走りを指で絡め取る。その全てにシュウは悶え、セトの頭をかき抱く。
「ん……ぁは、きみも勃ってる……」
「当たり前だ、お前にそんな風に悦がられたらどんな神だって理性を無くす」
「ふふ、きみも……?うれしいな、ん、」
そう言ってセトの男らしい分厚い胸を愛しげに撫で、深い口付けを受け入れる。ぎらぎらとして燃えるセトの瞳は明らかに捕食者のそれで、シュウはそれに煽られる。
「いい子にしてたんだ、褒美はあるんだろうな」
最高の武神らしくない可愛らしい物言いにシュウは笑みを深くしてセトに跨る。
「どうしてほしい?私のお利口さん」
そう艶やかに笑うシュウをセトは甘え唸りながら抱きしめ、細い金鎖の音を立てながら薄布を剥いでいく。
「お前はいつも美しい」
セトはため息をつくように言ってシュウの白磁のような腹に獣の子供がするように、何度も頭を擦り付け、上目遣いで言う。
「俺も脱がしてくれ、愛しい人」
その言葉にシュウは目の前がチカチカするほどの法悦を感じる。最初にこの船で顔を合わせ、彼の運命を告げた時、セトが激高しシュウに無体を働いたのがはるか遠い昔に思える。そんな目にあわされてからもシュウは幾度となくきみを愛してる、と言葉を紡ぎ身体を重ね、得られなかった愛を怯えるセトに届くように、彼を愛で包むように告げ続けた日々が懐かしい。
ガチャガチャと音を立てセトの武具を脱がし、下履きまで取り去る。戦の後のこの濃いセトの匂いがシュウは好きだった。思う存分味わって猛り勃つセト自身を興奮で唾液の溜まった口を大きく開けて迎える。
「……ん、む、ぅン、はぁっ……んん」
それを咥えたまま何度かじゅぷじゅぶと淫らな音を立てながら頭を前後させ、陰嚢に優しく口付け刺激しながらセトのペニスを完全に勃たせると、褒めるようにキスを繰り返してやる。そうしてから堅く立派に育ったセトのペニスに興奮で浮き出た血管の全てを愛しげに舐めあげ、喉の奥まで受け入れ、締め付ける。そうすると先端からびく、びくと先走りを溢す。そしてずっしりとしたセトの固くなった睾丸を優しく喰む。自分が与える刺激その全てに反応するセトが可愛くてしかたがなかった。
「ッふ、はっ、上手くなったものだな」
「ん……、ぅん、ん……あッ」
びゅく、びゅくッとセトの精液をまともに顔に受け、端正なシュウの顔を銀色に汚し輝くそれをセトはべろりと舐め取っていく。そしてあらかた綺麗にした後、シュウに口付け自らの精液と唾液の混ざったを飲ませる。それをシュウは嬉しそうにそれを舌で絡め取り、嚥下していく。
「光る大気が、こうも淫らだとは他の神々や信者たちも思うまいな」
そうシュウの金糸の前髪をかき上げ意地悪く笑って言うセトに、シュウは官能で潤んだ瞳で微笑み言う。
「ン……、きみだけが」
そう言いセトに口付け、続ける。
「知ってるって、ふふ、興奮する……。違う?」
それを聞いたセトは脂下がった顔で笑い、シュウを後ろから抱えるように膝に乗せた。そうして脚を広げさせ性行為を幾度も繰り返し、性器と化したシュウの秘部に後ろから手を伸ばしその慎ましい孔の皺を何度も撫で広げ、太い指を侵入させる。
「んぅ、セト、……っは、せと、ーー早く、はやくきみがほしいな」
「俺が唯一傷つけたくない相手に、そんな事は出来ないな」
そのセトの愛の言葉にシュウは目眩をおこすほど興奮し、セトの指が解そうとしている自らのアヌスに自らの美しい指を挿し入れ共にかき回す。そこは愛しい男を迎えようとすでに柔らかくとろけだしている。
「ぁあ、セト、セト、愛してるよ、あいしてる……」
その言葉を聞いてセトは唸りながら二人の指を引き出し、充分に解れたシュウの後孔をペニスで深く穿った。
「はぁううっ! ひぁ、あぁああっ!セト、せとぉ、んッ、んぁああああ!!!!……ぁ、あぁ……!!」
「うっ! ……くッ!」
そう唸るとセトは己の剛直がシュウの体内で馴染むまで骨の浮かんだ肩を柔く噛み、無骨な指で腸骨を撫でくすぐる。そうするとシュウはもう堪らないとばかりに嬌声をあげる。
「んう、ん、はぁっ、動いて、セトぉ!すき、すき、だ、セト、ッ、んぅッ!ぁあ……ッ、」
それを聞いてセトはどこかふっきれたような顔で自分の方に向けさせたシュウを見つめ、短いキスをした。そして囁く。
「いつもこの時を待ってる」
この幸福な時間を待っていたのはシュウもだ。セトを自分のものに、自分をセトのものにできるなんて!!その告白を聞いてシュウの媚肉が愛しいセトの立派な肉傘を味わうように収斂すると、セトは大きく腰を回しさらに奥へと侵入する。
「ふッ、ふ、ん!……シュウ、シュウ、出すぞ!」
「うん、うん……!注いで、きみの物だってッ、……んっ、ぅ、あッ!……ひぁあアッ!んぅ、熱いぃぃぃ……ッ」
「は、シュウ……!」
どくどくと胎内にセトの熱く長い脈動を感じ、シュウも震えて絶頂に達する。愛する者がの身体を彩る金の繊細な細工の首輪から何本も細い金鎖が流れ前面でも後ろでも交差し、また美しい首輪に繋がる金鎖はセトの所有の証であり、それを受け入れたシュウとのお互いの愛の証であった。長い孤独に苦しみ熱砂ばかり見ていたセトの目にはそれを身に纏い、快楽に身を捩る白い身体はあまりにも美しかった。
「ヒぁあぁぁッ!!」
いきなり身体を反転させられ、過ぎる快感がシュウを襲う。抜けかけたセトのもので再び深く穿たれ、シュウは嬌声をあげて紅い顔で恨みがましげにセトを睨む。しかし頬を男らしい指の背で撫られ、愛おしそうに見つめられてはシュウに勝ち目はない。異国の海のような青翠色の瞳を見つめながら口付け、セトの豊かな巻き毛をかき乱す。舌を絡ませ唾液が銀糸をひく様な深い口付けに甘い絶頂を迎えながら夢中になっていると、セトの手が赤く染まったシュウの乳輪を優しくさする。
「ぁあ……セト…………」
腹の奥の強烈な快感に苛まれながらシュウがセトの男らしい首を甘噛すると、セトは小さく笑う。この男が急所を預けるのは自分だけだというその事実に、優越感に、震えがくるほど感じて媚肉の最奥でセトの欲望をどうしようもなく何度も締めつけてしまう。
「セト、あぁ、もっと欲しいよ、きみが……」
「もちろんだ、愛するお前の望むままに」
そうして二人は銀糸をひくような音を立て、深い口付けに酔う。
「んぅ!あ、ンっ……!あ、……ふ、アァっ……ん!はぁ!」
ゆっくりといやらしくに抜き差しされ、シュウは堪らず身を捩った。そうするとセトの熱い塊を包む蜜壺も激しくさざめき、セトは艶のある吐息をつく。
「ああ……最高だ……シュウ、シュウ……」
そう言ってシュウの鎖骨の窪んだ影に何度も口付け、深く深くその立派な雄を抜き差しする。セトは絶頂を迎えようとするとシュウの名前を何度も呼び、余裕なく眉を潜める。その男らしく美しい切羽詰まった顔と名を呼ぶ声、甘い吐息はシュウをあまりにも興奮させ、愛しさがこみ上げるのだ。
「ふ、ふぁア!や、んァアああぁーーーッ!!!!」
射精を伴わない絶頂に震えるシュウにますますセトは煽られる。そして何度も続く絶頂を迎え官能に身を任せているシュウをベッドに横たえ、
セトのいたずらな指が勃ち上がっだシュウの愛され慣れた乳首を意地悪く潰すように押し、シュウは思わず嬌声をあげる。その甘い響きにセトは片頬を上げ、深く深く口付ける。シュウの豊かなナイルを湛えて潤む瞳を見つめながらそうするのは、いつもセトの心に炎を燃やさせる。
「きみの獣みたいな眼が好きだ……セト、愛しいきみ、きみの愛をもっと私に注ぎ込んで……」
そう言ってシュウはいつもの青い睡蓮のような清らかさを残しながらもセトを愛し癒やすために羞恥でにじむ瞳をして片足を抱き上げる。その興奮で染まった桃色と秘部を彩る二人の銀色に舌なめずりをしてセトは柔らかなその内側に甘噛を繰り返す。そうして薄く残った歯型に舌を這わせる度にびくりびくりとシュウの足が震えぎゅうと指先をまるめる。そしてセトはシュウの色めいた吐息に煽られ、堅く張りつめた己の性器をゆっくりとシュウに突き挿れる。
「ん、はぁ……あぁ……、セト、せと……」
幾度となく身体を重ねたとは言え、身体を割開かれ内臓を押し上げられるのは苦しい。しかしシュウはその先にある愉悦を教えられてしまった。先にたっぷりと注がれたセトの精液がゆっくりと抜き差しされる度ぐちゅ、こぷ、と卑猥な音を立てる秘部が恥ずかしく、小さく声を漏らしてシュウは涙を流す。その美しい珠を長い舌でセトはすくい取り、口付ける。そうしてからシュウの身体を彩る金鎖をもて遊ぶ。
「ああ、シュウ……」
そう囁いてセトは深く口付け、月光に輝く砂色の美しく結われたシュウの髪を乱す。その優しい手つきと裏腹に激しく突く動きにシュウは翻弄され、どうしようもなくセトの雄を情熱的に媚肉で誘ってしまう。まるで自分が本当に淫らであるように思え、美しい顔を真っ赤に染めてしまい、その顔を見られたくなく無くてぎゅうとセトを抱きしめる。するとセトに耳を、首筋を舐められどうしようもなく喘いでしまう。
「ゃあ……、んあ、はあぁ……!ひッゃんぁ、ぅあああああッ!!!!!」
シュウがそれに気を取られていると、突然にセトの剛直に犯され圧倒的な快感に叫ぶ。しばらくその熱い塊を堪能して与えられる官能に涙を流すシュウに可愛らしいリップ音を立てセトがキスを繰り返す。それがどうにも愛しくて嬉しくてシュウは限界まで広げた足でセトを抱きしめその腰を自分の方へと白い足できつく絡めとり、腸管の奥の奥まで迎える。最高潮に近いセトの精液を一滴も胎内から漏らしたくなかった。
「シュウ、シュウ……そんなにしたら、俺はお前を、は、おまえを壊してしまいそうだ」
「ふ、はぁっ……ふふ、だいじょうぶ、だよ。こう、見えて、はぁっ、けっこう、ん、頑丈なんだ……」
「いくぞ」
そう低い声で宣言してセトは目を情欲で緑色に光らせ、全体重を掛けるようにシュウを何度も何度も穿つ。そして限界を迎え、シュウの腹の中を熱い奔流で満たしそれをシュウの肉壁に塗り込める様にペニスを前後させる。
「ふぁっ、あッア!ああぁああッ!!ンンンンっやぁ、イッて、イッてるから、ンぁ!ああ!ひぁああああ……!!!」
呆然としている愛しい男が自ら放った銀色で白い体躯を美しく飾る刺青を描くようにセトは指で塗り広げていく。悪戯に身体を這い回る指さえもシュウに快楽を与えてくる。
「きみは、ふふ、いつもそうするね。ほんとうに刺れようか?」
「なにを馬鹿なことを。俺の楽しみを奪わないでくれ」
「冗談だよ、ァ!」
そうして満足ゆくまで身体を重ねた二人はいつもよりたっぷりと遅く目覚めた。するとシュウが青い顔をして腹を守るようにうずくまる、セトは慌てて問う。
「どうした?大丈夫か」
シュウは小さく呻く。
「ん、なんか、おかしい……なにかある、みたい」
神々は排泄などしないので、このような事が男神に起こるのは極めて珍しかった。そのため二人は軽くパニックに陥っていると、シュウが悲鳴をあげた。そして。
「卵……?」
シュウの腹から出てきたのは、晴天を集めたような美しい卵だった。二人が首を傾げていると、金のきらめきを舞いあげハトホルと大荷物が現れた。
「お久しぶり、お二人さん」
「ハトホル、これは……?」
ふふ、と愛の女神はいつもと違っていたずら少女の様に笑って言う。
「それはね!シュウがうまくセトの手綱を引いて平和を守ってるから、ラー様からのご褒美。おめでとう、シュウ。それからセト。あなたたちの赤ちゃんよ」
何も分からぬままとりあえず手で温めていたこの卵が赤ん坊を包んでいる。信じられない気持ちでいるシュウとセトに構わずハトホルは畳み掛ける。
「これはぜーんぶ神々からの出産祝い。あのホルスまでくれたのよ。おっと……私はお邪魔ね」
シュウがセトを見やると、普段の剛毅さは何処へやら、今にも泣き出さんばかりだった。
「じゃ、またね。分からない事があったら聞いて、シュウ。まあ子どもの事はベスに聞いた方がいいかもだけど」
「ありがとうハトホル、とても嬉しいよ」
ひらひらと手を振ると来た時のように輝いてハトホルは帰って行った。シュウは微笑んで伴侶の前に立つ。
「赤ちゃんだって」
セトは頷く。
「君と私で、大事に育てようね」
セトは卵が割れないようにそっと抱きしめたシュウの肩に顔を埋め頷いた。
そしてそのまま二人は報われなかったセトの今までと、これからの幸福を思って泣いた。とても穏やかな涙だった。
「どんな子が生まれるかな」
「……お前に似た優しい子だといい」
「楽みだね」
「ああ」
そうして二人は額をくっつけ合って笑った。
リクのじぇりあろおねショタえっち……になってるかな?
ジェリーCEO×アーロンカフェ店長の話。
−−−−−−−−−−−−−−
「ジェニファー、ティムはどうした?」
「車に凍ったリスがぶつかったから遅刻するって」
「はぁ?」
「冗談、子供さんが病気だから病院寄ってから出勤でジュリアは産休、ジョーイは用事で社外に。だから新入りくんを使って。いい子よ?ロバート!こっちに」
Bloody hell, そうよろしくない言葉で小さく悪態をつくとジェリーはにこやかに振り向くと目を輝かせた新人と握手をした。
「よろしくな、ロバート」
「はい!社長、よろしくお願いします!」
緊張感しているのか興奮しているのか妙に元気いっぱいな様子にジェリーは苦笑する。
「社長、コーヒーをどうぞ!」
「ああ、ありがとう」
一口飲んで吹き出しそうになった。砂糖はおそらく3つで甘すぎ、牛乳はノンファットで味気がない。ジェリーが好むのはエクストラショット、低脂肪ミルクのカプチーノだ。しかも隣のチェーン店のやつだ。
「ロバート、ジェニファーと今日の予定を再確認しててくれ」
「あ、ハイ!」
もうやったんだけどな、ロバートはそういう顔をしているが無視して急いでエレベーターに乗った。早くいつものコーヒーが飲みたい。一口飲んだだけのコーヒーはすれ違いざまの誰かに押し付けた。
社の隣にあるコーヒーショップに何年かぶりに入ると、レジにいる店員に目を惹かれた。いや、正確に言うと目を奪われた。そこだけ雲が割れ天上の光が差し込んだかのように輝いていたのだ。その麗しの君はジェリーに微笑みかけ、柔らかな声で言った。
「いらっしゃいませ」
教会のカリヨンが祝福の音を響かせたようだった。ジェリーはあまりの衝撃でふらつきながら彼のレジへと吸い寄せられた。
「あー……、ええっと、グランデでショット追加のカプチーノ、2%ミルクで」
「ありがとうございます、お名前は?」
「ジェリーだ」
「OK、ジェリー。4.55ドルです」
「ああ、カードで」
「こちらに」
そう差し出された機械に差し込むべくカードケースから一枚抜き出す。
「わ」
「 何か?」
天使のような愛らしく小さい声を漏らした彼、ーー名札によればアーロン(なんと美しい名前!)ーーに尋ねると、彼は恥ずかしそうに笑って言う。
「いえ、あの、ブラックカードを見るのは初めてで……。すみません」
そう非礼を詫びると、アーロンは頬を少し染めはにかんだ。
かわいい。はちゃめちゃにかわいい。
自分と同年代の男に抱く感情ではないような気もするが、とにかくアーロンは少なくともジェリーの目にはかわいらしく映った。いや、かわいくないと言う人間がいたら世界で数本の指に入る優秀な脳外科医を紹介するところだ。コーヒーの紙カップに書かれた自分の名前とスマイルマークに踊りださんばかりにジェラルドは浮かれて店を後にした。人生で一番美味しいコーヒーだった。
「ジェリー!」
「どうした、ジェニファー」
「緊急、カード会社から。不正使用の可能性だって」
「何?ありがとう」
形のよい眉を顰めた秘書長から電話を受け取る。
「バトラーだ」
「いつもお世話になっております、担当のキース・ウィリアムズです。早速ですがお客様のカードからここ数日少額のお取引が見られまして、緊急にカードを停止しております。何か心当たりはございますか?」
少額の取引。しばらく考え込んだジェリーだったが、手元のコーヒーを見て気がついた。
「金額は全部4.55ドルか?」
「そうです」
「ああ、なら全て私が使ったものだ」
「佐用ですか、了解いたしました。ではカードのご利用の再開でよろしいでしょうか」
「頼むよ。迷惑をかけたね」
「いえとんでもございません。少々手続きにお時間いただきますが、早急にご利用を再開させていただきます」
「ありがとう、では失礼」
「お時間いただきありがとうございました。失礼いたします」
電話を切ってジェリーは思わず目を覆って笑いだしてしまった。その様子を見てジェニファーは訝しげに尋ねた。
「なんだったの?」
「いや、ここ最近コーヒーを自分で買ってただろ?それが安すぎてカードを止められた」
はは、と思わず声を上げて笑うジェリーに彼女は呆れた顔をした。
「まさかブラックカードで買ってたの?信じられない!」
「小銭が無くて」
「じゃ、次は秘書に買わせるかプリペイドカードを買うのね。あなたみたいなおかしな人間のために450ドルぐらいの特別なカードがあるはず」
言外に馬鹿ね、と込めてジェニファーが言う。苦笑してみせるが、彼女のそういうところが気に入っている。
「じゃあ今日のディナーで店に行って買うよ」
「あきれた、誰目当てなんだか。まあいいけど。20時のフライトには絶対に間に合うようにね!」
「OK」
そんなことをやり取りしていると、ジェリーのオーデマ・ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフが18時36分を告げた。飛び出すようにしてアーロンのいるコーヒーショップに向かう。彼のタイムシフトはほぼ完璧に記憶している。さっきのカードの話をしたらきっとアーロンはおかしがってくれるに違いない。
「やあ」
「いらっしゃいませ。いつもの?」
「うん、それとおすすめのサンドイッチを頼むよ」
「じゃあ始まったばっかりのこれを食べてみて。美味しいよ!ここで食べる?持ち帰り?」
「ここで」
今朝ぶりに会うが夜もアーロンはかわいい。君と一緒にそのホリデーチキンサンドでデートしたいと言うのを抑えただけで褒められてもいいと思う。
「そうだ、プリペイドカード?を買いたいんだが……実はカードを止められてて」
え、といった顔をするアーロンにキスをしたい衝動を押し殺しジェリーはクールに笑ってみせて言う。
「毎日数ドルずつ引かれていくから不審に思ったらしい。ここで買い物をしただけなのにね」
そう言ってチャーミングだと評判の下手くそなウィンクをしてみせる。
「本当に?ジョークみたいだ」
思ったとおりアーロンはクスクス笑ってくれた。それから思い出したように言う。
「そうだ、うちにもブラックカードがあるんだよ。それにする?」
珍しいんだ、限定でね。そう言ってカリフォルニアの太陽みたいに笑うアーロンに、ジェリーが嫌と言う筈も無かった。目的とは違うものだが、彼のためなら何枚でもカードを止められても構わなかった。
「そうだ、このカードは海外でも使える?これから中国に出張で」
アーロンの柔らかそうな金の砂色をした髪と同じ色の眉がへにゃりと下がる。彼にそんな顔をさせたい筈も無く、ジェリーは慌ててしまう。
「ごめんね、アメリカとカナダだけなんだ。あとは現地で別にカードを買ってもらうしかなくて」
「全然構わない、君が謝らなくていい……じゃあこのカードは君にだけ使うよ」
本心からの言葉だったが、アーロンはジョークだと思ったのか吹き出してしまった。しかしそれで彼に笑顔が戻ったので全く構わなかった。温まったサンドイッチとコーヒーを差し出してアーロンが微笑む。
「ごゆっくりどうぞ」
この笑顔を守るためなら何でもする、そうサンドイッチと共に噛み締めるジェリーであった。
そんな日が続いたある日、よくない噂がジェリーの耳に入った。
「隣のビル、いよいよヤバいらしいですよ」
「何だって?」
「どうも立ち行かなくって閉めるかも知れないそうです」
そんな、ジェリーは愕然とした。隣のビルが閉まるということはアーロンのコーヒーショップも出ていかざるを得ないということで、もう彼に会えなくなるかもしれないのだ。由々しき事態だった。
「ティム、あのビルを買うぞ。向こうの言い値で構わない。今すぐアポを取ってきてくれ」
「へ?あ、分かりました」
汲々としていたらしい隣のビルのオーナーは一も二もなく承諾し、その日の内にジェリーはアーロンの店の大家となった。突然の買収に社内では社長がいくつかある店の中でどの店員目当てなのか賭けが行われている様だったが、どうでも良かった。
その翌週、ジェリーの最も苦手とする相手との会議を済ませ這々の体で社長室に戻り、気晴らしのコーヒーをロバートが持ってきた。いや、正確に言うとロバートでなかったし、社員でもなかった。コーヒーもいつものでなく、ジノリのカップに入っているミーレのコーヒーだった。
「アーロン!どうして?」
いつも涼やかな美しい眼を気まずそうに外に向けアーロンは言う。
「君に聞きたいことがあって、無理言って入れて貰ったんだ」
「……そうか、まあ座ってくれ。コーヒーをありがとう」
二人は応接用ソファに向かい合って座る。
「凄いオフィスだね」
「そうか?」
「立派なコーヒーメーカーもある」
「君のところのコーヒーが好きなんだ」
誓ってこれは本当だった。社のコーヒーメーカーは社員と来客用なのだ。あのチェーン店のコーヒー、今ではアーロンの淹れたそれが一番好きな飲み物だった。
アーロンの暫しの沈黙にジェリーはそわそわと視線をさ迷わせる。彼の無表情はグランマの圧力よりも恐ろしかった。
「どうしてうちのビルを買収したんだ?」
「なん、で」
ふ、と疲れたみたいにアーロンは笑って答える。
「オーナーが急に変わったら調べたくもなるだろ。確かに買ったのは不動産会社だったけどあんなちっぽけなビルを買うようなとこじゃない。そうしたら君のとこの傘下の会社じゃないか。あとはお得意様の君のとこの社員の噂話で確信したんだ。君が誰かのために買ったって」
ぐうの音もでなかった。あまりの恥ずかしさに押し黙っていると、何を勘違いしたのかアーロンは立ち上がってしまった。
「君がそんな私欲で動くなんて思いたくなくて……。いや、ごめん、僕なんかが立ち入って聞く事じゃなかった。忘れてくれ」
「待って、アーロン」
「君があんまり優しいから、その、友情かなにかが僕らの間にある気が、ーーごめん。勘違いだ。帰る」
「君に会えなくなるのが嫌でやったことなんだ」
踵を返そうとしていたアーロンの動きが止まる。しまった。
「……僕?」
怪訝そうな顔をしていたのがジェリーの顔を見るなりピンクに染まっていく。いったいどんな顔をしていたんだ?
その後の事はあまり覚えていない。アーロンは逃げるようにオフィスから去り、ジェリーは紙づまりを起こしたコピー機以下の置物となってジェニファー・バック秘書長の手により家へ強制送還された。そしてジャケットも脱ぐ事なくジャガード織りのふかふしたソファに埋まっている。革張りだったら窒息しているところだ。電話もメールも一切見たくなかった。しかし。
「旦那様!お客様ですよ!」
「ぅう……」
「ハンサムな男の方!」
がばっ。音を立てて起き上がる。ジェリーはモニターの前で仁王立ちしているハウスメイドのダニエラの元に駆けつけた。画面に映って所在無さげにしているのは間違えようもなくアーロンだった。
「なんで……」
「追い返します?」
「いや、今日は表から帰っていいから彼を中に案内してくれますか」
「お安い御用。では今日は帰りますね」
「ああ、いつもありがとう」
そう言って大きな尻を揺らしながらダニエラは出て行った。力が抜けてジェリーは思わずその場に座り込んだ。どうせジェニファーの差し金だろうが、なぜ彼はそれに乗ったんだ?どんな顔をして会えば?産まれて初めてと言っていい危機的状況に思わずジェリーは顔を覆った。
ジェリーCEO×アーロンカフェ店長の話。
−−−−−−−−−−−−−−
「ジェニファー、ティムはどうした?」
「車に凍ったリスがぶつかったから遅刻するって」
「はぁ?」
「冗談、子供さんが病気だから病院寄ってから出勤でジュリアは産休、ジョーイは用事で社外に。だから新入りくんを使って。いい子よ?ロバート!こっちに」
Bloody hell, そうよろしくない言葉で小さく悪態をつくとジェリーはにこやかに振り向くと目を輝かせた新人と握手をした。
「よろしくな、ロバート」
「はい!社長、よろしくお願いします!」
緊張感しているのか興奮しているのか妙に元気いっぱいな様子にジェリーは苦笑する。
「社長、コーヒーをどうぞ!」
「ああ、ありがとう」
一口飲んで吹き出しそうになった。砂糖はおそらく3つで甘すぎ、牛乳はノンファットで味気がない。ジェリーが好むのはエクストラショット、低脂肪ミルクのカプチーノだ。しかも隣のチェーン店のやつだ。
「ロバート、ジェニファーと今日の予定を再確認しててくれ」
「あ、ハイ!」
もうやったんだけどな、ロバートはそういう顔をしているが無視して急いでエレベーターに乗った。早くいつものコーヒーが飲みたい。一口飲んだだけのコーヒーはすれ違いざまの誰かに押し付けた。
社の隣にあるコーヒーショップに何年かぶりに入ると、レジにいる店員に目を惹かれた。いや、正確に言うと目を奪われた。そこだけ雲が割れ天上の光が差し込んだかのように輝いていたのだ。その麗しの君はジェリーに微笑みかけ、柔らかな声で言った。
「いらっしゃいませ」
教会のカリヨンが祝福の音を響かせたようだった。ジェリーはあまりの衝撃でふらつきながら彼のレジへと吸い寄せられた。
「あー……、ええっと、グランデでショット追加のカプチーノ、2%ミルクで」
「ありがとうございます、お名前は?」
「ジェリーだ」
「OK、ジェリー。4.55ドルです」
「ああ、カードで」
「こちらに」
そう差し出された機械に差し込むべくカードケースから一枚抜き出す。
「わ」
「 何か?」
天使のような愛らしく小さい声を漏らした彼、ーー名札によればアーロン(なんと美しい名前!)ーーに尋ねると、彼は恥ずかしそうに笑って言う。
「いえ、あの、ブラックカードを見るのは初めてで……。すみません」
そう非礼を詫びると、アーロンは頬を少し染めはにかんだ。
かわいい。はちゃめちゃにかわいい。
自分と同年代の男に抱く感情ではないような気もするが、とにかくアーロンは少なくともジェリーの目にはかわいらしく映った。いや、かわいくないと言う人間がいたら世界で数本の指に入る優秀な脳外科医を紹介するところだ。コーヒーの紙カップに書かれた自分の名前とスマイルマークに踊りださんばかりにジェラルドは浮かれて店を後にした。人生で一番美味しいコーヒーだった。
「ジェリー!」
「どうした、ジェニファー」
「緊急、カード会社から。不正使用の可能性だって」
「何?ありがとう」
形のよい眉を顰めた秘書長から電話を受け取る。
「バトラーだ」
「いつもお世話になっております、担当のキース・ウィリアムズです。早速ですがお客様のカードからここ数日少額のお取引が見られまして、緊急にカードを停止しております。何か心当たりはございますか?」
少額の取引。しばらく考え込んだジェリーだったが、手元のコーヒーを見て気がついた。
「金額は全部4.55ドルか?」
「そうです」
「ああ、なら全て私が使ったものだ」
「佐用ですか、了解いたしました。ではカードのご利用の再開でよろしいでしょうか」
「頼むよ。迷惑をかけたね」
「いえとんでもございません。少々手続きにお時間いただきますが、早急にご利用を再開させていただきます」
「ありがとう、では失礼」
「お時間いただきありがとうございました。失礼いたします」
電話を切ってジェリーは思わず目を覆って笑いだしてしまった。その様子を見てジェニファーは訝しげに尋ねた。
「なんだったの?」
「いや、ここ最近コーヒーを自分で買ってただろ?それが安すぎてカードを止められた」
はは、と思わず声を上げて笑うジェリーに彼女は呆れた顔をした。
「まさかブラックカードで買ってたの?信じられない!」
「小銭が無くて」
「じゃ、次は秘書に買わせるかプリペイドカードを買うのね。あなたみたいなおかしな人間のために450ドルぐらいの特別なカードがあるはず」
言外に馬鹿ね、と込めてジェニファーが言う。苦笑してみせるが、彼女のそういうところが気に入っている。
「じゃあ今日のディナーで店に行って買うよ」
「あきれた、誰目当てなんだか。まあいいけど。20時のフライトには絶対に間に合うようにね!」
「OK」
そんなことをやり取りしていると、ジェリーのオーデマ・ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフが18時36分を告げた。飛び出すようにしてアーロンのいるコーヒーショップに向かう。彼のタイムシフトはほぼ完璧に記憶している。さっきのカードの話をしたらきっとアーロンはおかしがってくれるに違いない。
「やあ」
「いらっしゃいませ。いつもの?」
「うん、それとおすすめのサンドイッチを頼むよ」
「じゃあ始まったばっかりのこれを食べてみて。美味しいよ!ここで食べる?持ち帰り?」
「ここで」
今朝ぶりに会うが夜もアーロンはかわいい。君と一緒にそのホリデーチキンサンドでデートしたいと言うのを抑えただけで褒められてもいいと思う。
「そうだ、プリペイドカード?を買いたいんだが……実はカードを止められてて」
え、といった顔をするアーロンにキスをしたい衝動を押し殺しジェリーはクールに笑ってみせて言う。
「毎日数ドルずつ引かれていくから不審に思ったらしい。ここで買い物をしただけなのにね」
そう言ってチャーミングだと評判の下手くそなウィンクをしてみせる。
「本当に?ジョークみたいだ」
思ったとおりアーロンはクスクス笑ってくれた。それから思い出したように言う。
「そうだ、うちにもブラックカードがあるんだよ。それにする?」
珍しいんだ、限定でね。そう言ってカリフォルニアの太陽みたいに笑うアーロンに、ジェリーが嫌と言う筈も無かった。目的とは違うものだが、彼のためなら何枚でもカードを止められても構わなかった。
「そうだ、このカードは海外でも使える?これから中国に出張で」
アーロンの柔らかそうな金の砂色をした髪と同じ色の眉がへにゃりと下がる。彼にそんな顔をさせたい筈も無く、ジェリーは慌ててしまう。
「ごめんね、アメリカとカナダだけなんだ。あとは現地で別にカードを買ってもらうしかなくて」
「全然構わない、君が謝らなくていい……じゃあこのカードは君にだけ使うよ」
本心からの言葉だったが、アーロンはジョークだと思ったのか吹き出してしまった。しかしそれで彼に笑顔が戻ったので全く構わなかった。温まったサンドイッチとコーヒーを差し出してアーロンが微笑む。
「ごゆっくりどうぞ」
この笑顔を守るためなら何でもする、そうサンドイッチと共に噛み締めるジェリーであった。
そんな日が続いたある日、よくない噂がジェリーの耳に入った。
「隣のビル、いよいよヤバいらしいですよ」
「何だって?」
「どうも立ち行かなくって閉めるかも知れないそうです」
そんな、ジェリーは愕然とした。隣のビルが閉まるということはアーロンのコーヒーショップも出ていかざるを得ないということで、もう彼に会えなくなるかもしれないのだ。由々しき事態だった。
「ティム、あのビルを買うぞ。向こうの言い値で構わない。今すぐアポを取ってきてくれ」
「へ?あ、分かりました」
汲々としていたらしい隣のビルのオーナーは一も二もなく承諾し、その日の内にジェリーはアーロンの店の大家となった。突然の買収に社内では社長がいくつかある店の中でどの店員目当てなのか賭けが行われている様だったが、どうでも良かった。
その翌週、ジェリーの最も苦手とする相手との会議を済ませ這々の体で社長室に戻り、気晴らしのコーヒーをロバートが持ってきた。いや、正確に言うとロバートでなかったし、社員でもなかった。コーヒーもいつものでなく、ジノリのカップに入っているミーレのコーヒーだった。
「アーロン!どうして?」
いつも涼やかな美しい眼を気まずそうに外に向けアーロンは言う。
「君に聞きたいことがあって、無理言って入れて貰ったんだ」
「……そうか、まあ座ってくれ。コーヒーをありがとう」
二人は応接用ソファに向かい合って座る。
「凄いオフィスだね」
「そうか?」
「立派なコーヒーメーカーもある」
「君のところのコーヒーが好きなんだ」
誓ってこれは本当だった。社のコーヒーメーカーは社員と来客用なのだ。あのチェーン店のコーヒー、今ではアーロンの淹れたそれが一番好きな飲み物だった。
アーロンの暫しの沈黙にジェリーはそわそわと視線をさ迷わせる。彼の無表情はグランマの圧力よりも恐ろしかった。
「どうしてうちのビルを買収したんだ?」
「なん、で」
ふ、と疲れたみたいにアーロンは笑って答える。
「オーナーが急に変わったら調べたくもなるだろ。確かに買ったのは不動産会社だったけどあんなちっぽけなビルを買うようなとこじゃない。そうしたら君のとこの傘下の会社じゃないか。あとはお得意様の君のとこの社員の噂話で確信したんだ。君が誰かのために買ったって」
ぐうの音もでなかった。あまりの恥ずかしさに押し黙っていると、何を勘違いしたのかアーロンは立ち上がってしまった。
「君がそんな私欲で動くなんて思いたくなくて……。いや、ごめん、僕なんかが立ち入って聞く事じゃなかった。忘れてくれ」
「待って、アーロン」
「君があんまり優しいから、その、友情かなにかが僕らの間にある気が、ーーごめん。勘違いだ。帰る」
「君に会えなくなるのが嫌でやったことなんだ」
踵を返そうとしていたアーロンの動きが止まる。しまった。
「……僕?」
怪訝そうな顔をしていたのがジェリーの顔を見るなりピンクに染まっていく。いったいどんな顔をしていたんだ?
その後の事はあまり覚えていない。アーロンは逃げるようにオフィスから去り、ジェリーは紙づまりを起こしたコピー機以下の置物となってジェニファー・バック秘書長の手により家へ強制送還された。そしてジャケットも脱ぐ事なくジャガード織りのふかふしたソファに埋まっている。革張りだったら窒息しているところだ。電話もメールも一切見たくなかった。しかし。
「旦那様!お客様ですよ!」
「ぅう……」
「ハンサムな男の方!」
がばっ。音を立てて起き上がる。ジェリーはモニターの前で仁王立ちしているハウスメイドのダニエラの元に駆けつけた。画面に映って所在無さげにしているのは間違えようもなくアーロンだった。
「なんで……」
「追い返します?」
「いや、今日は表から帰っていいから彼を中に案内してくれますか」
「お安い御用。では今日は帰りますね」
「ああ、いつもありがとう」
そう言って大きな尻を揺らしながらダニエラは出て行った。力が抜けてジェリーは思わずその場に座り込んだ。どうせジェニファーの差し金だろうが、なぜ彼はそれに乗ったんだ?どんな顔をして会えば?産まれて初めてと言っていい危機的状況に思わずジェリーは顔を覆った。
エロパートだよ!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ハイ」
「やあ」
アーロンの顔を見るのも辛かったが、憂いを帯びた彼はなんとも言えず魅力的だった。
「あれから君の言ったことを考えてたんだ」
凪いだ海のように静かな声でアーロンは話し出す。
「君みたいな偉い人が毎日コーヒーを買いに来る理由、僕に会うためにビル一棟買うなんてバカなことをした理由……。それは、……君は、僕のことが、好き、だから……?」
「一目見た時から、君に、夢中なんだ」
真摯な声で、どうかこの思いが彼に届くようにと祈りながらジェリーは言った。全身の血が頬に集まる感覚を気恥ずかしく思ったが、アーロンの頬も同じように染まっているのを見てジェリーは驚いた。
「君と僕とじゃ釣り合わないよ。僕はしがない雇われ店長だし……」
ジェリーは瞬きしてから目を見開いた。それじゃあ、釣り合えば彼は自分と付き合ってくれるのだろうか。
「じゃあ、君の望む男になればいい?」
そう言うと3万ドルの時計を外しそこら辺に捨て置く。次はルビーのカフス。それからイタリアのビスポークの靴とサヴィル・ロウで仕立てたジャケット、エルメスのタイもぜんぶ後ろに放り投げた。
「他には?」
そう言うとアーロンをがっしりとしたその長い腕の中に閉じ込める。
「君に愛されるためならなんでもする」
そう囁いてジェリーは桃色に染まった顔を背けるアーロンの顔をこちらに向けさせ、彼の額にそっと額を合わせる。
「きみは、ずるい」
「愛してる、愛してるんだ、アーロン……。君に愛してもらえるためならなんでもするよ……。明日から君のところで雇ってくれる?」
そうおどけた様に言うと、アーロンは小さく吹き出した。
「そんなことしなくても、僕は多分君を愛してるよ」
「多分?」
「そう、自分のせいで落ち込んだ君のために駆けつけるくらいにはね」
言い終わると同時にアーロンはジェリーの唇に口付けた。
ちゅ、とかわいらしい音を立てて離れようとした唇を追いかけて自らのそれでアーロンの薄い唇をやわく喰むとアーロンの控えめな舌がちらりと煽る。それを逃すはずも無くジェリーは食らいついた。存外アーロンも積極的に水音を立てて舌を絡め、ジェリーの波打つ栗毛を指でかき混ぜる。ジェリーは甘くアーロンの下唇を噛んで離した。
「嘘みたいだ……君にキスしてるなんて」
そう幸せそうにジェリーは呟くと、口づけを何度も落としながら兆し始め膨らんだ前立をアーロンに押し付ける。
「ぁ、は、……ふ、」
そうこうしているとアーロンの口から艶めいた声が漏れ出した。ジェリーは隙かさずアーロンのデニムを寛げる。アーロンは戸惑いながらも同じようにした。
「俺の握って……。そう、ぁあ……」
恋い焦がれた相手の美しい指が自身の牡を握っていることに酩酊したが、なんとか持ち直しジェリーもアーロンの緩く勃ったそれに触れ、ゆるゆると上下させる。
「んぅ……こんな、は、ふッ」
感じ入った息を零すアーロンに、もっと快楽を与えたいという欲が出る。
「アーロン……これ、両方握ってくれる?」
目を白黒させながらもアーロンは従った。初めての感触だった。
「なかなか、いいもんだろ……?」
囁くジェリーからアーロンは羞恥から目を逸らしたが、かえって二本のペニスを握っていること、お互いの興奮の証である、ドクドクした欲望の脈動をはっきりと感じてしまう。
「もっと悦くなるよ」
そうアーロンの耳に囁く。それと同時にお互いの亀頭を親指の腹で強く擦った。
「ア!んぅ、ヒッなに、こ、れぁア!んッ!」
「気持ちいい?、ふ、アーロン……!」
そうしてどちらのものか分からないカウパーまみれの鈴口にやわく爪を立てたり、ひどく擦り上げる。と同時に朱い首筋に、俯いた頬に、美しい耳の裏にキスを落としていく。そのたびにアーロンは小さく跳ねる。
「や、や!ぁう、くる、来る、う!んぅ……!」
「俺も、イキそう……一緒にイこう、ふ、うッ」
アーロンのそのなだらかな下腹部にびゅるびゅると音を立てて噴き出したお互いの精液がかかる。あまりの視覚の暴力に、にやつきながらジェリーは指で掬った。
「どっちのか、わかったもんじゃないな」
そう言ってアーロンに見せつけるように汚れた指を舐めあげる。その卑猥な動作にアーロンは頭を殴られたみたいに呆然としていた。
そのショックから少々回復したアーロンが蚊の鳴くような声で言った言葉にジェリーは驚いて眼を向いてしまう。
「あの……この先もするんなら、シャワー浴びたいんだけど」
「一緒に入っていい?」
「バッ……だめ、準備とか、あるから……」
おお神よ。アンタ、最高だ!思わず鼻息が荒くなりそうなのをジェリーはなんとか抑える。
「じゃあおとなしく待ってる」
ちゅ、と俯いたアーロンの額にキスすると、彼はバスルームに向かった。
さて。
いつも相手のシャワータイムにはどうしていたんだっけ?半分混乱しているジェリーの知能指数は激減してしまっていた。まず準備だ、とローションとスキンのパックを取り出す。置くところ……チェストはこの馬鹿でかいベッドから届かないだろう。かと言ってベッドの上に放っておいたらムードが無いと思われるかもしれない。悩んだ挙句そっと枕と布団の間に置いてそう目立たないようにしておいた。まだアーロンは出てこない。ジェリーは手持ち無沙汰でスコッチを煽った。
それにしても遅すぎでは無いだろうか?心配になりバスルームのドアをノックする。
「アーロン?」
「……ぅう」
「具合でも悪い?入るよ」
ドアを開けるとバスローブで完全防備して踞るアーロンがいた。
「どうした?何か問題でも?」
「……ある……笑うなよ……、脱ぐのが、恥ずかしい」
羞恥で首まで赤くしたアーロンの呟きにジェリーはそんなことか、と安心した。
「俺も脱ぐから、な?」
うう、と呻きながらアーロンは座り込んでしまった。
「そりゃあ君はかっこいいから……体格もいいし……」
「泣くなよ〜」
「泣いてない!ばか」
真っ赤なアーロンの顔にジェリーは手を当て、二人は眼を合わせる。
「俺は泣くかも……。幸せすぎて」
ジェリーのうっとりとした優しい声で少しアーロンの緊張がほぐれたところでジェリーはアーロンを担ぎ上げ、ベッドにそっと降ろす。
「電気……消してくれ」
「手を2回叩けば消えるよ」
怪訝な顔でアーロンが手を叩くと、確かにメインの照明は消えたが代わりにムードたっぷりな間接照明がついた。
「最高だろ?」
「もう!金持ちジョーク止めろ!」
二人で子供みたいにクスクス笑いながら抱きしめ合う。そしてジェリーはゆっくりとしたキスを薄い口唇に何度も繰り返し、アーロンの少しの怯えと羞恥に染まった美しい瞳を見つめる。
黙ってしまったアーロンのバスローブの袷に指を入れゆっくり撫で下ろす。シュル、と音を立ててベルトを解き、アーロンを生まれたままの姿にしてしまう。晒された程よく鍛えられた身体は羞恥で薄桃色に染まっている。
「やっぱり……。綺麗だ……」
「もっと若い子とか女の人に言えよ」
可愛らしく拗ねて唇を尖らせたアーロンにキスの雨を降らす。
「世界で一番、君が綺麗だよ」
「……もういい、恥ずかしい男だな君」
「もっと深く愛していい?」
そうジェリーは甘く囁くとアーロンの腰に枕を入れ、肩から小ぶりな尻へと徐々に身体を撫でていく。
「いい、よ」
許可が下りたことに内心狂喜しながら手に垂らしたローションを温める。アーロンに、最高に、気持ちよくなって欲しい。
ジェリーはアーロンの慎み深い孔に指を伸ばし、その周りをやわくくるくると撫でる。その感触にアーロンはふ、ふっ、と小さく息を零しながら小さく跳ねる。
「挿れるよ……」
「ん……」
ぐ、とスキンを被せた一番細い小指を第一関節辺りまでアーロンの秘部に挿れると、アーロンは小さく息を詰めた。
「少し我慢して……気持ちよくするから」
金色の髪を揺らしながら頷くアーロンに微笑み、ジェリーはアーロンの緊張を解そうと耳を舐め、手にはローションを足して指を深く埋めた。
「……うっ、ふ、ぅン!や、だ、それ」
「舐められるの好き?反対側もやってあげる……」
赤く火照った耳に低く声と吐息を注ぎ込むと言葉通り左耳を舐めあげる。その度に震えるアーロンに笑いながら耳朶を甘く嚙み、小さな穴に唾液で湿らせた熱い下をねじ込み、くちくちと音を立てて耳介をねぶる。それと同時にとろりと蕩けてきたアーロンの後孔に挿れた指を増やしていくと、その総てにアーロンは吐息を漏らし、身悶えする。
「やぁ、んぅうう……もう、じぇり、入る?欲しい……」
「ああ、挿れるよ……」
「はぁ、うん、ちょうだい……!!ひぅ、んんッ、う……」
アーロンは初めて熱いジェリー自身を迎え入れ、痛みと苦しさを感じたがそれを上回る幸福感に満たされる。
「はッ、はッ、は、ジェリ、気持ちい?」
「ぁあ、最高にね……。アーロンも、俺で気持ちよくなって、ね?ここ、俺のが、挿入ってる、お腹に力入れたり抜いたりしてみて……」
そう囁くとジェリーはアーロンの下腹を優しく撫でる。
言われた通りにしていると、突然アーロンの身体を快感の電流が襲う。
「や、ぁ!なに、これ、アン!へ、変、ア!じぇり……やあ!」
そう怯えるアーロンに宥める様に美しい目蓋や頬ににそっと何度もキスをする。
「もっと気持ちよくなっていいんだよ、大丈夫」
そう言われても泣き顔でビクビク跳ねているアーロンを落ち着かせようと頭を撫でる。
そうして居る内にに全身を愛撫され、うっとりと寝転がっていたアーロンは同じようにジェリーの逞しい体を撫で下ろしていき、二人が繋がっているところに指を這わせる。
「、ふ……アーロン……!」
突然怒張しきった幹を撫でられジェリーに快感が走る。
「ぁは、これ?なん、君、全部挿れてない……?ジェリー、じぇり、ね、いいよ、全部欲しい、は、挿れて、挿れて、全部、んッ」
その願いを聞いてガツン、と音がするほどジェリーは腰を打ち付けた。
「あ!は、ん!好き、ぅ、ァッ!なん、ハァ、くるし……っ!!いいぃ……きもち、じぇり!ん、は、アぅッ!」
ジェリーが熱くアーロンに囁く。
「せなか、爪立てていい、よ……」
「ん、ぁ!ぅ、ふッ……!すき、好き……ッ!じぇり、ジェリィ……」
そう言ってアーロンは手当たり次第にジェリーにキスをして、手では愛撫する。そうされるたびに甘い快感がジェリーを苛む。そうしている内にアーロンは絶頂を迎え、鈴口から熱い飛沫を吐き出した。
「おく、奥すごいの、なんでぇ……」
そう言ってアーロンはジェリーの屹立で膨らんだ自分の白い下腹部を撫でる。その様子はあまりにも扇情的だった。そしてジェリーは熱い息を吐きながらアーロンが初めての快感に慣れるまで動かず抱きしめ、所構わずキスの雨を降らせる。
「ぁッ!ふ……おっきくなったぁ……」
そう恍惚として言うアーロンは、信じられないほど美しかった。
「ゃだ、ぁ、なん、気持ち、い!よぉ……じぇりの形、ん、ふッ、すごい分かる……ひ、ン!」
「は、堪らないな……」
そう言って嫌々と頭を振るアーロンの口に深い深いキスをする。そのジェリーのキスに翻弄されながらアーロンはどうにか喋る。
「ジェリ、気持ちい?んム、あふ、……動いて、ンン、動いて、はふ、いいよ」
ジェリーは舌を絡め合うキスを続けたまま、ゆっくりと動き出した。
「きつく、ふ、ない?」
「ん……熱い……溶けそ、気持ち、い、よ……ジェリー……」
「ふっ、ふっ、はぁ、は、イキそ……アーロン、アーロン、キスしてくれ……」
髪をかき上げてジェリーが言う。
「ふふ、いいよ、君、なんか、んん、ふっ、ぁ、可愛いな……」
そう言ってアーロンは口唇を合わせ、ジェリーの舌を絡め取り口淫のように吸う。
「ゥむ、んん……、は、アーロン、愛してる、はぁッ、イきそ、ぅう、は、ンンっ!」
そう上擦った声で喘ぐジェリーは白濁を勢い良く発射した。そうして二人はベッドに仲良く沈み、荒い息を整えようとする。
「は、アーロン、どうだった?及第点は貰える?」
「ふふ、うん、初めてにしてはすごく気持ちよかったよ」
二人はクスッと笑って合わせるだけのキスをする。
「ゴム変えるの忘れてたな」
そう言ってジェリーは精液の溜まりに溜まったゴムの口を縛る。するとアーロンが蕩けた眼でそれをぷに、と突く。
「いっぱいでたね、ジェリー。なんだか嬉しいよ」
そう言って純粋そうにニコニコ笑うアーロンと似つかわしくないセクシーな動作と言葉に思わずジェリーは赤面してしまう。
「それ、反則だよ、アーロン……」
いつも自信満々で髭を蓄えて長めのゆるく波打つ髪を持った大企業のCEOを可愛いと思ってふふ、と笑ったアーロンはあくびをした。そしてジェリーにもあくびが移った。
「ん、寝よっか、ジェリー」
「うん……おやすみアーロン」
久々に本気の恋の相手と眠るのは本当に心地よかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ハイ」
「やあ」
アーロンの顔を見るのも辛かったが、憂いを帯びた彼はなんとも言えず魅力的だった。
「あれから君の言ったことを考えてたんだ」
凪いだ海のように静かな声でアーロンは話し出す。
「君みたいな偉い人が毎日コーヒーを買いに来る理由、僕に会うためにビル一棟買うなんてバカなことをした理由……。それは、……君は、僕のことが、好き、だから……?」
「一目見た時から、君に、夢中なんだ」
真摯な声で、どうかこの思いが彼に届くようにと祈りながらジェリーは言った。全身の血が頬に集まる感覚を気恥ずかしく思ったが、アーロンの頬も同じように染まっているのを見てジェリーは驚いた。
「君と僕とじゃ釣り合わないよ。僕はしがない雇われ店長だし……」
ジェリーは瞬きしてから目を見開いた。それじゃあ、釣り合えば彼は自分と付き合ってくれるのだろうか。
「じゃあ、君の望む男になればいい?」
そう言うと3万ドルの時計を外しそこら辺に捨て置く。次はルビーのカフス。それからイタリアのビスポークの靴とサヴィル・ロウで仕立てたジャケット、エルメスのタイもぜんぶ後ろに放り投げた。
「他には?」
そう言うとアーロンをがっしりとしたその長い腕の中に閉じ込める。
「君に愛されるためならなんでもする」
そう囁いてジェリーは桃色に染まった顔を背けるアーロンの顔をこちらに向けさせ、彼の額にそっと額を合わせる。
「きみは、ずるい」
「愛してる、愛してるんだ、アーロン……。君に愛してもらえるためならなんでもするよ……。明日から君のところで雇ってくれる?」
そうおどけた様に言うと、アーロンは小さく吹き出した。
「そんなことしなくても、僕は多分君を愛してるよ」
「多分?」
「そう、自分のせいで落ち込んだ君のために駆けつけるくらいにはね」
言い終わると同時にアーロンはジェリーの唇に口付けた。
ちゅ、とかわいらしい音を立てて離れようとした唇を追いかけて自らのそれでアーロンの薄い唇をやわく喰むとアーロンの控えめな舌がちらりと煽る。それを逃すはずも無くジェリーは食らいついた。存外アーロンも積極的に水音を立てて舌を絡め、ジェリーの波打つ栗毛を指でかき混ぜる。ジェリーは甘くアーロンの下唇を噛んで離した。
「嘘みたいだ……君にキスしてるなんて」
そう幸せそうにジェリーは呟くと、口づけを何度も落としながら兆し始め膨らんだ前立をアーロンに押し付ける。
「ぁ、は、……ふ、」
そうこうしているとアーロンの口から艶めいた声が漏れ出した。ジェリーは隙かさずアーロンのデニムを寛げる。アーロンは戸惑いながらも同じようにした。
「俺の握って……。そう、ぁあ……」
恋い焦がれた相手の美しい指が自身の牡を握っていることに酩酊したが、なんとか持ち直しジェリーもアーロンの緩く勃ったそれに触れ、ゆるゆると上下させる。
「んぅ……こんな、は、ふッ」
感じ入った息を零すアーロンに、もっと快楽を与えたいという欲が出る。
「アーロン……これ、両方握ってくれる?」
目を白黒させながらもアーロンは従った。初めての感触だった。
「なかなか、いいもんだろ……?」
囁くジェリーからアーロンは羞恥から目を逸らしたが、かえって二本のペニスを握っていること、お互いの興奮の証である、ドクドクした欲望の脈動をはっきりと感じてしまう。
「もっと悦くなるよ」
そうアーロンの耳に囁く。それと同時にお互いの亀頭を親指の腹で強く擦った。
「ア!んぅ、ヒッなに、こ、れぁア!んッ!」
「気持ちいい?、ふ、アーロン……!」
そうしてどちらのものか分からないカウパーまみれの鈴口にやわく爪を立てたり、ひどく擦り上げる。と同時に朱い首筋に、俯いた頬に、美しい耳の裏にキスを落としていく。そのたびにアーロンは小さく跳ねる。
「や、や!ぁう、くる、来る、う!んぅ……!」
「俺も、イキそう……一緒にイこう、ふ、うッ」
アーロンのそのなだらかな下腹部にびゅるびゅると音を立てて噴き出したお互いの精液がかかる。あまりの視覚の暴力に、にやつきながらジェリーは指で掬った。
「どっちのか、わかったもんじゃないな」
そう言ってアーロンに見せつけるように汚れた指を舐めあげる。その卑猥な動作にアーロンは頭を殴られたみたいに呆然としていた。
そのショックから少々回復したアーロンが蚊の鳴くような声で言った言葉にジェリーは驚いて眼を向いてしまう。
「あの……この先もするんなら、シャワー浴びたいんだけど」
「一緒に入っていい?」
「バッ……だめ、準備とか、あるから……」
おお神よ。アンタ、最高だ!思わず鼻息が荒くなりそうなのをジェリーはなんとか抑える。
「じゃあおとなしく待ってる」
ちゅ、と俯いたアーロンの額にキスすると、彼はバスルームに向かった。
さて。
いつも相手のシャワータイムにはどうしていたんだっけ?半分混乱しているジェリーの知能指数は激減してしまっていた。まず準備だ、とローションとスキンのパックを取り出す。置くところ……チェストはこの馬鹿でかいベッドから届かないだろう。かと言ってベッドの上に放っておいたらムードが無いと思われるかもしれない。悩んだ挙句そっと枕と布団の間に置いてそう目立たないようにしておいた。まだアーロンは出てこない。ジェリーは手持ち無沙汰でスコッチを煽った。
それにしても遅すぎでは無いだろうか?心配になりバスルームのドアをノックする。
「アーロン?」
「……ぅう」
「具合でも悪い?入るよ」
ドアを開けるとバスローブで完全防備して踞るアーロンがいた。
「どうした?何か問題でも?」
「……ある……笑うなよ……、脱ぐのが、恥ずかしい」
羞恥で首まで赤くしたアーロンの呟きにジェリーはそんなことか、と安心した。
「俺も脱ぐから、な?」
うう、と呻きながらアーロンは座り込んでしまった。
「そりゃあ君はかっこいいから……体格もいいし……」
「泣くなよ〜」
「泣いてない!ばか」
真っ赤なアーロンの顔にジェリーは手を当て、二人は眼を合わせる。
「俺は泣くかも……。幸せすぎて」
ジェリーのうっとりとした優しい声で少しアーロンの緊張がほぐれたところでジェリーはアーロンを担ぎ上げ、ベッドにそっと降ろす。
「電気……消してくれ」
「手を2回叩けば消えるよ」
怪訝な顔でアーロンが手を叩くと、確かにメインの照明は消えたが代わりにムードたっぷりな間接照明がついた。
「最高だろ?」
「もう!金持ちジョーク止めろ!」
二人で子供みたいにクスクス笑いながら抱きしめ合う。そしてジェリーはゆっくりとしたキスを薄い口唇に何度も繰り返し、アーロンの少しの怯えと羞恥に染まった美しい瞳を見つめる。
黙ってしまったアーロンのバスローブの袷に指を入れゆっくり撫で下ろす。シュル、と音を立ててベルトを解き、アーロンを生まれたままの姿にしてしまう。晒された程よく鍛えられた身体は羞恥で薄桃色に染まっている。
「やっぱり……。綺麗だ……」
「もっと若い子とか女の人に言えよ」
可愛らしく拗ねて唇を尖らせたアーロンにキスの雨を降らす。
「世界で一番、君が綺麗だよ」
「……もういい、恥ずかしい男だな君」
「もっと深く愛していい?」
そうジェリーは甘く囁くとアーロンの腰に枕を入れ、肩から小ぶりな尻へと徐々に身体を撫でていく。
「いい、よ」
許可が下りたことに内心狂喜しながら手に垂らしたローションを温める。アーロンに、最高に、気持ちよくなって欲しい。
ジェリーはアーロンの慎み深い孔に指を伸ばし、その周りをやわくくるくると撫でる。その感触にアーロンはふ、ふっ、と小さく息を零しながら小さく跳ねる。
「挿れるよ……」
「ん……」
ぐ、とスキンを被せた一番細い小指を第一関節辺りまでアーロンの秘部に挿れると、アーロンは小さく息を詰めた。
「少し我慢して……気持ちよくするから」
金色の髪を揺らしながら頷くアーロンに微笑み、ジェリーはアーロンの緊張を解そうと耳を舐め、手にはローションを足して指を深く埋めた。
「……うっ、ふ、ぅン!や、だ、それ」
「舐められるの好き?反対側もやってあげる……」
赤く火照った耳に低く声と吐息を注ぎ込むと言葉通り左耳を舐めあげる。その度に震えるアーロンに笑いながら耳朶を甘く嚙み、小さな穴に唾液で湿らせた熱い下をねじ込み、くちくちと音を立てて耳介をねぶる。それと同時にとろりと蕩けてきたアーロンの後孔に挿れた指を増やしていくと、その総てにアーロンは吐息を漏らし、身悶えする。
「やぁ、んぅうう……もう、じぇり、入る?欲しい……」
「ああ、挿れるよ……」
「はぁ、うん、ちょうだい……!!ひぅ、んんッ、う……」
アーロンは初めて熱いジェリー自身を迎え入れ、痛みと苦しさを感じたがそれを上回る幸福感に満たされる。
「はッ、はッ、は、ジェリ、気持ちい?」
「ぁあ、最高にね……。アーロンも、俺で気持ちよくなって、ね?ここ、俺のが、挿入ってる、お腹に力入れたり抜いたりしてみて……」
そう囁くとジェリーはアーロンの下腹を優しく撫でる。
言われた通りにしていると、突然アーロンの身体を快感の電流が襲う。
「や、ぁ!なに、これ、アン!へ、変、ア!じぇり……やあ!」
そう怯えるアーロンに宥める様に美しい目蓋や頬ににそっと何度もキスをする。
「もっと気持ちよくなっていいんだよ、大丈夫」
そう言われても泣き顔でビクビク跳ねているアーロンを落ち着かせようと頭を撫でる。
そうして居る内にに全身を愛撫され、うっとりと寝転がっていたアーロンは同じようにジェリーの逞しい体を撫で下ろしていき、二人が繋がっているところに指を這わせる。
「、ふ……アーロン……!」
突然怒張しきった幹を撫でられジェリーに快感が走る。
「ぁは、これ?なん、君、全部挿れてない……?ジェリー、じぇり、ね、いいよ、全部欲しい、は、挿れて、挿れて、全部、んッ」
その願いを聞いてガツン、と音がするほどジェリーは腰を打ち付けた。
「あ!は、ん!好き、ぅ、ァッ!なん、ハァ、くるし……っ!!いいぃ……きもち、じぇり!ん、は、アぅッ!」
ジェリーが熱くアーロンに囁く。
「せなか、爪立てていい、よ……」
「ん、ぁ!ぅ、ふッ……!すき、好き……ッ!じぇり、ジェリィ……」
そう言ってアーロンは手当たり次第にジェリーにキスをして、手では愛撫する。そうされるたびに甘い快感がジェリーを苛む。そうしている内にアーロンは絶頂を迎え、鈴口から熱い飛沫を吐き出した。
「おく、奥すごいの、なんでぇ……」
そう言ってアーロンはジェリーの屹立で膨らんだ自分の白い下腹部を撫でる。その様子はあまりにも扇情的だった。そしてジェリーは熱い息を吐きながらアーロンが初めての快感に慣れるまで動かず抱きしめ、所構わずキスの雨を降らせる。
「ぁッ!ふ……おっきくなったぁ……」
そう恍惚として言うアーロンは、信じられないほど美しかった。
「ゃだ、ぁ、なん、気持ち、い!よぉ……じぇりの形、ん、ふッ、すごい分かる……ひ、ン!」
「は、堪らないな……」
そう言って嫌々と頭を振るアーロンの口に深い深いキスをする。そのジェリーのキスに翻弄されながらアーロンはどうにか喋る。
「ジェリ、気持ちい?んム、あふ、……動いて、ンン、動いて、はふ、いいよ」
ジェリーは舌を絡め合うキスを続けたまま、ゆっくりと動き出した。
「きつく、ふ、ない?」
「ん……熱い……溶けそ、気持ち、い、よ……ジェリー……」
「ふっ、ふっ、はぁ、は、イキそ……アーロン、アーロン、キスしてくれ……」
髪をかき上げてジェリーが言う。
「ふふ、いいよ、君、なんか、んん、ふっ、ぁ、可愛いな……」
そう言ってアーロンは口唇を合わせ、ジェリーの舌を絡め取り口淫のように吸う。
「ゥむ、んん……、は、アーロン、愛してる、はぁッ、イきそ、ぅう、は、ンンっ!」
そう上擦った声で喘ぐジェリーは白濁を勢い良く発射した。そうして二人はベッドに仲良く沈み、荒い息を整えようとする。
「は、アーロン、どうだった?及第点は貰える?」
「ふふ、うん、初めてにしてはすごく気持ちよかったよ」
二人はクスッと笑って合わせるだけのキスをする。
「ゴム変えるの忘れてたな」
そう言ってジェリーは精液の溜まりに溜まったゴムの口を縛る。するとアーロンが蕩けた眼でそれをぷに、と突く。
「いっぱいでたね、ジェリー。なんだか嬉しいよ」
そう言って純粋そうにニコニコ笑うアーロンと似つかわしくないセクシーな動作と言葉に思わずジェリーは赤面してしまう。
「それ、反則だよ、アーロン……」
いつも自信満々で髭を蓄えて長めのゆるく波打つ髪を持った大企業のCEOを可愛いと思ってふふ、と笑ったアーロンはあくびをした。そしてジェリーにもあくびが移った。
「ん、寝よっか、ジェリー」
「うん……おやすみアーロン」
久々に本気の恋の相手と眠るのは本当に心地よかった。
ついったで見かけた設定が最高すぎた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
美しい夏が過ぎ、ローシエンナのオレンジ色に街が染まった頃、アーロンの勤める保育園への新学期が始まった。
「やあ、こんにちは」
麗しいブロンドを輝かせながら、アーロンは生徒の向かえのジェラルドに微笑みかける。
いつも思うが、この色男に結婚して娘がいるなんて!ひと目見ておんな泣かせの遊び人だと思った印象を心の中で謝罪とともに訂正せざるを得なかった。
「シルビア! お迎えだよ!」
黄色にピンクの花を散らしたドレスで自分の名を呼び、走ってきた天使はジェラルドの脚にしがみついて宣言した。
「わたしねーせんせーと結婚するの!」
「ほんとに? 俺を捨てて?」
「あはは、光栄だなあ」
「んふふ! じゃあせんせーの次に結婚してあげる!」
「俺は二回目? 来いこの悪女め!」
ジェラルドは笑いながらシルビアを高く抱き上げる。
「きゃー! あはははは!」
「ほら挨拶して」
「せんせーさよーなら!」
「はい、さようなら」
「じゃ、ありがとうございました」
「ええ、また明日」
まるで映画のような眩しい一幕を終えると、アーロンはようやく一息つける。
他の保護者は平気なのに、彼の前では、なぜだか緊張する。
週が明けて、子供たちが鐘を鳴らすように声を上げて校舎に転がり込んでくる。勿論シルビアも。
「おはようございます先生」
「おはようございます、バトラーさん」
相変わらず惚れ惚れするような男前だ。暫く見つめてしまったのを誤魔化すように話をする。
「毎朝大変ですね、お父さんも。かっこいいからシルビアはいつも自慢してますけど!」
するとジェラルドはからかうように眉を上げ、笑いながら言う。
「俺が父親に見えます? はは、心外だな、叔父ですよ。姉の代わりに送り迎えを」
「え、あ、……」
そう言えば保護者リストに書いてあった気がする。アーロンは頬に血が溜まるのをまざまざと感じた。
「申し訳ない! てっきり……」
「ふは、いいですよ別に!先生は何歳ですか?」
「35です」
「俺は34。たった一年の違いですね」
そう言ってジェラルドは眼を細めて笑う。そしてなにか思いついたような顔になった。
「そうだ、あなたが僕をシルビアの親だって勘違いしてたお詫びにコーヒーでもどうです?」
「え……そんな」
「俺はチョー傷つきましたよ」
そう言って眉を顰め大げさな表情をするジェラルドに思わず笑い、誘いを受けてしまった。これまでアーロンに粉をかけてくる親たちは居たが、なぜかジェラルドはうまく躱せ無かった。
それからというもの、二人は思ったより仲良くなり、アーロンはすっかりジェラルドについて詳しくなってしまった。彼が大手弁護士事務所のシニア・マネージャーで結構優雅な生活をしていること、それから自分と同じレイダースサポーターでオペラが好き。そして自分と違ってトマトが苦手だとか、映画の好みだとかそういうことに。勿論、ジェラルドも同じくアーロンに詳しくなった。
幼稚園の休みの日にアーロンが家で寛いでいると、ジェラルドからのメッセージが届いた。
『今夜食事でもどうですか?』
『いいね』
『オーケー、7時にKashavalに予約しますね。うまいチーズフォンデュが食べたいって言ってましたよね?』
この男はどうしてこう一々スマートなのか、アーロンは苦笑いしてしまった。
『じゃ、7時に』
『楽しみにしてます!』
ジェラルドの連れてきてくれた気安いレストランの味は、アーロンが昔住んでいた欧州を思わせる美味さだった。
彼は手慣れた様子で旨い食事とワインを選び、普段飲まないワインを呑むくらいアーロンはめったにないほどいい気分だった。
「先生知ってる? チーズフォンデュでパンを落とすと隣の人にキスしなきゃいけないって」
「知ってる」
アーロンはクスクス笑いながらパンを落としたジェラルドに頬を差し出す。するとジェラルドはアーロンの顎に手を当て、いやにセクシーなキスを落とした。それを受けた人間が全て恋に堕ちるような、そんなキスだった。
「あ、」
ジェラルドは徐にアーロンの左耳に手を添える。
「ピアス跡だ」
これ以上恥ずかしいことがあるだろうか?久々に他人に触れられた耳からゾクゾクと腰まで痺れが走る。
「先生、割とやんちゃしてた?」
「……若気の至りだよ。父親に家から放り出された」
「ふふ、厳しいお父上だ!」
「不躾な事を聞いても?」
アーロンは尋ねる。
「どうぞ」
「僕はそうなんだけど……君はゲイなの?」
ジェラルドは魅力的な男だ。彼に愛される人間はさぞ鼻が高いだろう。だからこそ、先に予防線を張りたいと思ったのだ。彼と恋愛関係なるつもりは毛頭無いが、ゲイのアーロンは彼みたいなセクシーでヘテロの男に振り回されてるのはもう懲り懲りだった。
当のジェラルドはと言うと、面食らってガシガシと頭を掻いて唸っている。少々気の毒ではあった。
「正直に言うと、分からない」
「というと」
「僕は自他共に認める女好きなんだが……貴方は別だ。綺麗だと思うし、手を取ってキスしたい。先生の美しい瞳に僕だけが映っているのはさぞいい気分だとおもう。ダメだ、そう、僕はあなたに恋してるよ、先生」
一気にアーロンの体温が上昇した。顔は真っ赤になっていることだろう。まさか、初めてのディナーでそんなに直球に告白されるとは。赤くなった顔を誤魔化すように額を片手で擦る。落ち着け、今までこんなこと、上手く流して来れただろう?
「ふ、上手だねジェラルド」
「ジェリーって呼んでくれ、アーロン」
彼に名前を呼ばれた瞬間、心臓が小さく跳ねた。まずい、これは。
「仲のいい友人から、ならいいよ」
胸の鼓動をなんとか収め、何でもないといったようにアーロンは言った。
「やった! そうだ、METのガラ・コンサートのチケットが手に入ったんだ。まだ相手が決まって無くて……プレゼントってことで一緒に行ってくれないか?」
「それは凄い!!今年はフィガロの結婚だろ? 大好きなんだ、喜んで!」
ーーーーーーーーーーーーー
「ジェリー」
ガラの日、ジェラルドはため息が出るくらいパリッとしたタキシードでアーロンの家にを迎えに来た。
「約束通りタキシードもって来たよ」
「レンタル?」
いやにさわり心地の良すぎるドスキンのそれを受け取りながらアーロンは尋ねた。
「いや? あなたへの誕生日プレゼントだけど?」
「は? 誕生日はまだまだ先だし、こんな高級そうなもの貰えないよ」
アーロンがそう言うと、やっぱりそう言うか、みたいに苦笑してジェラルドは言う。
「じゃあ、35年分ってことで受け取ってくれないか?」
「でも」
「早く着替えて!送れてしまう」
まだ異論を言い出しそうなアーロンを微笑いながら急かして言った。
憮然としてタキシードを身に纏ったアーロンはまるで俳優みたいにゴージャスだった。
「サイズはぴったりみたいだな、さすが俺。腰回りはちょっと修正は要るが……」
「早く行こう、遅刻するって言ったのは君だよ」
上から下まで値段をつけるように眺められ、とても居心地悪そうにアーロンは言った。
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美しい夏が過ぎ、ローシエンナのオレンジ色に街が染まった頃、アーロンの勤める保育園への新学期が始まった。
「やあ、こんにちは」
麗しいブロンドを輝かせながら、アーロンは生徒の向かえのジェラルドに微笑みかける。
いつも思うが、この色男に結婚して娘がいるなんて!ひと目見ておんな泣かせの遊び人だと思った印象を心の中で謝罪とともに訂正せざるを得なかった。
「シルビア! お迎えだよ!」
黄色にピンクの花を散らしたドレスで自分の名を呼び、走ってきた天使はジェラルドの脚にしがみついて宣言した。
「わたしねーせんせーと結婚するの!」
「ほんとに? 俺を捨てて?」
「あはは、光栄だなあ」
「んふふ! じゃあせんせーの次に結婚してあげる!」
「俺は二回目? 来いこの悪女め!」
ジェラルドは笑いながらシルビアを高く抱き上げる。
「きゃー! あはははは!」
「ほら挨拶して」
「せんせーさよーなら!」
「はい、さようなら」
「じゃ、ありがとうございました」
「ええ、また明日」
まるで映画のような眩しい一幕を終えると、アーロンはようやく一息つける。
他の保護者は平気なのに、彼の前では、なぜだか緊張する。
週が明けて、子供たちが鐘を鳴らすように声を上げて校舎に転がり込んでくる。勿論シルビアも。
「おはようございます先生」
「おはようございます、バトラーさん」
相変わらず惚れ惚れするような男前だ。暫く見つめてしまったのを誤魔化すように話をする。
「毎朝大変ですね、お父さんも。かっこいいからシルビアはいつも自慢してますけど!」
するとジェラルドはからかうように眉を上げ、笑いながら言う。
「俺が父親に見えます? はは、心外だな、叔父ですよ。姉の代わりに送り迎えを」
「え、あ、……」
そう言えば保護者リストに書いてあった気がする。アーロンは頬に血が溜まるのをまざまざと感じた。
「申し訳ない! てっきり……」
「ふは、いいですよ別に!先生は何歳ですか?」
「35です」
「俺は34。たった一年の違いですね」
そう言ってジェラルドは眼を細めて笑う。そしてなにか思いついたような顔になった。
「そうだ、あなたが僕をシルビアの親だって勘違いしてたお詫びにコーヒーでもどうです?」
「え……そんな」
「俺はチョー傷つきましたよ」
そう言って眉を顰め大げさな表情をするジェラルドに思わず笑い、誘いを受けてしまった。これまでアーロンに粉をかけてくる親たちは居たが、なぜかジェラルドはうまく躱せ無かった。
それからというもの、二人は思ったより仲良くなり、アーロンはすっかりジェラルドについて詳しくなってしまった。彼が大手弁護士事務所のシニア・マネージャーで結構優雅な生活をしていること、それから自分と同じレイダースサポーターでオペラが好き。そして自分と違ってトマトが苦手だとか、映画の好みだとかそういうことに。勿論、ジェラルドも同じくアーロンに詳しくなった。
幼稚園の休みの日にアーロンが家で寛いでいると、ジェラルドからのメッセージが届いた。
『今夜食事でもどうですか?』
『いいね』
『オーケー、7時にKashavalに予約しますね。うまいチーズフォンデュが食べたいって言ってましたよね?』
この男はどうしてこう一々スマートなのか、アーロンは苦笑いしてしまった。
『じゃ、7時に』
『楽しみにしてます!』
ジェラルドの連れてきてくれた気安いレストランの味は、アーロンが昔住んでいた欧州を思わせる美味さだった。
彼は手慣れた様子で旨い食事とワインを選び、普段飲まないワインを呑むくらいアーロンはめったにないほどいい気分だった。
「先生知ってる? チーズフォンデュでパンを落とすと隣の人にキスしなきゃいけないって」
「知ってる」
アーロンはクスクス笑いながらパンを落としたジェラルドに頬を差し出す。するとジェラルドはアーロンの顎に手を当て、いやにセクシーなキスを落とした。それを受けた人間が全て恋に堕ちるような、そんなキスだった。
「あ、」
ジェラルドは徐にアーロンの左耳に手を添える。
「ピアス跡だ」
これ以上恥ずかしいことがあるだろうか?久々に他人に触れられた耳からゾクゾクと腰まで痺れが走る。
「先生、割とやんちゃしてた?」
「……若気の至りだよ。父親に家から放り出された」
「ふふ、厳しいお父上だ!」
「不躾な事を聞いても?」
アーロンは尋ねる。
「どうぞ」
「僕はそうなんだけど……君はゲイなの?」
ジェラルドは魅力的な男だ。彼に愛される人間はさぞ鼻が高いだろう。だからこそ、先に予防線を張りたいと思ったのだ。彼と恋愛関係なるつもりは毛頭無いが、ゲイのアーロンは彼みたいなセクシーでヘテロの男に振り回されてるのはもう懲り懲りだった。
当のジェラルドはと言うと、面食らってガシガシと頭を掻いて唸っている。少々気の毒ではあった。
「正直に言うと、分からない」
「というと」
「僕は自他共に認める女好きなんだが……貴方は別だ。綺麗だと思うし、手を取ってキスしたい。先生の美しい瞳に僕だけが映っているのはさぞいい気分だとおもう。ダメだ、そう、僕はあなたに恋してるよ、先生」
一気にアーロンの体温が上昇した。顔は真っ赤になっていることだろう。まさか、初めてのディナーでそんなに直球に告白されるとは。赤くなった顔を誤魔化すように額を片手で擦る。落ち着け、今までこんなこと、上手く流して来れただろう?
「ふ、上手だねジェラルド」
「ジェリーって呼んでくれ、アーロン」
彼に名前を呼ばれた瞬間、心臓が小さく跳ねた。まずい、これは。
「仲のいい友人から、ならいいよ」
胸の鼓動をなんとか収め、何でもないといったようにアーロンは言った。
「やった! そうだ、METのガラ・コンサートのチケットが手に入ったんだ。まだ相手が決まって無くて……プレゼントってことで一緒に行ってくれないか?」
「それは凄い!!今年はフィガロの結婚だろ? 大好きなんだ、喜んで!」
ーーーーーーーーーーーーー
「ジェリー」
ガラの日、ジェラルドはため息が出るくらいパリッとしたタキシードでアーロンの家にを迎えに来た。
「約束通りタキシードもって来たよ」
「レンタル?」
いやにさわり心地の良すぎるドスキンのそれを受け取りながらアーロンは尋ねた。
「いや? あなたへの誕生日プレゼントだけど?」
「は? 誕生日はまだまだ先だし、こんな高級そうなもの貰えないよ」
アーロンがそう言うと、やっぱりそう言うか、みたいに苦笑してジェラルドは言う。
「じゃあ、35年分ってことで受け取ってくれないか?」
「でも」
「早く着替えて!送れてしまう」
まだ異論を言い出しそうなアーロンを微笑いながら急かして言った。
憮然としてタキシードを身に纏ったアーロンはまるで俳優みたいにゴージャスだった。
「サイズはぴったりみたいだな、さすが俺。腰回りはちょっと修正は要るが……」
「早く行こう、遅刻するって言ったのは君だよ」
上から下まで値段をつけるように眺められ、とても居心地悪そうにアーロンは言った。
よかった。半ば強引にプレゼントを押し付け連れて来たが、アーロンは喜んでくれた様だ。ジェラルドは気取られないように胸を撫で下ろした。眼を輝かせてオペラの感想を語っている彼は、深紅のカーペットにクリスタルのシャンデリアで飾られた会場の煌びやかさと合いまって眩いほどだった。
「あら、ジェラルド!」
「ソフィー! 久しぶりだな!」
声を掛けてきた豪奢なレースが身体に貼り付いたようなセクシーなヴァレンチノを着た美女とジェラルドは挨拶のキスを交わす。
「全然連絡くれないんだから。この薄情者!そちらは?」
そう笑いながらいう彼女にジェラルドは自慢のアーロンを紹介する。
「よろしく」
「こちらこそ! ああそうだジェラルド、ジュリア達には会った?」
「来てるのか」
「勿論!確か……あ、いた。ジュリア!アレクシス!」
友人達としばし挨拶を交わしていると、アーロンにそっと肩を叩かれた。
「先に出てる、失礼」
そう言うと彼はジェラルドが声をかける間もなく踵を返して正面玄関へと向かってしまう。
「アーロン? ……悪いみんな、またな」
お座なりに女性陣に挨拶するとジェラルドはアーロンを追い人混みのなか駆け出した。
「アーロン!」
正面階段を駈歩で降りるアーロンの腕を捕まえると、彼は振り向き、ジェラルドに口付ける。
世界が止まった音がした。
「……帰る」
「え? あ、ああ、送るよ」
車内には気まずい沈黙が満ちている。ジェラルドはアーロンの様子を伺うが、街灯の流れるオレンジ色の灯りに照らされても彼の表情からは何も読み取れなかった。
「男が人に服を贈る意味を知ってる?……それを脱がしたいってことらしいよ」
おもむろにアーロンが言う。静かな声だった。
「え、いや俺はそんな……」
再び沈黙。
どうしたというのだろうか。ジェラルドは焼きもきして、車を停めて彼に謝った方がいいのかとすら思っているとアーロンの微かなため息が聞こえた。
「……嫉妬したんだ。彼女達に」
ジェラルドは驚いて眼を見張って彼を見遣った。そんな、それじゃあ。
「独占欲を抱いたらそれは恋だ」
独り言のように言うアーロンを赤信号が照らす。ジェラルドはブレーキを踏むと彼をまじまじと見てしまう。
「降参だよ、ジェラルド」
アーロンはそう言うと困った様な顔をジェラルドに向けた。ようやく二人の目が合い、吸い寄せられる様にキスをした。口付けを深くしようとした時、後ろからのけたたましいクラクションで信号が変わったのを知る。ジェラルドは驚いて車を発進させ、思わず二人で笑ってしまった。その後に訪れた沈黙は、先ほどとと打って変わって心地よいものだった。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、おやすみ」
アーロンはそう言って後ろ手にドアを閉めようとする。その扉をジェラルドは抑えた。
「プレゼントの包みをほどいても……?」
後ろ姿にとっておきの声で囁く。アーロンはその白い首筋まで赤く染めて俯いている。その扇情的な色にジェラルドが口付けると、アーロンはもう耐えられないといった色めいた溜息をついた。
「あら、ジェラルド!」
「ソフィー! 久しぶりだな!」
声を掛けてきた豪奢なレースが身体に貼り付いたようなセクシーなヴァレンチノを着た美女とジェラルドは挨拶のキスを交わす。
「全然連絡くれないんだから。この薄情者!そちらは?」
そう笑いながらいう彼女にジェラルドは自慢のアーロンを紹介する。
「よろしく」
「こちらこそ! ああそうだジェラルド、ジュリア達には会った?」
「来てるのか」
「勿論!確か……あ、いた。ジュリア!アレクシス!」
友人達としばし挨拶を交わしていると、アーロンにそっと肩を叩かれた。
「先に出てる、失礼」
そう言うと彼はジェラルドが声をかける間もなく踵を返して正面玄関へと向かってしまう。
「アーロン? ……悪いみんな、またな」
お座なりに女性陣に挨拶するとジェラルドはアーロンを追い人混みのなか駆け出した。
「アーロン!」
正面階段を駈歩で降りるアーロンの腕を捕まえると、彼は振り向き、ジェラルドに口付ける。
世界が止まった音がした。
「……帰る」
「え? あ、ああ、送るよ」
車内には気まずい沈黙が満ちている。ジェラルドはアーロンの様子を伺うが、街灯の流れるオレンジ色の灯りに照らされても彼の表情からは何も読み取れなかった。
「男が人に服を贈る意味を知ってる?……それを脱がしたいってことらしいよ」
おもむろにアーロンが言う。静かな声だった。
「え、いや俺はそんな……」
再び沈黙。
どうしたというのだろうか。ジェラルドは焼きもきして、車を停めて彼に謝った方がいいのかとすら思っているとアーロンの微かなため息が聞こえた。
「……嫉妬したんだ。彼女達に」
ジェラルドは驚いて眼を見張って彼を見遣った。そんな、それじゃあ。
「独占欲を抱いたらそれは恋だ」
独り言のように言うアーロンを赤信号が照らす。ジェラルドはブレーキを踏むと彼をまじまじと見てしまう。
「降参だよ、ジェラルド」
アーロンはそう言うと困った様な顔をジェラルドに向けた。ようやく二人の目が合い、吸い寄せられる様にキスをした。口付けを深くしようとした時、後ろからのけたたましいクラクションで信号が変わったのを知る。ジェラルドは驚いて車を発進させ、思わず二人で笑ってしまった。その後に訪れた沈黙は、先ほどとと打って変わって心地よいものだった。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、おやすみ」
アーロンはそう言って後ろ手にドアを閉めようとする。その扉をジェラルドは抑えた。
「プレゼントの包みをほどいても……?」
後ろ姿にとっておきの声で囁く。アーロンはその白い首筋まで赤く染めて俯いている。その扇情的な色にジェラルドが口付けると、アーロンはもう耐えられないといった色めいた溜息をついた。
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